第2学年 C 組 体育科学習指導案

第2学年 C 組
体育科学習指導案
授 業 者
研究協力者
1
単元名
ねらってシュート!
三浦
佐藤
大介
靖
~ボール投げゲーム~
2
子どもと単元
(1) 子どもについて
子どもたちは,1年生の時にボール蹴りゲームを経験している。ボールタッチや的当てな
ど足でボールを操作することに不慣れな子どもが多かったものの,ボールを止めたり蹴った
りすることを楽しむ姿が見られた。また,宝取りゲームをはじめとする鬼遊びも経験してお
り,鬼に捕まらないように身をかわして逃げたり,空いている所を見付けて走り込んだりす
るなど,中学年のゲーム(ゴール型ゲーム)につながる動きにも少しずつ慣れ親しんでいる。
ボール投げに関しては,体つくり運動の多様な動きをつくる運動遊びにおいて,両手での
投げ上げキャッチなど用具を操作する運動遊びを経験している。ドッジボールは学級のレク
リエーションで行っているが,「投げる」「捕る」という運動経験は多くはなく,個人差が
大きい。
(2) 単元について
低学年におけるゲーム領域のボールゲームは,簡単なボール操作やボールを持たないとき
の動きによって,ボールを的に当てたり,攻めや守りを交代しながら勝敗を競い合ったりす
ることで,楽しさや喜びを味わうことができる。
子どもの「投げる」「捕る」の技能に関しては,運動経験の有無による能力差が顕著に表
れる。運動発達論的にみると,6~8才における子どもの発達の段階は多様であり,個人差
や性差が関係するが,ボールを取り扱う経験によって技能の向上が大きく左右されるといわ
れている。
このゲームを通して,シュート・パス・キャッチコントロールなどの手でボールを操作す
る(投げる・捕る・止める)感覚や,パスをもらって反転してゴールに向かう動きなどに楽
しみながら慣れ親しんだり技能を高めたりすることができると考える。
児童にとって分かりやすいゲームをじっくり学びながら,中学年から始まるゴール型ゲー
ムの領域で必要となる基礎的な感覚を養うことが期待できる単元である。
(3) 指導について
単元の前半は,運動を楽しみながら,ゲームにつながる動きや「投げる」の技能を高める
ことをねらいとする。まずは,ボール操作の技能を高めるために,
「トルネード投げ」や「ス
テップシュート」を行う活動を設定する。「トルネード投げ」は,力強くボールを投げるた
めの動きの要素が多く含まれている。この中で「体を反らしたり,ひねったりしながら力を
蓄える動き」や「後ろ足から前足へ体重移動して力を伝える動き」ができている子どもを紹
介し,そのよさを全体で確認する。投げるポイントが明確になるように,図やキーワードを
掲示する。「ステップシュート」は,サイドステップして前に進んだ力を利用して打つシュ
ートである。止まった場所で投げる動作ばかりでなく動いて投げる動作にも慣れさせていき
たい。自分で動きを試したり,仲間の動きを見て再度自分でも試したりするなど,試行錯誤
を繰り返しながらボール操作に慣れ親しむ時間とする。一連の動きを確かめることができる
ように,シュートゲームを取り入れる。ゲーム形式にすることで,子どもたちの学習意欲を
高めていきたい。
単元の後半は,パスキャッチシュートゲームを中心に学習を進める。子どもが楽しく運動
に取り組むことができるように,得点化してゲームの勝敗を競い合うこととする。段ボール
やカラーコーンなど当てる的をいくつか準備し,どれに当てても得点にするなど,得点する
機会を増やしたり,守る場所や守り方を制限するなど,子どもの実態に合わせて規則を選ん
だりできるように工夫する。また,ボールを「止める」「捕る」技能にも少しずつ触れてい
く機会を設ける。シュートのみならずパスやキャッチコントロールも中学年から始まるゴー
ル型ゲーム内における一つの動きの要素と考える。相手に届かない場所へのパスや味方が捕
りやすい場所へのパスを意識させるために,「味方が捕りやすいパスをつなぐにはどうした
らいいのか」を子どもたちに問い返して全体で課題を共有していきたい。動きのポイントを
見付けることができるように,ICT機器を活用する。力強く投げる動作や味方を意識した
パスなどのよい動きを視覚的にとらえやすく工夫し,「仲間との対話」を通して子どもたち
の気付きを促していきたい。
