第1学年C組 図工科学習指導案 授 業 者 研究協力者 1 題材名 いろいろ 三浦 長瀬 里子 達也 ならべて(造形遊び) 2 子どもと題材 (1) 子どもについて 入学して間もない子どもたちだが,これまで自分の好きなものを絵で表す活動,ペットボ トルのキャップを並べる活動,絵の具で色を楽しむ活動などを体験してきた。 「すきなもの いっぱい」では,小さな画用紙を何枚も使って自分の好きな物をたくさん 描いた。果物や動物,景色を描き季節の流れを描いた子どももいた。なかなか好きなものが 思い付かない子どももいたが,友達のまねをするなど一緒に活動するうちにだんだん思いが 膨らんでいった。次の「じぶん マークをつくろう」では,思い思いに自分の好きな物をマ ークにして表した。好きなものを1つ決めて考える活動だったが,八つ切り画用紙いっぱい に,どんどん新しいマークを考えている子どもが多かった。「すきなもの いっぱい」で, 自分の好きな物が思い付かず難儀した子どもも,進んで自分のマークを考えることができた。 このことから,自分の思いをたくさんもっており,その思いを表すのが好きな子どもたち だということが分かる。また,学習経験を積み,友達とのかかわりを積み重ねる中で,自分 の表したいことを表すことができるようになってきた。 (2) 題材について 本題材「いろいろ ならべて」は,色紙を教室の床に並べ,気に入った並べ方を工夫し, 自分の思いに沿って材料の形や色などを考えながら並べ,時には友達と協力し合い表し方を 広げていく活動である。材料として色紙を選び,並べた後で見たときにきれいな配色になる ように中間色も用意することで,並べながら形や色の面白さを発見できる題材となっている。 子どもたちが,たくさんの色の色紙と出会い,体で感じ,考えながら自分の思いを広げ, 楽しみながら表していく姿が期待できる。材料を並べたり,組み合わせたりする活動の過程 で,つくり上げたり,壊したりと試行錯誤を繰り返し,自分の思いに近づくように活動をす る中で,材料との「対話」や自分や友達,教師との「対話」を通して,自分にとっての表し 方の意味をつかんでいく。このことが,新たな価値の創造につながると考える。 また,自分が並べた形に沿って歩いてみたり,お気に入りの色に手をのせてみたりするな ど,体全体を使い,作品と子どもが一体となって楽しむことができる。子どもは並べたり, つないだりして全身の感覚を働かせて造形遊びをする中から,自分の思いを表す力や色の組 み合わせの美しさを感じる力,何かに見立てて形を見る力を付けていくことができる。 (3) 指導について 子どもたちが本来もっている表す力を発揮できるように,教師は色紙の配色や大きさ,形 や色に関する言葉かけを工夫していく。「何かに見えてきたね。」「~みたいな色だね。」など 表したいことが広がるような言葉かけをする。また,一人で始めても,自然に友達と「対話」 をしながら活動できるように,子ども同士のつながりが生まれやすい場の設定を工夫する。 教室の4隅に数人ずつで分かれて,活動を始める。最初は,個人での活動だが,近くの友達 のよい表現を取り入れたり,友達と協力してつくり上げたりすることも認めるようにする。 そして,「対話」から,試行錯誤が生まれるような展開にするために,子どもたちのつぶ やきに耳を傾け,活動している様子をしっかりと観察する中から,並べ方の工夫などを取り 上げ,活動が進まない子どもやもっと何かを表したい子どもたちに紹介する。教師は,デジ タルカメラなどを活用し,子どもたちの並べた形や色の組み合わせなどを一つ一つ丁寧に見 取り,子どもたちが何を感じ,何を考えたかを受け止めるようにする。 活動の最後には,教室いっぱいに並べた色紙を,全員で見る場を設定する。並んでいる色 紙をたどって歩いたり,好きな色に触ったりしてできあがった世界に浸らせたい。また,オ ープンスペースに用意した台に上がり,少し高いところからも見せる場を設ける。自分たち の活動を客観的に見ることで,並べ方の工夫や色の組み合わせの美しさ,面白さに気付くこ とができると考える。そして,自分が感じたことを話し合い,お互いのよさを認め合うこと から,「わかった。」「自分もやってみたい。」という思いをもち,次の学習への意欲につなが るようにさせたい。 3 題材の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉 (1) 材料を並べたり,組み合わせたりすることに興味・関心をもって進んで活動を楽しもうと する。 〈A-a-1〉 (2) 身近な材料の並べ方を試したり,見つけたりすることを通して,形や色のなどの組み合わ せを考え,楽しい並べ方を思い付く。 〈A-b-7〉 (3) 体全体の感覚を働かせ,思い付いた並べ方を楽しく表わす。 〈A-c-19〉 (4) 友達や自分のつくった形や色の面白さを味わう。 〈B-b-3〉 4 題材の構想(総時数2時間) 学習活動 時間 1 ねらい: 教師の主な支援 ペットボトルキャップの並べ方や組み合わせ方を考えながら並べる。 (1) いろいろな色の ・ みんなで集めたペットボト キャップを見て, ルキャップでどんなことがで どのように並べる きそうか話し合う場を設け かを考える。 る。 2 本時 (2) キャップの並べ 方を試しながら形 や色の組み合わせ を工夫する。 ・ (3) 自分たちの並べ たものを,楽しく 見る。 ・ ねらい: 評価〈本校の資質・能力との関連〉 ・ 活動が広がるように,並べ 方の工夫や色の組み合わせへ の気付きがあった子どもの表 し方や発言を取り上げる。 ・ 友達とつなげたり,協力を したりして並べてもよいこと を伝える。 材料を並べたり,組み 合わせたりすることに興 味・関心をもって進んで 活動を楽しもうとしてい る。 〈A-a-1〉 ・ 体全体の感覚を働か せ 思いついた並べ方を 楽し く表している。 〈A-c-19〉 並べ方の工夫や色の組み合 わせのおもしろさについて思 ったことを話し合う場を設け る。 色紙の並べ方を試しながら形や色の組み合わせを工夫する。 (4) いろいろな色の 色紙を見て,どの ように並べるかを 考える。 ・ (5) 色紙の並べ方を 試しながら形や色 の組み合わせを工 夫する。 ・ 活動が広がるように,並べ 方の工夫や色の組み合わせへ の気付きがあった子どもの表 し方や発言を取り上げる。 ・ 友達とつなげたり,協力を したりして並べてもよいこと を伝える。 ・ 形や色で模様をつくっ たり,おもしろい並べ方 を考えたりしている。 〈A-b-7〉 (6) ・ ・ できあがった形や色の 感じについて話したり, 友達の表したかった気持 ちを聞いたりして,お互 いの作品を関心をもって 見ている。 〈B-b-3〉 自分たちが並べ た色紙を楽しく見 る。 前に学習したことを想起さ せ,色紙ではどんなことがで きそうなのかを話し合う場を 設ける。(ビデオ・写真) 並べ方の工夫や色の組み合 わせのおもしろさについて思 ったことを話し合う場を設け る。 5 本時の実際 本時(2/2) (1) ねらい 色紙の並べ方を試しながら形や色の組み合わせを工夫する。 (2) 展 開 時間 7分 ○:「対話」の機能を活かすための手立て 学習活動 ① いろいろな色の色紙を見 て,どのように並べるかを 考える。 教師の支援 評 価 ・ 活動に興味を持つことができるように,いろいろ な色の色紙を見せて,色紙を教室いっぱいに並べる ことを伝える。 ○ 自分から進んで活動できるように,前に学習した ことを想起し,色紙ではどんなことができそうか話 し合う。(ビデオ・写真) 学習課題 いろいろな色を並べて,工夫しよう。 25分 ② 色紙の並べ方を試しなが ら並べ方や色の組み合わせ を工夫する。 ・ 【自分との対話】⇔【仲間との対話】 ○ <予想される子どもの反応> ・ 気 に入った色 を並べてみよ う。 ・ 迷路みたいだなあ。 ・ 虹みたいにしたいな。どうし たらいいかな。 ・ どんどん並べたら,友達とつ ながったよ。 8分 思いを広げるヒントになるように,形や色の組み 合わせを工夫して並べることを呼びかける。 活動が進まない子どものヒントになるように,並 べ方の工夫や色の組み合わせへの気付きがあった子 どもの表し方や発言を紹介する。 ・ さらに思いを広げることができるように,友達と つなげたり,協力をしたりして並べてもよいことを 伝える。 ③ 自分たちが並べた色紙を ○ 話し合いの視点として,並べ方の工夫と色の組み 楽しく見る。 合わせの面白さについてを示し,発見したことや思 【仲間との対話】 ったことを話し合う。 <予想される子どもの反応> ・ 虹の町ができたね。 ・ 遊園地に来たみたい。 ・ 曲げて並べたら迷路みたいに つながったよ。 ・ 自分や友達の並べ方のよさや面白さについて関心 をもって見ることができるように,台を並べてその 上に乗り,少し高い位置から,自分たちの活動した 様子を客観的に見ることができるようにする。 形や色で模様をつくったり,おもしろい並べ方を 考えたりしている。 〈A-b-7〉 (発表・ビデオ・写真) 5分 ④ 後片付けをする。 ・ 他のクラスも使うことを考え,丁寧に片付ける。 (3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿 《学習活動①②において》 【協働して追究する「問い」】 「どんな並べ方ができそうかな?」 子どもの姿 ・ ・ ・ 真っすぐに,きちんと並べる。 好きな色を並べてる。 にこにこマークの形に並べる。 【教師の手立て】 ・ 前時での活動と結び付くように,前時の活動場面を写真や ビデオで見せる。 ・ 発問:「ペットボトルキャップでは,どんな並べ方をして いましたか。色紙では,どんなことができそうかな。」 ・ まっすぐに長く並べたり,好きな色を並べたりしたことを 思い出させる。 ・ ピラミッドみたいに高く積んだりしたことに気づかせ,高 くしたいときには壁などに貼ることができるように,メンデ ィングテープを準備する。 ・ 一人での活動になるが,近くの友達と相談したり,いいな と思ったこところをまねしたりできるように声をかける。 ・ 活動が進まない子どもには,友達の活動を見せたり,友達 と協力をして並べたりできることを伝え,活動を促す。 仲間との対話 ・ ・ わたしはまた,まっすぐに長く並べてみたい。 一つ置きに並べるのもきれいだね。わたしもまねしてみよ う。 ・ ピンクと水色を並べたら,いい感じになったよ。 ・ 緑と赤は,スイカみたい! ・ 友達とぶつかりそう。どういたらいいかな。 ・ 曲げたら友達とつながったよ。迷路みたいになって面白い よ。 ・ ピラミッドみたいな形にしたいな。どうしよう。 ・ 壁に,貼りつけたらどうかな。どんどん,高くなっていく よ。 目指す 子どもの姿 ・ ・ ・ 色紙の並べ方の面白さに気付いている。 離れて見ることで,ものや動物などに見立てている。 隣の色紙との色の組み合わせから,ものや動物などをイメ ージしている。
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