6月 FOMCがハト派的な印象だったポイント

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北米
2016年6月16日
6月FOMCがハト派的な印象だったポイント
FOMC後の声明並びにイエレン議長の会見で、次回以降のFOMCで利上げを実施する可能性を残す表現は見られ
たものの、FOMC全体のトーンはハト派(金融緩和を選好する傾向)寄りであったと思われます。
6月FOMC:市場予想通り政策金利は据え置
き、年内1回の利上げ予想が6人に増加
米連邦準備制度理事会(FRB)は2016年6月14、15 両日に開
催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り政
策金利の据え置きを決定しました。前回(3月FOMC)で唯一
反対票を投じたカンザスシティ地区連銀のジョージ総裁は今
回は賛成に回り、全会一致での決定となりました。
どこに注目すべきか:
ドットチャート、長期FFレート、中立利子率
FOMC後の声明並びにイエレン議長の会見で、次回以降の
FOMCで利上げを実施する可能性を残す表現は見られたも
のの、FOMC全体のトーンはハト派(金融緩和を選好する傾
向)寄りであったと思われます。
ハト派的と見るうえで、次の3点に注目しています。
まず、参加者のフェデラルファンド(FF)金利予想を示唆する
ドットチャートです。例えば、2016年の利上げ回数を見ると
FOMC参加者のうち9人は3月時点と同様に2016年に2回の
利上げを想定しています。しかし、1回のみの利上げを予想
している参加者は3月時点の1人から6人に増えています(図
表1参照)。年内利上げ1回を見込む参加者が増えたことで
今回のFOMCがハト派的と見るのはわかりやすい目安です
が、6月時点では3月に比べ残りのFOMCの回数が少なく、
比較には注意も必要です。むしろ、2017年、18年のFF金利
予想が中央値で見て引き下げられたことに注目しています。
2点目は、FOMC参加者の経済予想が下方修正されたことで
す(図表2参照)。例えば、GDP(国内総生産)成長率は2.0%
へと引き下げられています。気になるのは長期FFレートが
3.0%と3月の3.3%から低下しています。イエレン議長は会見で
今回の決定に英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が
影響したと述べており、年内の予想値、政策金利が下方修
正された可能性は考えられます。しかしながら、来年以降の
FF金利予想の引下げや、長期FFレートの低下は短期的な
要因よりも、中長期的な要因が影響したと見られます。イエ
ピクテ投信投資顧問株式会社
レン議長の会見でも長期のFF金利の低下は(景気に中立な
実質利子率である)中立利子率の低下などの関与の可能性
が言及されてており、注目しています。
最後に声明文を前回と比べると、労働市場について懸念を
示しています。声明で労働市場の改善ペースは減速したと述
べられています。ただし、今後について労働市場は強まると
も述べており、またイエレン議長は記者会見で、低迷した5月
の雇用統計を念頭に、1ヵ月分のデータはトレンドを変更しな
いと述べてはいますが、回復の根拠も現段階では不十分な
状況と思われます。
予想外に軟調だった5月の雇用統計や英国国民投票など不
透明な海外情勢を受け今回のFOMCはハト派的な印象でし
た。ただし、それでも年内2回の利上げが多数派であるなど
利上げの機会を模索している状況です。海外状況の落ち着
きと、雇用市場の回復が今後の動向を占う鍵と見られます。
図表1:FOMC参加者17名の2016年利上げ回数の想定
(時点:2016年3月(左)、2016年6月(右)における想定利上げ回数)
10
8
6
4
2
0
9
人
9
前回3月時点予想
今回6月時点予想
6
3
1
1回
2回
1
3回
4
1
4回
図表2:FOMC参加者の2016年主な米国経済指標予想
(時点:2015年12月(左)、2016年3月(中)、2016年6月(右)、中央値)
4
%
12月時点
3月時点
6月時点 3.5 3.3
3.0
3
2.4 2.2
2.0
1.6
2
1.2 1.4
1
0
2016年
成長率(GDP)
2016年
インフレ率
長期FFレート
出所:FRBのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
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