第6学年B組 体育科学習指導案

第6学年B組
体育科学習指導案
授 業 者
研究協力者
1
単元名
ふりきれ!
つなげ!
全員シュート!
柴田
佐藤
優樹
靖
~ハンドボール~
2
子どもと単元
(1) 子どもについて
体育に関するアンケートでは81%の子どもが「体育が楽しい」16%が「やや楽しい」と答
えている。体育の授業で体の動かし方やコツが分かるかという問いに対しては,65%が「分
かる」,26%が「やや分かる」を選択している。体育で運動が今までよりもうまくできるよ
うになっているかという問いに対しては「うまくなってきている」が52%,「ややうまくな
ってきている」が45%であった。
これらの結果から,子どもたちは体育は楽しく,体を動かすコツはかなり分かり,運動が
うまくできるようになってきていると認識していると考えられる。
子どもたちはボールを使った運動にとても意欲的である。ゴール型の学習としてこれまで
に,ハンドボール,バスケットボール,サッカーを簡易化したゲームを経験してきている。
中でも昨年度行ったハンドシュートボールでは,ボールを持ったときとボールを持たないと
きの動きに着目して学習を進めた。その結果,「ボールを持ったらゴールを見る」「ちょう
どよいパスをする」(パスの速さと位置),「ボールを持たないときは相手からずれる」をポ
イントととらえて学習を積み重ね,技能を高めてきた。また,思考判断については自分の作
戦を考え,それを持ち寄ってチームの作戦を決め,ゲームをして作戦を修正するという学習
を繰り返し行ってきている。
(2) 単元について
本単元は,ハンドボールを簡易化したゴール型のボール運動である。仲間と力を合わせて
パスを回し,得点を競争することで,楽しさや喜びを味わうことができる。
技能としての第一歩はボールを持ったら「ゴールを見る」ことである。次にシュート,パ
ス,キャッチ,キープといった「ボール操作」,そしてボールを持たないときの「空間に走
り込む」動きが重要である。また,これらの技能をタイミングよく発揮するためには味方と
相手の位置や動きを予測したり,シュートできるチャンスを瞬時に感じ取ったりする感覚を
高めることも重要であると考える。
態度では,子どもたちがルールやマナーを守り協力して準備やゲームに取り組んだり,場
や用具の安全に気を配ったり,勝敗を受け入れたりすることができるようになると期待でき
る。また,チームの特徴に合った作戦を考えたり,成果をフィードバックし,体を使って試
行錯誤したりすることを繰り返すことで,「対話」しながら思考力・判断力を高めることが
できると考える。
(3) 指導について
単元を通して,ボールに触れる機会を増やし,シュートする楽しさを十分に味わわせたい。
昨年度までは攻守交代型のゲームを中心にしてきたが,本単元ではこれまで身に付けた技能
を生かして攻守混交型のゲームを行う。単元の前半では,メンバーを交代しながらの連続3
対2,後半はメンバーを固定した3対3のゲームを設定する。
昨年度,作戦を立てて攻める学習を行ったときは,「作戦は工夫したんだけれど,シュー
トまでいかなかった」という感想が多かった。ボールをもらうために空間に動いても相手が
それに対応して守るようになるため,チャンスにならないということが大きな原因だったと
考える。そこで,本単元では,「空間に動く」レベルをさらに高め,相手をふりきってボー
ルを受ける技能を高めていきたい。これができれば,今までと同じような作戦でもさらに高
い確率でシュート局面につなげることができると考える。
相手をふりきるには,ゴールの位置や仲間の位置などを感じ,相手の裏をかくような感覚
を高める必要がある。試行錯誤しながら,相手をふりきる動きを身に付けることができるよ
うに,タブレット端末の動画を活用する。また,作戦を考えたり修正したりする場面でもタ
ブレット端末を活用し,視覚的な情報をもとに対話を活性化し,ゲームで生かせるようにし
たい。
ゴールの設定については,昨年度は90°回転した形で行ったが,本単元では通常の対面式
のゴールにする。昨年度までは両側からシュートがねらえたが,本単元ではそれができない
ため,シュート局面にもっていくことやシュートを決めることに難しさが増すと予想される。
そこで,子どもたちと相談しながらシュートゾーンを設置したり,シュートがゴールの枠を
とらえていれば得点を認めたりするルールを工夫したりし,シュートを打つ楽しさを保障し
ていきたい。
学習カードは,単元の前後で技能の向上が自覚できるように,自分の技能について分析が
できるように作成する。また,仲間と動きのよさを共有したり,作戦を試したりする中で,
