富裕国ノルウェーにも原油価格低迷の影響

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欧州
2016年3月15日
富裕国ノルウェーにも原油価格低迷の影響
2016年3月17日にノルウェー中銀の政策決定会合が開催されますが、原油価格の低迷などを背景に利下げされると
の予想が有力です。
ノルウェー:原油価格が低位で推移する中、
利下げ観測高まる
ノルウェー銀行(中央銀行)は、2016年3月17日に金融政策
決定会合を開催しますが、利下げを実施するとの観測が強
まっています。ノルウェーの政策金利である預金金利は、現
在0.75%ですが、市場では0.25%引き下げられ0.50%になるとの
予想が有力です(図表1参照)。
前回、2015年12月の会合では政策金利の据え置きが決定さ
れていたものの、会合後の声明でオルセン中銀総裁が、原
油価格の下落などを背景とした景気の悪化に対応するため
に、経済がほぼ見通し通りに推移するのであれば、2016年
上期に主要政策金利を引き下げる可能性があるとの見通し
を示していたこともあり、市場では今回の会合で利下げが実
施される可能性が高いと考えられています。
どこに注目すべきか:原油業界、財政、政府
系ファンド
ノルウェーは北海油田を有する産油国であり、同国の国内
総生産(GDP)に占める原油・ガスの割合は、ほぼ2割を占め
ています。ノルウェー経済もマイナスの影響を受け、2015年
10-12月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比で+0.3%
(年率、季調済)となり、2013年1-3月期以来の水準まで低下
しています(図表2参照)。
また、原油価格が低迷する中、エネルギー企業は設備投資
の削減を計画しており、ノルウェー統計局の発表によると、
2016年の海洋石油開発業界の設備投資額は2015年の
1,890億クローネ(約2兆4,576億円)から1,639億クローネ(約2
兆1,308億円)へと13.3%減少する見通しとなっており、ノル
ウェー経済にとってマイナス要因となる見通しです。
次に、ノルウェーの財政も原油価格下落の影響を受けてい
ます。ノルウェー政府が2015年10月に発表した2016年の予
算案では、原油からの収入を除いた財政赤字が2,078億ク
ローネ(約2兆7,014億円)となり、2015年と比べ282億クロー
ネ増加する見通しです。一方で原油からの収入は2,041億
ピクテ投信投資顧問株式会社
クローネ(約2兆6,533億円)と2015年よりも138億クローネの減
少が見込まれており、ノルウェーの政府系ファンドである政府
石油基金(ノルウェー政府年金基金-グローバル)から37億ク
ローネ(約480億円)を取り崩すこととなりました。
なお政府石油基金は投資資産からの利金や配当による収入
が2,096億クローネ(約2兆7,248億円)にのぼると見込まれて
いることから、一部を政府の財政に充てても基金自体の収支
は大幅な黒字となる見通しです。
このようにノルウェーについては、原油価格下落の影響を経
済、財政ともに大きく受けていますが、一方で原油価格の下
落などを背景に通貨クローネが下落していることが他の産業
の輸出を後押しする可能性はプラス要因と言えます。また、
政府石油基金は2015年末時点で7兆250億クローネ(約91兆
円)の資産を保有しており、依然としてノルウェーの財政の健
全性は当面、崩れることはないと考えられます。次回以降の
会合での利下げや財政政策の実施の可能性が注目されます。
図表1:ノルウェーの政策金利推移
(日次、期間:2011年3月11日~2016年3月11日)
2.5 %
1.5
0.5
11年3月
13年3月
15年3月
図表2:ノルウェーの実質GDP成長率推移
(四半期、前年同期比、年率、季調済、期間:2011年~2015年)
6 %
4
2
0
-2
11年
12年
13年
14年
15年
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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