Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 欧州 2016年2月10日 金融システム安定化の役割が期待されるCoCos債ですが 8日の欧州株式市場では業績懸念などを背景に銀行セクターが軟調となりましたが、市場でCoCos債(偶発転換社 債)、あるいは「その他Tier1債」(AT1債)と呼ばれる社債に対する不安が高まったことも下落の背景と見られます。 CoCos債:銀行セクターが軟調な展開となっ た一つの背景と見られる グローバルなリスク回避の動きが強まる中、欧州の株式市 場は下落傾向を強め、ストックス・ヨーロッパ600指数は2016 年2月8日と9日の2日間で5%以上下落しました。特にストック ス・ヨーロッパ600の銀行株指数は2日間で約9.3%の下落とな りました。市場が不安視するのは欧州銀行の収益悪化と見 られ、日欧が導入したマイナス金利を受けた利ザヤの縮小、 一部銀行の不良債権の増加などが懸念されています。 その他の不安材料として、8日の市場ではドイツ銀行の CoCos債(偶発転換社債)、あるいは「その他Tier1債」(AT1 債)と呼ばれる社債の利払いに対する不安が高まったことも 市場下落の背景と見られます(図表1参照)。ドイツ銀行は8 日、充当できる手元資金が「十分」にあると強調する声明を 発表するなど投資家の不安心理の火消しを迫られています。 どこに注目すべきか: CoCos債、トリガー条項、自己資本規制 まず、CoCos債について簡単に述べると、一般にCoCos債は、 発行体である金融機関の自己資本比率などの条件(トリ ガー)が予め定められた水準を下回った場合、強制的に株式 に転換されるなどの仕組みを有しています。例えば、先のド イツ銀行CoCos債のトリガーは5.125%となっています。投資家 が発行企業の株価水準などを見ながら、株式に転換するか 自由に判断できる転換社債とでは、資本不足などで強制的 に転換される点が異なります。 次に問題点を述べます。図表1で示したドイツ銀行のCoCos 債(利率6%)は他のCoCos債同様に永久債として発行されて いますが、予備償還期限は2022年となっており、市場が落ち 着いていれば(発行体の財務状況が安定していれば)、償還 も期待できます。しかし、発行体の財務状況に不安が高まり、 同債券の価格が下落(利回りは上昇)すると発行体が早期償 還に応じない可能性が高まります。また、場合によっては利 払いの停止も懸念されます。債券の期待されるキャッシュフ ピクテ投信投資顧問株式会社 ローががらりと変わってしまうことに市場は急激に反応したと 思われます。 もう一つの問題として、CoCos債の変動が高まると、ヘッジ目 的に株式など発行体の他の証券の売却や、CDS(クレジット・ デフォルト・スワップ)スプレッドの拡大が見られました。 しかし、CoCos債は2008年の金融危機の反省から自己資本 規制を強化する流れの中で、2010年頃から欧州の金融機関 を中心に資本増強手段の一つとして広まった債券です。自己 資本比率規制(バーゼル3)で上積みを求められる中核自己 資本への算入が可能なこと、巨大金融機関が万一、破綻に 直面した際には、公的資金を使うことなく損失を吸収する役 割も期待されるなど、本来は金融システム安定化への役割を 負っています。 なお、ドイツ銀行の2015年末の自己資本比率(コアTier1)は 11.1%で、ライバル会社に比べ低いものの、当局の要求水準 は一応クリアしています。2015年決算では、過去最大の赤字 となるなど注視は必要ですが、市場の反応はやや過剰かもし れません。教訓、CoCos債のような新しい証券では何かの きっかけで各市場が急反応することもあり注意が必要です。 図表1:CoCos債指数とドイツ銀行CoCos債の推移 (日次、期間:2014年5月21日~2016年2月8日) 110 2014年5月21日=100 で指数化 100 90 80 70 14年5月 ドイツ銀CoCos CoCos指数 14年11月 15年5月 15年11月 ※CoCos指数:BofAメリルリンチCoCosインデックス ※ドイツ銀CoCos債:ドイツ銀行CoCos債 クーポン6%、 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企 業の売買を推奨するものではありません。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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