経済学入門 3 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 経済学入門 2006年4月27日 復習 経済学の五つの重要な考え方 1. 資源は貴重なので何かを犠牲 トレードオフ 2. 意思決定者は便益やその費用に反応 インセンティブ 日本語で (誘因) 3. 自発的な交換は双方の利益を生む 4. 財や市場に関する知識 情報 5. 所得の不平等に気をつける 分配 教科書のWrap-up • 基本的な経済的意思決定問題 p.25 • 五つの重要な考え方 p.28 • 図1-1 アメリカでは誰が多くの所得を稼い でいるか 財とサービス • 世の中には様々な商品がある • 財(goods)-形あるもの,クルマ,バック • サービス(service)-無形の商品,美容院,労 働,金融,教育 • サービス産業=第3次産業 • 労働 • 金融:お金を借りたり,貸したりする,郵便貯金, 銀行 財とサービス/2 • • • • • • サービスの特徴: 生産と消費が同時 在庫が不可 品質が一定でない 特に財とサービスを含めて単に財という 投入物-生産のために用いられる財, 労働,機械設備 3 三つの主要な市場 p.29 • 経済主体:個人(家計),企業,政府 • 家計とは1つの家族のように所得を得て消 費をするような1つのまとまった生活単位 を表します • 最初は簡単な個人と企業のみを考える • 生産物市場 -企業の生産物を家計に販売 3 三つの主要な市場/2 • 労働市場 -労働を取引する市場,企業が買い 手,個人が売り手 • 資本市場 -企業が投入物を購入するための資 金を調達する市場,金融サービス • 企業-買い手,借り手 • 個人-売り手,貸し手 三つの市場の図解p.30 まぎらわしい用語に注意する • 市場 • どのまとまり?:労働市場,熟練労働者の 市場 • 資本市場-資金調達に関わる制度すべ てを含む広い概念 • 資本の2つの意味:資金と設備 • 資本財-機械や建物 4 ミクロ経済学とマクロ経済学 p.31 • 経済学の2大分野 • ミクロ経済学(microeconomics) -個々の企業や家計の意思決定を分 析 • マクロ経済学(macroeconomics) -経済全体(日本,世界)を動きを分析 練習問題p.40 1. 大学進学のインセンティブ a,b,c,d 2. ミクロ経済的事象かマクロ経済的事象か a,b,c,d,e,f 3. 三つの主要な市場 a,b,c,d,e,f 第2章 経済学的な考え方 p.43 • 1. 2. 3. 4. 4つの鍵となる問い 基本的競争モデル インセンティブ,所有権,価格,利潤動機 市場制度に代わる資源配分の制度は? 経済学の基本的な手段,費用概念 1 基本的競争モデル p.44 • 数多くの様々な経済主体と様々な財・サー ビスが満ちあふれている理由 • それは競争(competition)があるから • 企業は消費者を獲得するためにできる限 り品質が良く低価格の財を供給する • それを基本的競争モデルが明らかにする 神の見えざる手 • 「神の見えざる手」 (アダム・スミス『国富論』1776年) 我々が自分の食事を取るのは,肉屋や酒 屋やパン屋の博愛心によるのではなく,彼 ら自身の利害関心に対する彼らの関心に よるのである. • 「私人の悪徳は公共の利益」 (マンデヴィル『蜂の寓話』1714年) 1.1 合理的消費者と利潤極 大化企業 p.45 • 合理的選択-費用と便益を比較検討し て最も目的にあった選択をする 1. 個人-効用の最大化 2. 企業-利潤の最大化,極大化 1.2 競争的市場 p.46 • 消費者と企業が出会う場=市場の仮定 • 完全競争(perfect competition) -個々の経済主体は市場で成立する 価格に影響を及ぼすことができない. • 市場価格を与えられた(所与)のものとして 行動する 完全競争 • 例えばお米を作っている農家を想像してくださ い. • 個々の農家の取引量と日本全体のお米の消費 量を比較するとある農家のお米の生産量は高 が知れています. • またみなさんの一年間のお米の消費量も日本 全体から比べるとほんの小さな部分です. • 米の価格に直接的な影響を及ぼせない 完全競争/2 • 完全競争市場では 1. 多数の買い手と売り手が存在する 2. すべての人々が同じ財を売ったり買った りしている 3. 製品差別化がない • このような市場では経済主体はプライス テイカーあるいは価格受容者であるとい う 1.3 基本的競争モデルにお ける効率と分配 p.48 • 現実は完全競争であるとは限らない • しかし,資源の浪費がまったくないという 意味で経済は効率的になる -誰かの生活を改善するには他の人の生 活を悪化させざるを得ない • 価格メカニズムによる配分の決定:熟練労 働の賃金は高くなるetc 1.4 ベンチマークとしての基 本的競争モデル p.49 • 現実の経済は基本的競争モデルよりも もっと複雑 • このモデルは洞察力を与えて,経済の特 徴を理解しやすくなるようなツール • このモデルによる予測と観察される結果を 比較することにより新しいモデルを構築 • しかし,完全ではないにしてもかなり現実 を上手く叙述できている 2 インセンティブと情報 p.50 • 市場経済が効率的に働くには十分な情報 が与えられていて,それに基づいて行動 するインセンティブが必要 • 価格,利潤,所有権を通じて個人に情報と インセンティブを与える • 価格(price)-財の希少性を測る 2 インセンティブと情報/2 • 価格は希少性の情報を運ぶ,それに対し て消費者は自分の消費量を調節する • 利潤(profit) • 利潤を追求する企業は価格のもたらす情 報に反応するよう動機付けられている • 石油価格の高騰-石油の供給不足(?), 石油製品の需要の減少(?),理由はどうで あれ石油の希少性が高まった 所有権の大切さ • 企業はできるだけ安い方法で,できるだけ 収入が多くなる財を生産する • 利潤動機が有効に働くためには利潤を自 分のものにできなくてはならない • 所有権が不可欠 • 所有権-所有者が自分の好きなように財 産を使う権利とそれを売る権利 2.1インセンティブと平等 p.52 • 土地の所有者はレストランをオープンする か商店を開くか,もっとも利潤をもたらすよ うに土地を有効に活用する • そこで生まれた利潤が自分の物になるの で正しい選択をするインセンティブが発生 • 報酬と業績が深く結びつきすぎると不平等 が発生 • インセンティブと平等のトレードオフ 2.2 所有権が確立されてい ないとき p.52 • 所有権の重要性はそれが無いときにど のような事態に陥るかを知ることにより 分る 1. 北海道のニシンの乱獲によるニシンの 減少(所有権がないケース) 2. 共有地の悲劇(共同所有で所有権が限 定) 利潤動機,情報,所有権 現代の市場経済では各個人が価格情報に 反応して取引を行っている.自分の得た利 潤や所得は所有権によって自分のものと することができる.自分の持つ資源や能力 を最大限に活かすことができる.こうした 利潤と効用の動機付けは各個人や企業 が真剣に経済活動を行うインセンティブを 与えている. 3 割り当て p.54 • • 価格システムは資源を配分する一つの 方法 割当制度-ある財を提供された条件で 欲しい量だけ入手できない場合の配分 方法 1. 行列 2. くじ引き 3. 配給切符 おわりに • 価格は希少性の尺度 • ある物がある人の物であることを示す概 念が所有権 • 利潤は企業の利益 • この3つがあると経済主体に適切なインセ ンティブを与える
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