新潟県知事選挙の結果受け

NEWS RELEASE
2016年10月17日
新潟県知事選挙の結果受け、東電委員会の議論を注視
16 日投開票の新潟県知事選挙は、東京電力ホールディングス(東電 HD、証券コード:9501、発行体格
付=BBB)の柏崎刈羽原発の再稼働に否定的な見解を示していた米山隆一氏が当選した。東電 HD が目指
してきた同原発の再稼働の先行きは、地元理解の確保の面から、不透明感が増す結果になった。
東電 HD はここ数年、新鋭火力電源の運転や各種費用削減の深掘りを着実に進め、原発停止中における
収支の耐久力は高まっている。原油価格の動向にもよるが、原発再稼働の遅れによる収支への影響が、
直ちに格付に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えている。とはいえ、再稼働できない状態が長引けば、
新・総合特別事業計画(新総特)で描く経営再建の道筋において、計画との乖離がさらに広がる。
東電 HD の信用力は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法を柱とする国の支援が支えになっている。賠
償・除染費用は同法の資金繰り支援が十分に機能しているが、総額は膨らみ続けている。工法等が未確
定の廃炉費用も大きく膨らむ懸念がある。こうした中で国は、電力システム改革による競争下でも、原
子力事業者が廃炉などを円滑に進められるよう、原子力の事業環境整備を行う方針を打ち出している。
東電 HD は 2016 年 7 月、「激変する環境下における経営方針」を公表し、賠償費用の負担の在り方や、
廃炉の推進に対する支援・環境整備などの検討を、政府に要請。経済産業省は 9 月に「電力システム改
革貫徹のための政策小委員会」、10 月に「東京電力改革・1F 問題委員会(東電委員会)」を立ち上げ、
ベースロード電源のアクセス確保や廃炉会計制度の在り方、東電改革の具体化などの審議を始めた。東
電 HD のみならず、電力業界全体にも大きな影響があるテーマが俎上に上っている。政府は東電委員会の
提言内容を、新総特を改定する中で反映する方針だ。
東電 HD の現状や電力システム改革の進展を踏まえると、福島第一原発も含めた廃炉費用の負担の在り
方を含め、原子力の事業環境整備は重要性を増している。重い課題に政府が真正面から取り組む姿勢は、
原子力事業者の信用力評価上、ポジティブに評価できる。しかし、東電委員会での方向性や原子力の事
業環境整備の制度設計次第で、経営が大きく影響を受ける東電 HD にとって、今般の選挙結果が議論の行
方にどう影響するのか、慎重な見極めを要する。必要に応じて格付に反映していく。
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