3 単元の目標 <記号は本校の資質・能力表による>
(1) ボールをねらったところに投げたり,力強く投げたり,ボールを捕ったり止めたりしなが
ら,相手ゴールに向かって素早く攻めたり,パスコースに入って防いだりすることができる。
<d-シ-2・3>
(2) 規則を守り,友達と励まし合って安全にゲームをしたり,勝敗の結果を受け入れたりし,
ゲームに進んで取り組もうとする。
<a-1・4・9・11>
(3) ゲームの行い方を知り,友達のよい動きを見付けることや,得点の方法や守備側の人数な
どの規則を選んで,楽しくゲームができるように工夫することができる。
<b-4・5>
4
単元の構想(総時数9時間)
時
間
1
2
3
4
5
6
7
学習活動
評価〈本校の資質・能力との関連〉
(1) 試しのゲームを行っ ・ 見通しをもって学習に取り組 ・ ゲームの行い方や規
て,ゲームの行い方や
むことができるように,全体計
則,学習の進め方を知
ルールを知り,学習の
画を提示したり,ゲームの準備
り,進んでゲームに取
見通しをもつ。
や行い方を指導したりする。
り組んでいる。
<a-1・4・9>
学習課題:ゲームを通して,ボールを力強く投げる感覚やね
らった所に投げる感覚に慣れ親しむことができ
る。
(2) ボール操作に慣れる ・ ボール操作への意欲が高まる ・ ボールをねらった所
ゲームを行う。
ように,的にうまく当てている
に投げる動きを進んで
子どもを賞賛する。片手で投げ
試している。
<ボール操作等>
て当てている子どもの動きに注
<a-1>
・トルネード投げ
目させ,
全体で試すように促す。
・ステップシュート
<ゲーム>
・ ボールを力強く投げる要素に ・ ボールを力強く投げ
・シュートゲーム
気付くことができるように,体
るための動きを見付け
の反りやひねりが重要であるこ
ている。
<b-5>
とを引き出し,気付きをキーワ
ード化する。
・ 前時までに学んだボール操作
のコツに目を向けることができ
るように,自分たちのプレーを
ふり返る場を設ける。
学習課題:ゲームを通して,チームで協力しながら投げる・
捕る・止めるなどボールを操作する感覚を高める
ことができる。
(3) チームで協力しなが ・ ゲームの見通しをもつことが
ら,ボールを操作する
できるように,試しのゲームを
ゲームを行う。
行い,新たな規則の共通理解を
図る場を設ける。
<ボール操作等>
・パスキャッチ
・ 投げる動きのコツに目を向け
・声出しキャッチ
ることができるように,力を後
<ゲーム>
ろから前に伝えるシュートの動
・パスキャッチ
きをしているチームを全体に紹
シュートゲーム
介し,賞賛する。
◇攻守交代型
1試合目
・ 効果的な動きに気付き,技能
(前後半3分ずつ)
の向上につなげることができる
2試合目
ように,プレーをふり返る場を
(前後半3分ずつ)
設ける。
8
本時
9
教師の主な支援
・ ボールをねらった所
に投げたり,力強く投
げたりしている。
<d-シ-2>
・ 自分たちに合った規
則や制限などを選んで
いる。
<b-4>
・ マナーを守り,仲間
と助け合って安全にゲ
ームをしている。
<a-4・11>
・ パスをつなぐための
効果的な動きを見付け
ている。
<b-4>
・ 前時までに学んだボール操作 ・ 敵が捕りづらいパス
に目を向けることができるよう
や味方が捕りやすいパ
に,ICT機器を活用する場を
スを考えてパスをして
設ける。
いる。
<d-シ-2>
(4) まとめのゲームを行
い,単元を通しての学
びをふり返る。
・トーナメント戦
・ これまでの学びをさらに高め ・ パスを使って攻めた
ることができるように,ボール
り,ねらった所にシュ
操作を意識しながらまとめのゲ
ートをしたりしてい
ームを行うよう助言する。
る。
<d-シ-2・3>
5
本時の実際
(1)
本時(8/9)
ねらい
ゲームを通して,チームで協力しながら投げる・捕る・止めるなどボールを操作する感
覚を高めることができる。
(2)
展
時間
開
○:「対話」の機能を活かすための手立て
学習活動
8分
①
8分
②
準備運動をする。
・目標投げ
学習課題を確認する。
教師の支援
評
価
・
ゲームの動きにつなげられるように,ねらった所
に投げるという動作を高める運動を取り上げて,準