全員シュートに向けて一丸となり,運動する楽しさが実感できる授業を目指したい。
3 単元の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉
(1) パス,シュート,キープなどのボール操作や,ボールを受けるための動きを使って攻めた
り,ボール保持者とゴールの間に位置して守ったりすることができる。
〈d-ソ-3・6・8〉
(2) ルールやマナーを守り,安全に気を付け,仲間と励まし合って運動したり,勝敗を受け入
れたりし,ボールゲームに進んで取り組もうとする。
〈a-2・8・10・13〉
(3) ゲームの行い方や動き方,ゲームの型の特徴に合った攻め方を知り,ルールや,チームの
特徴に応じた作戦を工夫することができる。
〈b-13・14・24〉
4
単元の構想(総時数9時間)
時間
1
2
3
4
5
6
7
8
本時
9
学習活動
教師の主な支援
(1) オリエンテーショ ・ 見通しをもって学習に取り組
ンを通して,学習の
むことができるように,全体計
見通しをもつ。
画を提示したり,ゲームの準備
や行い方を試しのゲームで指導
したりする。
ねらい:3対2の状況で,ボールを投げる,捕るなどのボ
ールの操作や,構え,すばやい動きなどを身に付
けることができる。
(2) ハンドボール連続 ・ シュートを決める工夫を身に
3対2を行う。
付けることができるように,シ
・攻守混交型
ュートのコツや狙い所などを探
1試合目
究する場を設ける。
(6分)
作戦タイム
・ パスをつなぐためのポイント
2試合目
を想起することができるように
(6分)
動きのキーワードを提示する。
(6Bリーグ)
(6Bトーナメント) ・ 学んだことをゲームの中で試
すことができるように,連続3
対2のゲームの時間を十分に保
障する。
ねらい:ボールをもらうためのふりきる動きを生かした作
戦を立て,3対3(攻守混交型)のゲームを行う
ことができる。
(3) オールコートでハ ・ 3対3のゲームの進め方を理
ンドボール3対3を
解することができるように,必
試す。
要に応じてゲームを止めて説明
したり,ルールの確認をしたり
する。
(4) ハンドボール3対 ・ 作戦の質を高めることができ
3を行い,
作戦を試す。 るように,試行錯誤をする時間
を保障する。
・攻守混交型
・ 作戦を工夫したのにうまくシ
1試合目
ュートにつなげられなかった理
(3分×3セット)
由を話し合う場をもち,相手を
作戦タイム
ふりきってボールをもらうこと
2試合目
の大切さを共通理解できるよう
(3分×3セット)
にする。
(6Bリーグ)
・ 相手をふりきるよい動きを提
示し,技能の向上につなげるこ
とができるように,タブレット
端末を活用した話合いの場を設
ける。
(5) まとめのゲームを ・ これまでの学びを生かしなが
行い,単元を通しての
ら,対戦相手に感謝の気持ちを
学びをふり返る。
もってまとめのゲームを行うよ
う助言する。
(6Bトーナメント)
評価〈本校の資質・能力との関連〉
・
ゲームの行い方やル
ール,安全な学習の進
め方を知り,進んで準
備や片付けを行ってい
る。
〈a-2・8・10・13〉
・
シュートを決めるた
めのコツに気付き,得
点しやすい場所に投げ
ている。
〈d-ソ-3>
・
ゴールを意識しなが
らパスをつないで攻め
ることができる。
〈d-ソ-3〉
・ 約束・ルール・マナ
ーを守り,公正にゲー
ムをしたり勝敗の結果
を受け入れたりする。
〈a-6・8〉
・
ゲームの行い方やル
ール,安全な学習の進
め方を知り,進んで準
備や片付けを行ってい
る。
〈a-2・8・10・13〉
・ チームの特徴に応じ
た作戦を考えている。
〈b-24〉
・ 相手をふりきってパ
スを受ける動きに気付
き,動きを試している。
〈d-ソ-3・6〉
・
作戦をもとにしなが
ら相手をふりきってパ
スを受けてプレーして
いる。 〈d-ソ-3・6〉
・
ルールを守り,安全
に気を付け,自分の役
割を果たしながら進ん
でゲームに取り組んで
いる。
〈a-2・8・10・13〉
5
本時の実際 本時(8/9)
(1) ねらい
作戦を基にしながら,ゲームの中で相手をふりきり,パスをつないでプレーすることがで
きる。
(2) 展
開
時間
○:「対話」の機能を生かすための手立て
学習活動
教師の支援
5分
①
準備運動をする。
・ チームごとに選択し
た運動を行う。
・
3分
②
学習課題を確かめる。
・
評 価
相手をふりきる動きを意識して取り組むよう指示
し,よい動きには積極的に声かけをする。
