第2学年B組 生活科学習指導案 授 業 者 研究協力者 1 単元名 あそんで ためして 嶋崎 瀬尾 裕子 知子 くふうして! 2 子どもと単元 (1) 子どもについて 子どもたちは,1年生の時に「見つけた 秋のたからもの」の単元で,ドングリや落ち葉 などを使って絵を描いたり,おもちゃをつくったりした。自然物を使ったおもちゃづくりで は,単元を通して試行錯誤を繰り返しながら制作活動に没頭する姿が見られた。 事前調査では,全員がおもちゃづくりを経験していた。「ゴムを使って動く車をつくった ことがある」という子どもが2人いたが,風,空気,水などを利用したおもちゃづくりを経 験している子どもは少なかった。「おもちゃをつくったら,友達とどんな遊びをしたいか」 という質問に対しては,「おもちゃの出来具合を競う,おもちゃを自慢したい,1年生と遊 びたい」という答えが多かった。「身近な自然とはどんなものか」という質問に対しては, 「植物や生き物」と答える子どもがほとんどで,「風,空気,水」と答えた子どもは,いな かった。 (2) 単元について 本単元は,学習指導要領の内容(6)の「身近な自然を利用したり,身近にある物を使っ たりなどして,遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,その面白さや自然の不思議さに気付 き,みんなで遊びを楽しむことができるようにする。」(8)「身近な人々と伝え合う活動 を行い,身近な人々とかかわることの楽しさが分かり,進んで交流することができる。」(9) 「自分自身の成長」を受けて設定した。 本単元では,自分の思いや願いに沿ったおもちゃを試行錯誤しながらつくる活動を重視す る。この活動を通して,比べる,繰り返す,試すなどの体験をしながら相違点や共通点に気 付いたり,疑問をもったり,自然のきまりに気付いたりすることができると考える。これら の活動を通して,科学的な見方や考え方の基礎を養うことができると考える。 また,遊びやおもちゃづくりの過程で自分の考えを発信したり思いを友達と共有したりす ることで,自分のよさに気付いて自信をもつことができるとともに,相手意識をもって適切 に人と接することの大切さにも気付くことができると考える。 (3) 指導について 単元の導入では,子どもたちの好奇心や探求心を引き出すことができるように,様々な素 材や風・空気・ゴム・磁石・ひもを利用したおもちゃを使って十分に遊ぶ時間を設ける。 おもちゃづくりの段階では,自分の思いや願いに沿ったおもちゃをつくることができるよ うに,思いを巡らせ設計図に表す活動を設定する。その際,おもちゃの動力について,風・ 空気・ゴム・磁石・ひもなどの身近にある物を提示する。また,教え合ったり,助け合った りできるように,利用する動力ごとにグループを編成する。友達とそれぞれのおもちゃで遊 び,かかわり方のよさを伝え合ったり,より楽しく遊ぼうとアイディアを出し合ったりする 時間を設けることで,みんなで遊びを楽しむことができるようにする。 遊びを交流する段階では,相手意識をもって遊びの内容や説明の仕方を考えることができ るように,動力の違う友達同士でおもちゃを交換して遊んだり,「おもちゃ広場」を開き,1 年生のなかよしペアと一緒に遊んだりする機会を作る。その際,双方向的なかかわりになる ように,招待状を作成し,1年生からは,ありがとうカードが届くように依頼しておく。 学習のまとめとして,友達のよさや自分の成長,自然の不思議さに目を向けることができ るように,動くおもちゃづくりで楽しかったことや分かったこと,友達や1年生とのかかわ りについて「おもちゃスペシャリストカード」で表現し,互いに見合う場を設ける。この活 動を通して,さらに相手の気持ちや考えを尊重する態度を身に付けていくことができると 考える。また,これからの自分たちの生活に生かそうという姿勢が見られることも期待した い。 3 単元の目標 <記号は本校の資質・能力表による> (1) 身近な自然や身近にある物を利用し,動くおもちゃや遊びに使う物を工夫してつくり,楽 しく遊ぼうとする。 <キ-3・4> (2) 身近な自然や身近にある物のはたらきを生かしながら,動くおもちゃや遊びに使う物を工 夫してつくるとともに,自分や友達のつくった物のよさや工夫について表現したり伝えたり することができる。 <カ-1・2,ケ-1・2,シ-1・2> (3) 遊びの面白さや自然の不思議さ,自分や友達がつくった動くおもちゃや遊びに使う物のよ さや工夫,自分や友達のかかわり方のよさについて気付くことができる。 <キ-4,コ-1・3> 4 単元の構想(総時数14時間) 学習活動 時間 評価 (本校の資質・能力との関連) 集めた素材や自 ・ 児童の意欲を喚起するために,た ・ 身近な自然や身近 然の動力を利用し くさんの素材や手作りおもちゃを用 にある物を利用した たおもちゃを見た 意し,遊ぶ場を設定する。 おもちゃの動きに関 り,遊んだりする。 心をもち,楽しく遊 んでいる。 <キ-3> 学習課題 動くおもちゃづくりをして,おもちゃのスペ シャリストになろう。 3 (2) どのような動く ・ 動かし方の思いや願いを大切にお ・ 身近な自然や身近 おもちゃをつくる もちゃづくりができるように,設計 にある物のはたらき かを考え,設計図 図カードを準備する。 を生かした動くおも に表す。 ちゃのつくり方を表 している。 <シ-1> 4 (3) 自分が持ってき ・ 友達同士で教え合ったり,一緒に ・ 身近な自然や身近 た材料で,工夫し 試したりして,遊ぶことができるよ にある物のはたらき 5 ておもちゃをつく うに,動力ごとのグループを編成す を生かしたおもちゃ 6 ったり遊んだりす る。 や,遊びに使う物を る。 工夫してつくってい ・ 作業がスムーズにできるように, <キ-3,ケ-1> 「道具ヒントコーナー」を設置する。 る。 7 (4) もっと楽しく遊 ・ 友達のおもちゃと比べ,それぞれ ・ 友達と工夫したと ころを伝え合ったり 本時 べるように手直し のおもちゃの特性に気付いたり,作 試したり,比べたり 8 をしたり遊び方を り替えた方がよい点を相談したりで して,おもちゃのつ 工夫したりする。 きるように,さらに工夫を重ねるた くり方の工夫を考え めの情報交換をする時間を設ける。 ることができる。 <キ-4,コ-1> 9 (5) 「おもちゃ広場」 ・ 友達や1年生と楽しく遊ぶことが ・ 自分がつくったお の準備をする。 できるようにするために,遊び方の もちゃで遊ぶための 10 工夫を話し合いながら準備できるよ 工夫や友達とかかわ うにする。 って遊んだことを言 葉を選んで表してい る。 <カ-1・2,ケ-2,シ-1・2> 11 (6) 「おもちゃ広場」 ・ つくり方や遊び方で工夫したこと ・ みんなで楽しく遊 にペアの1年生を を紹介し,それぞれのおもちゃの楽 ぶために必要な工夫 12 招待する。 しさを教え合えるようにする。 やルールに気付くこ 13 とができる。 <キ-4> (7) 学習全体のふり ・ おもちゃのスペシャリストになっ ・ おもちゃについて 14 返りをする。 たことを実感するために「おもちゃ 自分の考えをまとめ スペシャリストカード」を準備し, 活動の整理をするこ 絵や文でまとめていくように促す。 とができる。 <コ-3> 1 2 (1) 教師の主な支援 5 本時の実際 本時(7/15) (1) ねらい おもちゃの動きをよりよくするためのアドバイスの交流やグループでの話合いを通して, より楽しく遊ぶためのおもちゃのつくり方を考えることができる。 (2) 展 開 ○:「対話」の機能を活かすための手立て 時間 3分 学習活動 ① 本時の学習のめあてを確認 する。 教師の支援 評 価 ・ 前時までの活動をふり返り,もっとよく動く おもちゃをつくりたいという意欲を高めるよう にする。 ・ これまでのおもちゃづくりで工夫したことや 困っていることを想起する場を設ける。 学習課題 遊んで試しながら,つくり方の工夫を考え,おもちゃをパワーアップしよう。 2分 ② 25 分 ③ 活動の見通しをもつ。 自分のおもちゃや友達のお もちゃで遊びながら,より動 くおもちゃになるようにつく り方を工夫する。 【自分との対話】⇔【仲間との対話】 〈予想される子どもの反応〉 ・○○さんのおもちゃは,ゴムを何回も 巻き付けるといっぱい進むようにな るよ。 ・もっと風を強くしたいんだけど,何を 使ったら強くできるかな,教えて。 ・タイヤがすぐに取れてしまうけど,取 れないようにするよい方法はあるか な。 10 分 ④ 友達からのアドバイスを参 考にしながら,より動くよう に工夫することをグループで 考え伝え合う。 【自分との対話】⇔【仲間との対話】 〈予想される子どもの反応〉 ・もっと風を強くするために,あおぐ物 を大きくすると強くなって,勢いよく 進むね。 ・まっすぐ走らなかったから,○○さん から教えてもらったよ。タイヤの向き が左右で違っていたことに気付いた よ。 5分 ⑤ 本時の学習をふり返り,次 時の学習への見通しをもつ。 ・ 活動内容を掲示することで,活動の見通しを 明確にできるようにする。 ・ 前時に書いた記録カードを基に,自分がどん なふうに工夫したいのかをいつでも確認できる ようにするために,製作過程が分かる掲示の工 夫をする。 ・ 困っていることを再確認すると共に,新たな 工夫へのヒントが得られるように,つくったお もちゃで遊ぶ時間を設ける。 ・ おもちゃの問題点を解決できないでいる子ど もには,より動くおもちゃになるように,教師 も一緒に遊びながら「きらっとヒントコーナー」 や友達のおもちゃを参考にするように声をかけ る。 ・ 手直しがすぐできるように,便利コーナーや 材料コーナーを設置し,安全に活動できるよう に作業を見守ったり手助けしたりする。 ・ おもちゃで遊ぶ楽しさや,より動くようにす るための新たな工夫に気付くことができるよう に,遊んだ感想やアドバイスを伝え合う時間を 確保する。 ・ 友達との関わりがおもちゃづくりに生かされ たことを共有できるようにするために,友達か らのアドバイスについての気付きを紹介する場 を設定する。 友達と工夫したところを伝え合ったり試 したり,比べたりして,より楽しく遊ぶため のおもちゃのつくり方の工夫を考えること ができる。 <キ-4,コ-1>(発言,行動観察,シート) ・ おもちゃがより動くようになったことをふり 返るとともに,友達とのかかわりのよさにも目 を向けられるように助言する。 ・ 本時の活動の満足感と次時の学習への見通し がもてるように,子どもたちの活動を称揚する。 (3)「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿 《学習活動③において》 子どもの姿 ・ 自分が楽しいと感じるおもちゃをつくっている。もっと跳んだり速く走 ったりするようにつくろうという意識が低い。 【協働して追究する「問い」】 「もっと動くおもちゃづくりをするために,どこをパワーアップすると いいかな?」 【教師の手立て】 ・働きかけ:「もっと跳んだり,速く走ったりするようになるには,今の おもちゃのどこを直したらいいのかな。」 ・ 困っていることを再確認するとともに,新たな工夫へのヒントが得ら れるように,つくったおもちゃで遊ぶ時間を設ける。 ・ 友達同士でアドバイスする場を設定し,よりよく動くおもちゃにする ための工夫を考えたり,協力して改良を重ねたりできるようにする。 仲間との対話 進んでもすぐに止まってしまうので,もっとたくさん進む方法 は,ないかな? ・ ○○さんのおもちゃは,ゴムを何回も巻き付けるといっぱい進 むようになるよ。 ・ うちわであおいでもなかなかうまく進まないので,まっすぐ進 むには,どうしたらいいかな? ・ もっと風を強くするには,大きなうちわにしたり段ボールの板 を使ったりしてあおいでみてもいいと思うよ。 ・ まっすぐ上に跳ばなくて困っているんだけど,まっすぐ跳ぶよ うにするよい方法はあるかな。 ・ ぴょんぴょんカエルをまっすぐ上に跳ばすには,平らな所に置 いたり,ゴムのかけ方を斜めにならないように工夫したりすると いいよ。 ・ 目指す 子どもの姿 ・ みんなからのアドバイスを生かしてよりよく動くようにおもちゃを 改良しパワーアップしたおもちゃをつくっている。 ・ グループでのアドバイスを参考におもちゃの手直しをすることで, もっと動くようになったということを実感している。 ・ さらに楽しくおもちゃで遊ぶことができるように試したり,もっと 動くように改良したりしている。
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