プリント01

2016 年 S 科 数理統計学 2 演習
1. いろいろな確率変数の分布と母数
'
$
おもな離散型確率変数の分布. 以下は離散型確率変数 X : Ω → S の確率 (質量) 関数
P (X = r) が次のように与えられたときの X の分布 µ の名称を表にしたものである.
n ∈ N, p ∈ (0, 1), λ ∈ (0, ∞) とするとき,
{r
{r
{r
{r
S
∈ Z; 1 ≤ r ≤ n}
∈ Z; 0 ≤ r ≤ n}
∈ Z; r ≥ 0}
∈ Z; r ≥ 0}
P (X = r)
1/n
r
n−r
n Cr p (1 − p)
e−λ λr /r!
(1 − p)r p
分布の名称
離散一様分布
二項分布 B(n, p)
ポアソン分布 P o(λ)
幾何分布 G(p)
注意 幾何分布 G(p) は P (X = r) = (1 − p)r−1 p, r ∈ N で定義されることもある.
おもな連続型確率変数の分布. 以下は連続型確率変数 X : Ω → S の確率密度関数 f (x)
が次のように与えられたときの X の分布 µ の名称を表にしたものである.
(a, b) ⊂ R:有限開区間, λ ∈ (0, ∞), m ∈ R, σ ∈ (0, ∞), n, n1 , n2 ∈ N とするとき,
S
(a, b)
[0, ∞)
R
(0, ∞)
f (x) (x ∈ S)
1/(b − a)
λe−λx
( (x − m)2 )
1
√
exp −
2σ 2
2πσ 2
1
x(n−2)/2 e−x/2
n/2
2 Γ(n/2)
n1 1 n2 2
x(n1 −2)/2
B(n1 /2, n2 /2) (n1 x + n2 )(n1 +n2 )/2
(
1
x2 )−(n+1)/2
1
+
n1/2 B(n/2, 1/2)
n
分布の名称
一様分布 U (a, b)
指数分布 Exp(λ)
正規分布 N (m, σ 2 )
自由度 n の χ2 分布
n /2 n /2
(0, ∞)
R
自由度 n1 , n2 の F 分布
自由度 n の t 分布
特に N (0, 1) を標準正規分布という.
離散型確率変数の母数. X の確率質量関数を P (X = ai ) = pi (i ∈ N ⊂ N) とする. 次の
総和が定義可能で収束するとき, 次のそれぞれを X の平均, 分散, 積率母関数という:
∑
∑
E[X] =
ai pi , V [X] =
(ai − E[X])2 pi , MX (t) = E[etX ] (t ∈ R).
i∈N
i∈N
連続型確率変数の母数. X の確率密度関数を f とする. 次の積分が定義可能で収束する
とき, 次のそれぞれを X の平均, 分散, 積率母関数という:
∫ ∞
∫ ∞
E[X] =
xf (x) dx, V [X] =
(x − E[X])2 f (x) dx, MX (t) = E[etX ] (t ∈ R).
−∞
−∞
共分散と相関係数. 次のそれぞれを確率変数 X と Y の共分散, 相関係数という:
Cov (X, Y ) = E[(X − E[X])(Y − E[Y ])],
Cov (X, Y )
ρ(X, Y ) = √
.
V [X]V [Y ]
(n)
定理. 確率変数 X について, V [X] = E[X 2 ] − E[X]2 , MX (0) = E[X n ], Cov (X, Y ) =
E[XY ] − E[X]E[Y ].
&
–1–
%
問 1. 以下の分布に従う確率変数 X の積率母関数を求め, 平均と分散を求めよ. ただし, λ > 0,
p ∈ (0, 1), (a, b) ⊂ R:有限開区間, m ∈ R, σ ∈ (0, ∞), n ∈ N とする.
(1) ポアソン分布 P o(λ)
(2) 幾何分布 G(p)
(3) 一様分布 U (a, b)
2
(4) 指数分布 Exp(λ)
(5) 正規分布 N (m, σ )
(6) 自由度 n の χ2 分布
問 2. p, q ∈ (0, 1) とする. 確率変数 X, Y が互いに独立で, それぞれ幾何分布 G(p) と G(q) に
従うとき, 確率質量関数 P (X + Y = r) を求めよ.
問 3. n ∈ N とする. 確率変数 Xi (i = 1, 2, . . . , n) が正規分布 N (mi , σi2 ) に従い, 互いに独立
∑n
∑n
∑n
であるとき, 確率変数 i=1 Xi は N ( i=1 mi , i=1 σi2 ) に従うことを示せ.
問 4. X と Y を独立な確率変数でそれぞれ自由度 n, m ∈ N の χ2 分布に従うとする. このと
き, Z = X + Y が自由度 n + m の χ2 分布に従うことを示せ.
問 5. 標準正規分布 N (0, 1) に従う確率変数 X について, X 2 は自由度 1 の χ2 分布に従うこと
を示せ.
問 6. n, n1 , n2 ∈ N とする. 自由度 n1 , n2 の F 分布の確率密度関数を fn1 ,n2 とし, 自由度 n の
t 分布の確率密度関数を fn とする. このとき, 次のことを確かめよ.
∫ ∞
∫ ∞
(1)
fn (x) dx = 1
(2)
fn1 ,n2 (x) dx = 1
−∞
−∞
(3) 関数列 {fn (x)}n∈N は標準正規分布 N (0, 1) の確率密度関数に各点収束することを示
せ. ガンマ関数の漸近展開に関わる以下の事実を用いてもよい:
Γ(x + 1)ex √
= 2π.
lim
x→∞
xx+1/2
問 7. 次のことを示せ.
(1) 確率変数 T が自由度 n の t 分布に従う確率変数とするとき, T 2 が自由度 1, n の F 分
布に従うことを示せ.
(2) 確率変数 X, Y が互いに独立で, それぞれ標準正規分布 N (0, 1) と自由度 n の χ2 分布
に従うとき, 以下の確率変数は自由度 n の t 分布に従うことを示せ:
X
.
T := √
Y /n
(3) 確率変数 X, Y が互いに独立で, それぞれ自由度 m の χ2 分布と自由度 n の χ2 分布に
従うとき, 以下の確率変数は自由度 m, n の F 分布に従うことを示せ:
X/m
F :=
.
Y /n
(4) 確率変数 X が自由度 n1 , n2 の F 分布に従うとき, 1/X は自由度 n2 , n1 の F 分布に従
うことを示せ.
問 8. 2 つの確率変数 X, Y が独立ならば Cov (X, Y ) = 0 であることを示せ. また, 逆が成立
しない反例をあげよ.
$
'
ガンマ関数とベータ関数の定義と性質.
∫ ∞
∫
α−1 −x
Γ(α) :=
x e dx (α > 0), B(p, q) :=
0
• Γ(1) = 1
√
• Γ(1/2) = π
• Γ(n) = (n − 1)!, n ∈ N
• B(p, q) = B(q, p)
&
–2–
1
xp−1 (1 − x)q−1 dx (p, q > 0);
0
• Γ(α) = (α − 1)Γ(α − 1), α > 1
Γ(p)Γ(q)
• B(p, q) =
Γ(p + q)
%