補足プリント 15:t 分布 松井宗也 南山大学経営学部 平成 27 年 9 月 16 日 今回の内容は「統計入門」(中村他、東京大学出版会)を参考にした。 1 t 分布 X ∼ N (µ, σ 2 ), U ∼ χ2 (n) で X と U は独立とする。このとき確率変数 √ X − µ/ U T = σ n は自由度 n の t 分布に従う。(t(n) と書くこともある。)その確率密度関数は f (t) = ( Γ( n+1 t2 )− n+1 2 2 ) √ 1 + n Γ( n2 ) πn で与えられる。証明は X を標準化して Z = X−µ σ とおくと、Z ∼ N (0, 1) だから Z と U の同時確率 密度関数は x2 n 1 1 −1 − u f (z, u) = √ e− 2 e 2 n u2 n 2π Γ( 2 )2 2 √ √ となる。ここで変換 t = z/ nu , x = u を考える。逆変換は z = t nx , u = x だからヤコビ行列は ∂z ∂t ∂z ∂x ∂u ∂t ∂u ∂x √ x = tn 2√nx 0 √ = x/n. 1 従って T と U の同時密度関数は √ n x xt2 1 x −1 − − f (t, x) = √ e 2 2n n x2 n n 2πΓ( 2 )2 2 2 n+1 1 −1 − x2 (1+ tn ) =√ e n x 2 2πnΓ( n2 )2 2 となる。x に関して積分すると 1 f (t) = √ n 2πnΓ( n2 )2 2 ∫ ∞ x n+1 −1 2 e− 2 x ( 0 ( Γ( n+1 n+1 t2 )− n+1 2 2 ) 2 = 2 1+ n+1 √ n n Γ( 2 )2 2 nπ 1 2 1+ tn ) dx となり、これは自由度 n の t 分布 t(n) の確率密度関数に等しい。なお「スチューデントの t 分布」と も呼ばれることもあるが、この由来に関してはウィキペディア等を参照せよ。ここで最後の積分計算 には、ガンマ分布の密度関数の積分を応用した。 □ 分布は y 軸に対して左右対称である。 □ 標準正規分布に従う確率変数よりちらばりが大きい。 □ 自由度によっては期待値や分散が存在しない(無限大になる) 自由度 n 期待値 E[X] 分散 V [X] 1 × × 2 ⃝ × 3≤n ⃝ n n−2 □ 期待値と分散はレポート課題を参照のこと。 □ 自由度 1 の t 分布はコーシー分布に等しく、この場合は期待値も分散も存在しない。 □ 自由度が大きくなると標準正規分布に従う。 2
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