第4学年A組 社会科学習指導案

第4学年A組
社会科学習指導案
授 業 者
研究協力者
1
単元名
調べて発見!
佐藤
外池
文知
智
わたしたちの県とまちづくり
2
子どもと単元
(1) 子どもについて
これまで子どもたちは,3年生の学習において秋田市の地形や土地利用の様子について観
察したり地図に表したりし,土地利用は地形や交通の様子と関わりがあることや,場所によ
って違いがあることを理解してきた。また,社会科の学習では,実際に見学に行くことや,
地域の方の話を聞いたりインタビューしたりすることに楽しさを感じていると答える子ども
が多く,調べ活動に意欲的に取り組む姿が見られる。その一方で県内の他の地域に目を向け
ると,出かけたことはあっても位置を説明することができなかったり,田沢湖や鳥海山とい
った名称は知っていても,どの市町村にあるかを理解していなかったりする子どもも見られ
る。県全体の地理的感覚や空間認識がまだ十分とはいえないのが現状である。
(2) 単元について
本単元は,日本における自分たちの市や県の地理的位置と全体的な地形や主な産業の概要
をつかみ,交通網の様子や主な都市の位置,県内の特色ある地域の人々の生活の様子,生活
や産業との関わりなどについて,地図帳などの資料を活用して調べ,人々の生活に見られる
特色やよさを考えることで,自分の住む市や県に対する誇りと愛情をもてるようにすること
をねらいとしている。
秋田県は日本の東北地方北部に位置し,北には白神山地,東には奥羽山脈,南に鳥海山
と三方が山に囲まれている。西は日本海に面しており,米代川,雄物川,子吉川といった
河川の流域には平野や盆地が広がっている。これらの地理的特徴から県内の産業として農
業,特に稲作が盛んであること,沿岸部では漁業が盛んであることを理解するとともに,
それぞれの地域で自然を生かした産業が行われていることに気付く単元である。
一方,交通網を見てみると,国道や秋田自動車道が整備され,自動車での移動が容易に
なっていることに加え,秋田新幹線をはじめとした鉄道も秋田市を中心に整備され,他地
域への移動も短時間でできるようになってきている。さらに秋田空港や大館能代空港,秋
田港も秋田県の玄関口として機能しており,このような多様な交通網を学習することで他
地域とのつながりも意識できる単元といえる。
(3) 指導について
本単元の指導にあたっては,3年時の地域学習で習得した力を生かすことができるよう
に県の地図や副読本,地図帳などの活用を図りたい。そして,県や主な都市の位置を把握
する活動や,人口や産業の特色を資料を用いて表現する活動を取り入れ,調べたことを白
地図に書き表す活動につなげていく。そのための手立てとして単元を通してご当地キャラ
クターの活用を図りたい。ご当地キャラクターはいわゆる「ゆるキャラ」として広く認知
されており,全国各地で地元活性化や観光の宣伝活動を行っている。その多くは地域の特
産物を名称や身体的特徴として取り入れており,地域学習を行うにあたって子どもたちの
興味・関心を高めるとともに,その地域の特色をつかむために効果が期待できると考えて
いる。
問題の追究にあたっては,全国のご当地キャラクターを糸口に名前や特徴から地域の産
業をとらえる手掛かりとし,学習意欲を高めていく。また,子どもによってはまだなじみ
が薄い秋田県内のご当地キャラクターから学習を展開することによって,秋田県への親近
感や愛着を育て,自分たちも県のよさを知り,広めたいという気持ちを育てていきたい。
地形や人口,また交通網と産業との関連については,テレビや旅行など既有の認識や生
活経験から得られた情報とともに各地のパンフレットなどの資料を収集し,県の特色につ
いて事実を根拠とした表現を通して,問題解決の場を設定していく。また,調べたことを
一人一人が考えの根拠として共有し,深めていくための手段として必要に応じて「対話」を
取り入れていく。グルーピングや場作りを考慮し,意見をまとめる際の視点を提示すること
で焦点化した「対話」を展開し,
「自分との対話」で得た考えを「仲間との対話」によって深
める活動を通して,自分たちがくらす秋田県とその市町村の特色に関わる社会的なものの見
方や考え方を培っていきたい。
3
単元の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉
