金子 馨 - 日本大学文理学部

平成 26 年度
研 究 課 題
日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書
学科・資格
国文学科・助手A
申請者氏名
金子 馨
㊞
中世における書論の研究‐藤原教長『才葉抄』を中心に‐
本研究は、現存する中世期の書論(書道の理論書)の連関について、平安時代後期の公卿・藤原教長
報
研究目的
お よ び
告
研究概要
〈1109~1180?〉の書論『才葉抄』(別名を「筆体抄」や「筆法才葉集」などと呼ぶ)を中心に、その関連性を探る
ものである。ただし、日本における書論の研究はあまり進んでおらず、諸伝本の整理すらままならないのが現
状である。そこで、まずは三部集に数えられる『才葉抄』に着目し、その伝本を整理する。
現在の『才葉抄』の伝本研究では、近世に流布した『群書類従』所収の四十八条本、『日本書画苑』所収の
八十八条本、そして静嘉堂文庫などに伝わる二十四条本の三種に大別される。が、四十七条を有する龍門文
庫蔵の『宰相入道口伝』(応永二十二年〈1415〉書写とされ最善本とされる)や三十五条を有する恩頼堂文庫本
などが確認されており、『才葉抄』の伝本系統は多岐にわたっている。したがって、他書論を検討する上でも、
の
各機関に所蔵される『才葉抄』の諸本を調査・整理し、教長の口授した当初の形を想定することが先決と考え
る。
阪本龍門文庫・岩瀬文庫・伊達家文庫・慶應大学斯道文庫等に所蔵される『才葉抄』の伝本について、書
研 究
概
の
結 果
要
研
究
の
考 察
・
反 省
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌 名
巻・号
発行年月日
発行所・者
誌調査に重点を置き調査することができた。各資料の紙焼き写真を用いて、目下、精査を行っている。その
他、熊野の里筆工房では、古筆等の貴重な資料も閲覧・調査することができた。
なお、四天王寺大学恩頼堂文庫蔵『筆体口伝』、田安徳川家田藩文庫蔵『烏羽玉問答集 教長口伝抄』に
ついて、それぞれ原稿をまとめることができた。
現在、諸伝本の翻刻作業、及び校合作業にとどまっているが、今後、他伝本との比較等を経て、諸本の位
置付け、及び関連性について考えていく必要がある。
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項について御記入ください。
【研究成果物】
項目執筆 「歌合 文明 10 年 9 月 30 日」(p92)、「高陽院七番歌合」(p216~217)、「備中守仲実朝臣女子根
合」(p1003)、「堀河院艶書合」(p1075~1076) 『和歌文学大辞典』編集委員会編『和歌文学大辞典』(古
典ライブラリー、2014 年 12 月)
資料紹介(共著)「日本大学文理学部所蔵『百人一首注』について」『語文』149 輯(日本大学国文学会、2014
年 6 月 25 日、p17~41)共著者:辻勝美・金子馨・高橋優美穂・荒川真一・吉田智美・篠嵜あゆみ
論文(単著)「四天王寺大学恩頼堂文庫蔵『筆体口伝』について」『書学書道史研究』第 24 号(書学書道史学
会、2014 年 10 月 10 日、p43~57)
論文(共著)「日本大学文理学部所蔵『百人一首注』について」『語文』150 輯(日本大学国文学会、2014 年 12
月 25 日、p10~31)共著者:辻勝美・金子馨・高橋優美穂・荒川真一・吉田智美・篠嵜あゆみ
資料紹介(単著)「田安徳川家田藩文庫蔵『烏羽玉問答集 教長口伝抄』について」『語文』150 輯(日本大学
国文学会、2014 年 12 月 25 日、p46~66)
資料紹介(共著)「日本大学文理学部所蔵『百人一首抄』について」『語文』151 輯(日本大学国文学会、2015
年 3 月 25 日、p39~86)共著者:辻勝美・金子馨
報告書(共同)「徳川ミュージアム所蔵「大手鑑」について」『平成 26 年度地域と共働した美術館・歴史博物館
創造活動支援事業「開校・彰考館」プロジェクト 水戸德川家関連史料調査・活用事業報告書』(徳川ミュー
ジアム、2015 年 3 月 31 日)共著・共同研究者:名児耶明・池田和臣・金子馨