備運動を進める。
・
ICT機器の画像を活用し,敵に届かない所にパ
スをしている動きを確認する。
学習課題
味方と協力して,いっぱいシュートを打とう。
<予想される子どもの反応>
・ 守りに当てないようにパ
スをする。
・ キャッチできなくても,
すぐにボールを拾う。
○
動きのイメージを明らかにすることができるよう
に,「シュートを打つ回数を多くするにはどうする
とよいのか」を問う。「なぜそう考えたのか」を問
い返すことで,自分の解釈の根拠となる動きのイメ
ージをさらに明らかにする。
8分
③
パスキャッチシュートゲ ・ これまで学習してきた動きがどの程度身に付いた
ーム(1回目)を行う。
か確かめられるように,動きを試す時間を保障する。
【自分との対話】
【仲間との対話】 ・ ゲームの様子や動きの変容をとらえられるよう
(前後半3分ずつ)
に,映像を記録する。
8分
④
8分
⑤
パスキャッチシュートゲ ・ ゲームの中の動きをサポートできるように,合い
ーム(2回目)を行う。
言葉を用いて声かけをするように指示する。
【自分との対話】
【仲間との対話】
敵が捕りづらいパスや味方が捕りやすいパスを考
(前後半3分ずつ)
えてパスをしている。
<d-シ-2>
(行動観察,話合い,学習カード)
5分
⑥
本時のふり返りをする。
・ お互いの動きのよさを実感できるように,仲間の
【自分との対話】
よい動きを紹介し合う場を設定する。
1試合目のふり返りをも ○ 運動への意欲をさらに高められるように,味方が
とに話し合う。
捕りやすいパスをしている画像を提示する。動きを
【仲間との対話】
視覚的にとらえることができるように,ホワイトボ
<予想される子どもの反応>
ードを使って,人に見立てた磁石を操作し,動きを
・ 敵が捕りづらい所にパス
確認し合う場を設ける。
をしている。
・ 浮き球でパスをすると敵 ・ 自分たちの動きのイメージを想起できるように,
が届かないよ。
キーワードを使って動きを整理する。
(3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿
《学習活動②③④において》
子どもの姿
・
・
パスキャッチが苦手で,ボールが取れない。
どうやって味方からパスをもらうといいのかが分からない。
【教師の手立て】
・ 「シュートを打つ回数を多くするにはどうするのか」という
問いから生まれた子どもの反応に対し「なぜそう考えたのか」
問い返すことで,自分の解釈の根拠となる動きのイメージを
明らかにしていく。
・
・
発問:「シュートを打つ回数を増やすにはどうする。」
C:「投げたボールを素早く取りに行く。」
C:「倒れたコーンや段ボールを急いで直す。」
T:「素早く次の出番をつくるんだね。」
C:「守りに当てないようにパスを渡す。」
T:「敵がパスを通させないようにじゃまをするよ。」
C:「守りがいないところに動いてもらうといい。」
発問:「味方が捕りやすいパスをつなぐにはどうしたらよい
のかな。」
→ ICT機器の画像を活用し,敵が捕りづらい所にパス
をしている動きを確認する。ホワイトボードを使って,人
に見立てた磁石を操作し,動きを確認し合う場を設ける。
※ 動きのイメージを明らかにしていくことが「仲間との対話」
のポイント。
【協働して追究する「問い」】
「味方が捕りやすいパスをつなぐにはどうしたらよいのかな。」
仲間との対話
<敵に届かない・敵が捕りづらい>
・ 守る人の手の届かない所だとパスが通りそう。
・ 敵と重ならない位置にずれてもらう。
・ バウンドのパスはどうかな。
・ 浮き球でパスをすると敵が届かないよ。
<味方が捕りやすい>
・ 胸のあたりにふわっとしたパスがいい。
・ 浮き球が高すぎると捕りにくいと思う。
※
合い言葉となるキーワードを引き出していく。
・ パスを探している瞬間
…パスの方向を示す:「上」,ハンドサイン(指で)
パスの強さを示す:「ふんわり」「ふわっと」
目指す
子どもの姿
・
・
・
・
・
敵に届かないパスを考えて,パスを出している。
味方が捕りやすいパスを考えて,パスを出している。
キャッチできなくても,すぐにボールを拾っている。
周りの人が声をかけて,動きを教えている。
失敗しても前向きに取り組んでいる。