(1) 秋田県の様子に関心をもち,地形や産業などについて調べようとしている。
〈アー1・7・10〉
(2) 秋田県の地形や主な産業の概要から県の特色を考え,適切に表現することができる。
〈イー2・3・5・7〉
(3) 秋田県の地形や産業について,地図や写真などの資料から必要な情報を収集し,適切
にまとめることができる。
〈ウー4・6・7〉
(4) 秋田県の地形や主な産業の特色,交通網の様子,主な都市の位置を理解することができ
る。
〈エー6〉
4
単元の構想(総時数8時間)
時間
学習活動
教師の主な支援
1
(1) 秋田県の位置や,周辺
の県の位置と名称を調べ
る。
・
秋田県の基本的な特徴がとら
えられるように,地図帳を活用
し,方位を用いて位置を確認し
たり,特産物のマークを探した
りする活動を設定する。
・
2
本時
(2) ご当地キャラクターの
読み取りを通して農水産
物とその産地の関係を考
え,話し合う。
・
農水産物とその産地の関係が
導き出せるようにキャラクター
図,地形図,土地利用図などを
用意し,グループで図を基に話
し合う場を設定する。
・
3
(3) 前時で出た農水産物と
産地の関係を基に,各地
域の地形を調べ,まとめ
る。
・
平地や盆地,山地といった地
形と農水産業の関連がつかめる
ように,各地域における生産物
の事例が示された資料を提示す
る。
4
(4) キャラクター図を基に
行ってみたい地域への紙
上旅行を計画し,道路や
鉄道,空港や港といった
交通網の広がりについて
話し合う。
・
交通網の広がりがとらえられ
るように,これまで使ったこと
がある交通手段などの生活経験
や交通地図を基に話し合う場を
設定する。
・
交通網の広がりを自
分たちの生活経験や資
料と照らし合わせて考
えている。〈イ-2,3,7〉
5
(5) 紙上旅行を計画した主
な市町村の人口や観光客
数を調べ,観光資源を生
かした産業について話し
合う。
・
観光資源に恵まれている秋田
県のよさが発見できるように,
観光客数の推移を表したグラフ
や地域のパンフレットなどの資
料を提示する。
・
資料を基に自然環境
を生かした観光資源と
秋田県のよさを関連付
けて特色をとらえてい
る。
〈ウ-4,6,7〉
6
(6) 秋田県の土地の様子や
農水産物,交通網,観光
資源などを白地図にまと
める。
・
必要な項目を見やすく表現す
ることができるようにまとめ方
を話し合うとともに,必要に応
じて例示を行う。
・
学習したことを生か
し,秋田県の特色を適
切にまとめている。
〈イ-7〉
〈エ-6〉
7
8
(7) 秋田県の特色やよさを
生かしたリーフレットを
作る。
・
白地図にまとめたことを基に
秋田県のおすすめポイントを家
の人に紹介するリーフレットが
作成できるよう助言する。
・
秋田県のおすすめポ
イントが,家の人に伝
わるように考えてリー
フレットを作成してい
る。
〈エ-6〉
評価〈本校の資質・能力との関連〉
都道府県について関
心をもち,進んで調べ
ようとしている。
〈ア-1,7,10〉
ご当地キャラクター
の特徴が,その地域の
産業を表していること
に気付き,農水産物と
地形,及び土地利用と
の関連について考えた
ことを表現している。
〈イ-3,5,7〉
・ 平野や盆地,山地と
いった地形の特徴をつ
かみ,適地適作が行わ
れていることをとらえ
ている。
〈エ-6〉
5
本時の実際
(1)
(2)
ねらい
秋田県内におけるご当地キャラクター図の読み取りを通して,農水産物と地形,及び土
地利用との関連について考えることができる。
展
開
時間
10分
本時(2/8)
○:対話の機能を活かすための手立て
学習活動
①
ご当地キャラクタークイズを行
う。
②
クイズを基に,ご当地キャラク
ターの特徴から考えられることを
発表する。
教師の支援
評
価
・
キャラクター名や活動の様子が想起でき
るように,テレビで見た情報や,旅行など
で得た知識といった生活経験も含めて発表
する場を設ける。
・ 必要に応じてご当地のキャラクターを発
表に活用できるよう,写真や映像資料を準
備する。
・ 体の一部分が,その地域の産業や特色を
表していることに気付くよう,答えが分か
ったポイントを問うようにする。
・ 秋田県内のご当地キャラクターを提示し,
次の活動へつなげる。
