「峰っ子ランド」を活用した自然体験活動の充実

平成 28 年度 北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
1 報告地区
:空知地区
2 事例報告学校名:美唄市立峰延小学校
3 報 告 者
:校長 岩城 之泰
4 キーワード
:「峰っ子ランド」を活用した自然体験活動の充実
Ⅰ
本校の概要と「峰っ子ランド」について
本校は全校児童29名の小規模校であり、3・4年生と5・
6年生が複式学級である。今年度で開校116年目を迎える。
校舎は昭和53年度に現地点に移転し築38年目である。本校
の敷地には沢があり「峰っ子ランド」として子どもたちの格好
の活動の場所そして遊び場となっている。小川が流れ様々な樹
木・植物が群生している。また、周年行事のたびに、遊具・遊
歩道・排水溝などが整備されてきた。春から夏にかけては、様々
な植物や昆虫が生息し、秋には紅葉を楽しみながらドングリ、
【峰っ子ランド】
クリ、クルミなどの木の実が採れ、冬にはソリすべりやスキーなど
が行える場所である。他校の児童も来校し、虫とりなどの自然体験を行っている。「峰っ子ランド」
は峰延小学校の教育の特色であり、多くの卒業生の思い出の場所である。その「峰っ子ランド」を活
用した教育活動についていくつか紹介したい。
峰っ子ランドを活用した理科の授業内容例(概略)
第3学年
Ⅱ
1
実践の内容
授業実践での活用
単元
春のしぜんを感じよう
(1)教科指導での実践
教科指導での実践は様々な教科で行えるが、特に生活
科と理科については、多くの教材が存在する。四季を通
学習活動
・身近な自然に興味・関心をもち,理科への期待感をもつ。
生き物を探そう
・峰っ子ランドでよく見られる植物を探して,観察し記録する。
・峰っ子ランドで見つけた植物や虫などの動物について観察する。
こん虫の育ち方
・トンボやバッタなど,チョウ以外の昆虫の育ち方を調べ,チョウの育ち方と比較する。
こん虫のすみかや食べ物
こん虫の体のつくり
・昆虫がいる場所や何を食べていたのかを調べ,昆虫と植物の関係をすみかと食べ物を
通して考える。
・バッタやトンボ,アリなどの昆虫の体のつくりを観察する。
第4学年
単元
学習活動
して多様な自然観察ができるとともに、木の枝や実を使
春の生き物を観察しよう
・峰っ子ランドのサクラやほかの生物を観察する。
・これから1年間調べていく生物を決め,植物の成長や動物の活動について,観察の計画
を立てる。
った造形物やおもちゃづくりなどが行える。また、理科
鳥や虫を調べよう
夏と生き物
においては色々な単元で活用することができ、授業内容
例の概略を右に掲載した。特に4年生の理科では、季節
ごとの変化を観察するが「峰っ子ランド」だけでこの単
元の目標と内容をクリアすることができる。
・春に見られる鳥や虫の活動とまわりの温度との関係を調べる。
・夏のサクラを観察し,春と比べてどう変わったかを調べる。
・夏に見られる鳥や虫について,春と比べてどのように変わってきたか,気温の変化と関
係づけて調べる。
秋と生き物
・秋のサクラを観察し,夏と比べてどう変わったかを調べる。
・秋に見られる鳥や虫について,夏のころと比べてどのように変わってきたか,気温の変
化と関係づけて調べる。
秋と生き物
・晩秋のサクラ,鳥,虫などの様子について知る。
冬と生き物
・冬のサクラを観察し,秋と比べてどう変わったかを調べる。
・冬に見られる鳥や虫について,気温の変化と関係づけて調べる。
生き物の1年
・これまでの観察記録をもとに,季節ごとの生物の様子を振り返りながらまとめる。
ふたたび春が
・再び迎えた春の生物を観察し,冬のころと比べてどう変わったか,また,昨年の春と比
べてどうかを考える。
第5学年
単元
(2)総合的な学習の時間での実践
流れる水のはたらき
学習活動
・峰っ子ランドの斜面を観察し,地面を流れる水の様子を調べる。
第6学年
①植物に関する調べ学習の実践
総合的な学
習の時間では、
単元
学習活動
生き物と食べ物、
空気,水
・これまでの学習をもとに,人や他の動物,植物が,食べ物,空気,水をとおして,どのように関
わっているのかを考える。
・生物どうしが,空気や水をとおしてどのように関わっているのかを考える。
地球に生きる
わたしたち
・これまでの学習をもとに,人と環境との関わりを,わたしたちと他の生物,わたしたちと空気や
水という視点で考える。
・峰っ子ランドで行ってきた自然体験・自然観察を通して人が自然に及ぼしてきた影響と,自然
を守るために自分たちでできる取り組みについて考える。
「峰っ子ラン
ドの植物図鑑」の作成活動を行っている。児童自ら写真を撮
り図鑑で調べ、PCを使っての作成である。この図鑑につい
ても継続的な取組を通して資料を蓄積し、峰延小学校の財産
となるようにしたい。
⇐【峰っ子ランド植物図鑑】
②紹介パンフレット
今年度の6年生の総合的な学習の時間ではテーマを
「峰小の良さ」として、峰延小学校紹介パンフレットを
作成した。学校行事の紹介、峰小の良いところなどを載
せてあるが、その中から本校の特色である「峰っ子ラン
ド」の紹介を載せてみた。⇒
2
日常実践での活用
(1)体力向上に向けた実践
「峰っ子ランド」は、中央に大きな広場があり、
アスレチックの遊具なども整備されている。休み時間にこの場所で
元気に遊ぶことで、日常的な運動による体力向上につながる。
特に冬には低学年のスキ
【学校紹介パンフレット】
ー学習やソリ遊びなどがで
き、
格好の遊び場で体を動か
すことができる。
【峰っ子ランドでの冬の活動】
3
PTAとの連携活動
(1)親子での清掃活動
「峰っ子ランド」には、たくさんの樹木があるため落ち葉も大量に
出る。春と秋にPTA清掃作業として、落ち葉集めをしているが今年
度の秋の作業は親子で実施した。約100袋の落ち葉を集めることが
【親子枯葉清掃作業】
でき、児童と保護者の絆を深めることができた。
(2)落ち葉による焼き芋体験
峰っ子ランド清掃で集めた落ち葉と学
校園で栽培したサツマイモで焼き芋体験
を行った。峰延保育所の園児も来校し、連
携を図った。焼きあがった芋は全校児童が
外でおいしく食べることができた。
Ⅲ
1
【落ち葉での焼き芋体験】
成果と課題
成果
(1)「峰っ子ランド」には様々な学習教材・素材があり、近隣の公園や野外施設などに移動しなくて
も充実した教育活動が行える。移動時間もなく適切な時間の中での授業が展開できる。
(2)豊かな自然環境により、体力の向上、豊かな心の育成が行えるとともに、自然に対する興味関心
を高め、課題を解決する力を伸ばすことができた。また環境教育にまで発展することもできた。
2
課題
(1)遊具等、老朽化が進み、中には使えないものも出てきている。新たな整備が
必要である。また、カラスの巣やスズメバチの巣などにより、時には近づかな
い指導をすることもある。自然との共生の難しさも課題として押さえなければ
ならない。
(2)年間を見通した教育課程の位置付けが求められる。学習指導要領の改訂に伴
い、アクティブ・ラーニングの視点に立った深い学び、対話的な学び、主体的
な学びの実現を図る必要がある。