4章 競争条件と企業の行動 渡辺真世 目次 1 不完全競争はなぜ問題か 2 不完全競争下の企業行動 3 経済学における競争戦略理論 オファー曲線 予算制約線の傾きと無差 別曲線が接する点をつな いだもの オファー曲線上では 価格比と無差別曲線の傾 きが等しい 生産者がプライステイカーであるとき =完全競争市場 価格比α→市場不均衡 X財超過需要 Y財超過供給 ↓価格調整 価格比β→E*点において需 要供給均衡 ☆3章復習 均衡点E*価格比=両者の無 差別曲線の傾き ↓ 競争均衡はパレート効率的 価格支配者がいるとき① =不完全競争市場 両者の無差別曲線が 交差している ↓ 効用改善可能な領域 がうまれる ↓ パレート最適な状態で ない 需要曲線 市場全体の需要曲線 「価格が○円のとき、日本全体で△万 個の需要がある」 企業Xへの需要曲線 「○円にしたら自社製品が△個売れる」 • 価格支配力が小さい 価格:市場の動向で決 まっている ↓ 需要曲線は水平(に近 い) =価格弾力性が大きい • 価格支配力が大きい 価格を上げても需要が全 く減らない =価格弾力性0(小さい) 独占企業の限界収入 価格を下げる/生産量を 増やすと、価格低下以上 に限界収入が低下する 独占企業の利潤最大化条件 限界収入=限界費用 独占企業は価格を高く、供給 を抑えて超過利潤を得る 独占市場での余剰 完全競争市場での余剰 =独占死荷重 1 不完全競争はなぜ問題か まとめ • プライス・メイカーが存在するとき、効用の改 善可能な領域ができ、交換経済はパレート効 果的でなくなる • 生産者が独占的に行動した場合、独占死荷 重が生まれる 2 不完全競争下の企業行動 • 不完全競争状態 独占-ある産業に企業が1社 寡占-参加企業が数社 複占-参加企業が2社のみ ・寡占市場での戦略的状況・ゲーム的状況 需要曲線・自社の限界費用線 + 他者の行動 利潤最大化 完全競争下 – 生産量販売量を決定 ・独占企業 – 制約:需要関数 価格を決めると数量が決まる 数量を決めると価格が決まる 高価格・低取引量の状態に至る ・寡占市場 – 制約:需要関数+他社の行動 企業が価格 or 数量をきめるかで大きな違い ①クールノー競争 供給量を同時に決定 利潤最大化条件 限界収入=限界費用 仮定:他社の生産量が分かっている X社 生産量 多い 少ない Y社 少ない 多い 反応関数:他社の行動への反応 戦略的代替関係:他社と逆の行動するインセンティブ が強まる 図4-6 反応関数 Y社生産量 Xc(完全競争) 0 XM(独占) X社生産量 図4-7 反応関数の交点 Y <クールノー競争下> X社反応関数 E (ナッシュ均衡) e’ d b 0 Y社反応関数 e c a X ② シュタッケルベルク競争 供給量を順番に決定する 先 後手企業の反応を読んで 自社の生産量を決定 後 先手企業の生産量をみて 反応関数に従って自社の 生産量を決定 先手企業が大量に生産 戦略的代替状況 後手企業は生産量を低く抑える 先手企業はクールノー競争時よりも供給 完全競争市場より高価格・低供給・低効率 ③ベルトラン競争 価格を戦略変数 X社 Y社 X社x 100円 99円 98円 価格は限界費用の 水準まで低下 完全競争下での利潤最大化:価格=限界費用 完全競争時と同様の供給量、総余剰、パレート効率性が得られる ☆価格競争市場での企業の工夫:コミットメント F社 1円でも高い場合値引き L社 値下げ F社 L社の値下げ分値下げ L社 値下げ× 3 経済学における競争戦略論 独占が成功しない理由 ・代替品の存在 ※商品の分類:外見・原材料・満足度・価値 ・他企業の新規参入 コンデスタブル市場:競争的な価格設定を強いられる • 不完全競争状態におけるカルテル行動 企業同士が値下げや大量販売を避けるよう 協調する ・カルテルの前提 代替品が少ない 新規参入が難しい 地域内のみでの営業販売 開業に許認可 ・カルテル崩壊 無数に同業企業が存在する場合 経営危機にある企業がいる場合 競争回避策 ①ニッチ市場 大企業がターゲットとしない小さな市場 潜在的にはニーズがあるが供給されていない市場 ②商品差別化:独占的競争 不完全競争下での政府の行動 必要 or 不必要
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