秋田県でとれる農水産物と,その産地には,どのような関係があるのだろうか。
30分
③
学習問題について考えを出し合 ・ ご当地キャラクター図から,どのような
う。
【自分との対話】
農水産物がとれるかについては読み取りが
容易であると思われる。そこで,主な農水
(予想される子どもの反応)
産物とその分布との関係に気付くことがで
・ 秋田県では米や野菜,果物,魚など
きるように秋田県の土地利用図を,また,
いろいろなものがとれている。
主な農水産物と自然条件との関係に気付く
・ 米や野菜はいろいろなところでとれ
ことができるように秋田県の地形図を提示
るけど,果物はある地域に固まってい
るみたいだ。
し,考えの根拠が明確になるよう支援する。
④
土地利用図と地形図を参考にし
て,農水産物と産地との関係を考
え,話し合う。【仲間との対話】
○
自分の考えに妥当性があるかを確認した
り,友達の意見を参考にして自分の考えを
再構築したりするために,考えをグループ
で交流する場を設ける。
・
根拠があいまいな考えに対しては,「な
ぜそう考えたのか」「何から分かったのか」
と問い返し,根拠が明確な発言を促す。
(予想される子どもの反応)
・
ご当地キャラクターの特徴と,とれ
る農産物が同じだ。
・ 米や野菜は平らな土地(平野)で作
られている。
・ 大きい川が近くにあるのは水が必要
だからだ。
・ 果物は盆地で作られている。
5分
⑤
話し合ったことをまとめ,共有 ・ 子どもたちから出た意見を基に,農水産
する。
【仲間との対話】
物と地域の関係をとらえやすくするため,
米や野菜,果物,魚など項目別に分かった
ことを整理する。
⑥
学習を通して深まったことや考
えたことをまとめる。
【自分との対話】
ご当地キャラクターの特徴が,その地域
の産業を表していることに気付き,農水産
物と地形,及び土地利用との関連について
考えている。
〈イー3・5・7〉
(シート,ノート,発言)
(3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿
《児童の活動③④⑤において》
・ ご当地キャラクターは,地域の特産物を名称や身体的特徴と
子どもの姿
して取り入れている場合が多いこと,そして,秋田県内のご当
地キャラクター図からわたしたちの県ではどのような農水産物
がとれているのかをつかんでいる。
【協働して追究する「問い」】
秋田県内でとれる農水産物と,その産地には,どのような関係
があるのだろうか。
【教師の手立て】
・ 秋田県内のご当地キャラクター図から,秋田県ではどのよう
な農水産物がとれるのかをつかんだ子どもたちにとっては,ま
だ,「この地域では,こんな農水産物がとれている。」という事
実の認識しかない。そこで「とれる農水産物とその産地には,
どのような関係があるのだろうか。」と問うことで,農水産物
の栽培や収穫にはそれに適した条件があること,そして,地形
や環境がその条件に関係していることを子どもたちに考えさせ
ていく。秋田県の土地利用図や地形図とご当地キャラクター図
を比較し,関連させていくことによって,平野や盆地,山地と
いったその地域特有の地形に適した作物が栽培され,特産物と
なることでその特徴を生かしたご当地キャラクターが生まれる
という認識の更新が,新たな価値の獲得と考える。
・
仲間との対話
T:「米や野菜,果物,魚などは,とれるところがある程度
決まっているようですね。」
C:「米や野菜は秋田県全体でとれているけど,果物は県南
と県北の一部でしかとれていない。」
C:
「とれる地域に何か理由があるのかな。」
~地形図,土地利用図を資料として~
T:「よくとれる農水産物とその産地には,どのような関係
があると言えそうですか。」
・
・
・
・
目指す
子どもの姿
・
「土地利用図と地形図を見比べると,果物がとれるとこ
ろは『盆地』になっている。」
「米や野菜はいろいろなところでとれているけど,どれ
も『平野』だ。」
「近くには必ず川が流れている。やっぱり水が必要だか
らかな。」
「農水産物はどこでもとれるわけじゃなく,盆地や平野
のように,その作物を育てやすい条件がある。」
農水産物は,平野や盆地などその地域の地形に合ったもの
が作られている。
・ だから,その地域でよくとれる有名な農水産物が,ご当地
キャラクターの名前や身体の一部分に使われている。