日立製作所が伊社の鉄道関連事業を買収

NEWS RELEASE
2015年2月25日
日立製作所が伊社の鉄道関連事業を買収―格付への影響なし
日立製作所(証券コード:6501、発行体格付=A+)は 24 日、イタリアの防衛・航空大手 Finmeccanica
から信号事業と鉄道車両事業を買収すると発表した。信号事業を担う会社への Finmeccanica の出資比率
は 4 割で、残りの株も株式公開買い付けにより取得する。買収総額は 2500 億円を上回る見通し。各国規
制当局の承認を得たうえで 2015 年内に買収を完了する方針。
Finmeccanica が 4 割出資する Ansaldo STS は、信号や制御システムを世界各地の鉄道に納入している。
高い市場地位を築いており収益性も高い。一方の AnsaldoBreda は Finmeccanica の完全子会社。鉄道車
両事業で長い歴史を持ち、グローバル市場へも一定程度展開しているが、赤字が続いている。
今回の買収が日立製作所の格付に影響することはないと、R&I は判断している。事業ポートフォリオ
の見直しやコスト構造改革の成果で 2014 年度は営業利益が 5800 億円と過去最高に達する見込み。利益
蓄積により金融除きの自己資本も厚みを増しており 2014 年末には 2 兆 6000 億円に達している。買収の
財務負担は軽くはないが、営業キャッシュフローなどからみて、財務基盤が崩れる可能性は低い。
日立製作所は、英国での大型受注を足掛かりに鉄道システムの海外事業を拡大しつつある。今回の買
収が実現すると、鉄道システム事業の売上規模が 2 倍以上になり、海外の基盤強化にもつながる。ただ
し鉄道システムのグローバル市場は欧州大手や中国企業との競争が激しい。また買収先のひとつである
鉄道車両事業は赤字だ。今回の買収がどの程度、利益をもたらすか慎重にみていく必要がある。
このところ電力システムや鉄道システムといった社会インフラ分野では、世界的にグローバル大手に
主導された再編の動きが活発化している。こうした中、日立製作所が信用力を高めていくには、グロー
バル大手と戦えるだけの収益基盤・財務基盤を構築することが重要になる。今回の事業買収を含めた成
長戦略により、主要事業の競争力と収益力を大きく引き上げていけるかに注目していく。
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