シャープが債務超過に―格付は変更せず鴻海との提携を注視

NEWS RELEASE
2016年5月13日
シャープが債務超過に―格付は変更せず鴻海との提携の進捗を注視
シャープ(証券コード:6753、発行体格付=CCC+で格上げ方向のレーティング・モニター中)は 12
日、2016 年 3 月期に 2500 億円を超す当期純損失を計上し、430 億円の債務超過に転じたと発表した。営
業キャッシュフローもマイナスになるなど、経営再建の取り組みが実を結んでいるとは言い難い状況だ。
とはいえ、赤字が拡大した要因は今後の体質強化に向けた棚卸資産の圧縮などによる一時費用の影響が
大きい。また、資金面で銀行のサポートが継続される見通しであることから、格付は変更しない。
R&I は 2 月、シャープが台湾の鴻海精密工業及び同社と緊密な関係にある 3 社に対する第三者割当増
資を決議したと発表したことを受け、収益基盤・財務基盤の拡充につながると判断し、格上げ方向のレ
ーティング・モニターに指定した。その後の交渉で出資額が引き下げられ、シャープ自身の財務基盤の
毀損が進むなどの変化はあるものの、受託製造サービス(EMS)の世界最大手の鴻海精密工業の子会社に
なることが信用力にプラスに働くことに変わりはなく、複数ノッチの格上げになる可能性はなお高い。
2016 年 6 月の株主総会での承認を経て、早ければ 6 月末にも増資が完了する。シャープが増資で得た
資金を投じる有機 EL パネルは、開発競争で競合他社に遅れを取っている。そのうえ、収益の変動性は液
晶パネルと同様に高いとみられる。薄型パネルを引き続きコア事業とするシャープの収益・財務基盤を
精査したうえで、鴻海グループ内でのシャープの位置付けや財務・事業両面のサポート体制、シナジー
効果の発現可能性などを総合的に勘案し、払い込みが完了したのちに、新たな格付を公表する。
主任格付アナリスト:村瀬
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