海運3社の事業統合 - 格付投資情報センター

NEWS RELEASE
2016年11月1日
海運大手3社:コンテナ船事業統合に合意、中長期的には信用力にプラス
10 月 31 日、海運大手の日本郵船(証券コード:9101、発行体格付=(A-)格下げ方向)、商船三井
(同:9104、発行体格付=BBB、方向性はネガティブ)、川崎汽船(同:9107、発行体格付=(BBB)格
下げ方向)がコンテナ船の事業統合に合意したことを発表した。2016 年 10 月末時点の 3 社の同事業の
船腹量を合算すると、約 140 万 TEU と、世界シェアで 7%、業界 6 位に相当する規模になる。出資額は
3000 億円、出資比率は日本郵船 38%、商船三井 31%、川崎汽船 31%となる予定。2018 年 4 月 1 日にサ
ービス開始を目指す。
コンテナ船は船舶の大型化が続いており、供給力が増加する一方、世界的な荷動きの停滞で需給バラ
ンスが崩れている。運賃市況は損益分岐点を大きく下回って推移しており、2016 年度は各社とも多額の
赤字を同事業で計上する見込み。世界経済、貿易の伸びは鈍化しており、需給ギャップが改善する見通
しはまだ立たない。そうした中、規模のメリットを得ることで競争力を向上し、生き残りを図るという
のが今回の事業統合の主旨だ。
統合により、最低でも 1100 億円の効果発現を見込む。規模拡大による購買力の向上、各社がベストプ
ラクティスを持ち寄ることや重複部門の合理化効果などが主な項目となろう。もっとも、資産の切り出
し方などによっては、先行費用が計上される可能性はある。日本郵船の出資比率が若干上回るが、3 社
対等の精神ということで、新会社のガバナンス体制整備もこれからだ。株主間の利害調整がスムーズに
進むかは、統合成功に向けた重要な注目点となろう。
競争環境が厳しく、利益確保に苦戦していたコンテナ船事業の統合は、中長期的には信用力にプラス
だ。とはいえ、コンテナ船を含め、海運市況が早期に回復するめどは立たない。収益源だった自動車船
の採算性が落ちているのも気掛かりだ。こうした状況を受け、日本郵船、川崎汽船の発行体格付を格下
げ方向のレーティング・モニターに指定している。商船三井も格付の方向性はネガティブだ。統合によ
る各社への影響とともに、海運全体の競争環境の見通しを踏まえ、格付に反映していく。
主任格付アナリスト:山本
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