相手をふりきる動きのよさを実感できるように,
子どもたちのよい動きを動画で提示し,学習課題を
より明確にする。
学習課題
作戦を成功させるために,相手をふりきってプレーしよう。
3分
③
チームの作戦を確認す ○ 予め決めておいたチームの作戦がよりゲームで生
る。
【仲間との対話】
かされるように,実際に体を動かしてイメージを高
<予想される子どもの反応>
めるよう助言する。また,作戦チームカードや作戦
・ ○○作戦だよ。
板は必要に応じて使えるようにしておく。
・ 広がって攻めよう。
・ ボールをもらうときは
必ず相手をふりきるよう
にしよう。
12分
④
5分
⑤
12分
⑥
ハンドボール3対3を
行う。(1回目)
3分×3セット
【自分との対話】
・
動きの確認ができるように,ゲームのない児童に
は,相手をふりきって動くよう「前,ずらせ」など
の短い言葉でアドバイスを送るよう指示する。
チームごとにゲームを ○ 次のゲームに向けた留意点等に気付き,話し合い
振り返る。
が深まるように,各チームのタブレット端末に入れ
【仲間との対話】
ておいた前時までのよい動きを動画で提示し,話し
<予想される子どもの反応>
合う場を設ける。
・ 何度も動き直している。
・ 方向の工夫をしている。 ・ 相手をふりきる動きができていたか互いに助言し
・ 相手の裏をかいてるね。
合うことができるように,各チームを回って把握し,
・ スピードの変化がある。
次のゲームに向けた動きのよさを価値付けたり,留
・ ゴール方向に意識させ
意点を助言したりする。
ている。
ハンドボール3対3を
行う。(2回目)
3分×3セット
【自分との対話】
・
相手をふりきる動きを身に付けることができるよ
うに,よい動きや挑戦している動きに対して称揚や
励ましの声かけをする。
・
5分
⑦
本時の学習をふり返る。 ・
作戦を基にしながら,ゲームの中で相手をふ
りきったり,パスをつないだりしてプレーして
いる。
〈d-ソ-3・6〉
(行動観察,話合い,学習シート)
相手をふりきったプレーができていたかを相互評
価することができるように,チームごとに輪になっ
て一人一人のふり返りを聞き合うことを指示する。
(3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿
《学習活動③④⑤において》
【協働して追究する「問い」】
「作戦を成功させるために,相手をふりきってプレーしよう。」
子どもの姿
・
パスをもらうために動こうと思っているが,ゲームの中で確
実に相手をふりきることができない。
・ 相手をふりきる方法のイメージが十分できない。
【教師の手立て】
・ 相手をふりきることで作戦がうまくいく可能性が高まること
を実感できるように,前時までのよい動きを動画で提示し,話
し合う場を設ける。
T:○○さんのふりきり方はどうだった?
C:相手とかけひきして,引き離している。
C:相手をふりきっていたから,パスに余裕があった。
T:○○さんは,守りの人に何を意識させている?
C:ゴール。ゴールに近付かれるとピンチ。下がるしかない。
T:相手の気にかかるところを攻めて,反対に動いているね。
それから,何度もあきらめずに動いているよね。ぜひ参
考にして,自分たちの作戦を成功させよう。
・ チームの作戦を動きながら確認する場を設ける。また,体を
通して動きの確認をするため,ゲームの時間を保障する。
・ 相手をふりきるイメージを高めることができるように,うま
くいったシーンを基に,ふりきり方について話し合う場を設け
る。
仲間との対話
・
・
うまい人は何度も根気強く動き直しているね。
ゴールに近付いたら相手がゴールに近付くよ。近付かなけ
ればゴール方向でもらえばいい。
・ もらう方向を工夫している。一瞬でふりきっている。
・ うまい人は動くスピードに変化があるよ。知らないふりを
して急に動いたり,止まったりしている。
・ 相手とのかけひきで,裏をかいているよね。
・ ちゃんとふりきれば,パスがしやすいね。
・ もらいたいタイミングで声を出したらいいかも。
・ 相手をふりきったら,作戦がうまくいきそうだね。
・ ふりきったらタイミングよくパスをしよう。
・ もらいたい方向に手を出したらパスする人とも息が合いそ
う。
・
話合いの後のゲームで動きながらふりきり方を身に付けてい
く。また,教師や仲間からの「前」「何度も動け」などの声かけ
なども動きの高まりに生かしていく。
目指す
子どもの姿
・
動画を見たり,話し合ったり,実際にゲームで試行錯誤し
たりすることを通して,相手をふりきる方法を体得している。
・ 相手をふりきるイメージを高めている。