豪州準備銀行は市場の混乱を注視し政策金利を据え置き

<マーケット・レター>
2016年2月2日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
豪州準備銀行は市場の混乱を注視し政策金利を据え置き
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豪州準備銀行(RBA)は政策金利の据え置きを決定。RBAは声明文で世界的な金融市場の混乱などに言及。
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今後の金融政策に関しては、「国内での雇用回復の持続性」や「金融市場の混乱の影響」を注視する姿勢を示す。

RBAは豪ドル相場への警戒感は示さず。緩和的な金融政策や低水準の豪ドルは、豪州景気の回復を促す要因に。
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日本や欧州でのマイナス金利の拡大や米国での利上げ観測後退などから、金利差が豪ドル相場の下支え役に。
豪州準備銀行は政策金利の据え置きを決定
図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率
豪州準備銀行(RBA)は2月2日の金融政策理事会にお
いて、大方の市場予想通り、政策金利を2.00%で据え置
5.0
(%)
豪州準備銀行の政策金利
(キャッシュ・レート)
く決定を下しました(図1)。スティーブンスRBA総裁の声明 4.5
の冒頭では、新興国の経済環境悪化やコモディティ価格
の下落、世界的な金融市場の混乱などへの言及に従来
の声明と比べても長く割かれ、足元の外部環境の変化を
RBAが注視している姿勢が示されました。
一方、豪州景気に関しては、「2015年には非資源部門
4.0
2015年10-12月期
2.0%
3.5
3.0
2.5
の景気拡大が強まった」とのRBAの判断が示されました。
2.0
2015年後半には豪州の雇用回復の基調が増しており、
1.5
世界経済の不透明感が高まる中でも、内需中心に豪州
1.0
インフレ目標
レンジ(2~3%)
09
景気は底堅さを維持している模様です(図2)。
10
11
2.00%
基調インフレ率
(前年比)
12
13
14
15
16 (年)
(出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS)
(期間)基調インフレ率:2009年1-3月期~2015年10-12月期
政策金利:2009年1月1日~2016年2月2日
また、RBAが政策判断の際に重視する基調インフレ率は、
(注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値と加重中央
2015年10-12月期に目標レンジの下限に当たる前年比
値の平均により算出。
今後1~2年のインフレ率は低水準に留まる公算
+2.0%へ低下しています。RBAでは、「賃金上昇率の弱さ
や世界的に抑制されたインフレ環境を踏まえ、今後1~2
年の豪州のインフレ率は低水準に留まる公算が高い」との
インフレ見通しを示しました。
今後は雇用情勢と金融市場混乱の影響を注視
今後の金融政策の決定に際しては、RBAは「国内での雇
(千人)
50
図2:豪州の雇用者数の前月比増減
(3ヵ月移動平均値)
40
30
用回復の持続性」や「最近の金融市場の混乱が国内外
20
景気に及ぼす影響」を注視する姿勢を示しており、追加利
10
下げの可能性にも引き続き含みを残しました。
市場関係者の間では、今後の追加利下げの可能性につ
いては見方が分かれているものの、直近の市場コンセンサ
スでは政策金利は2016年末まで2.00%で据え置かれる
と予想されています。当面はRBAの「四半期金融政策報
告」が公表される次回3月1日のRBA理事会の政策決定
に注目が集まりそうです。
0
-10
パートタイム雇用
-20
正規雇用
雇用者数
-30
13年1月
13年7月
14年1月
14年7月
15年1月
15年7月
(出所)ABS (期間)2013年1月~2015年12月
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
図3:豪ドル相場の推移(対円、対米ドル)
2016年の豪ドル相場は軟調なスタート切る
(米ドル)
1.05
(円)
2016年の豪ドル相場は、世界的な金融市場の混乱に
105
伴うリスク回避姿勢の強まりから、軟調なスタートを切りま
100
した。豪ドルの対米ドル相場は、1月中旬には一時1豪ドル
95
0.95
=0.68米ドル台へ下落し、足元では0.70米ドル前後の水
90
0.90
準で推移しています(図3)。一方、豪ドルの対円相場は、
85
0.85
1月中旬には1豪ドル=80円台へ下落したものの、日銀の
80
マイナス金利導入を受けて円安が進行したことから、1月
75
末には85円台の水準を回復しました。
対円レート(左軸)
1.00
0.80
豪ドル高
0.75
対米ドルレート(右軸)
70
0.70
豪ドル安
足元の豪ドル相場は適度に緩和的な水準に
65
14年1月
0.65
14年7月
15年1月
15年7月
16年1月
為替相場の動向に関して今回のRBA理事会の声明文で (出所)ブルームバーグ (期間)2014年1月1日~2016年2月1日
は、「豪ドルは引き続き経済見通しの変化に適応している」
(米ドル)
との言及がなされるに留まり、豪ドルの水準へのRBAの警
1.3
戒感は示されませんでした。
1.2
豪州の主要資源価格と金利差を基に当社で推定した豪
ドルの適正価格水準は、2016年1月時点で1豪ドル=
0.75米ドル近辺にあるとみられ、0.70米ドル前後の足元の
豪ドル相場は豪州景気にとって適度に緩和的な水準にあ
ると考えられます(図4)。RBAの緩和的な金融政策や低
水準の豪ドル相場は、2016年の豪州の景気回復を促す
要因になると考えられます。
日欧の金利低下から豪州債との金利差が拡大
主要先進国の金融政策に目を転じると、日銀のマイナス
金利政策の導入や欧州中銀(ECB)による追加緩和策の
豪ドル安
米ドル高
推計値 +20%
豪ドルの適正価格
(推定値)
0.9
0.8
0.75
0.71
0.7
0.6
推計値 -20%
0.5
豪ドルの対米ドル相場
0.4
90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 (年)
(出所)RBA、ブルームバーグ (期間)1990年1月~2016年1月
(注)豪ドルの適正価格は、豪州の主要資源価格(農産物・鉱物資源・
石油・天然ガスなどの加重平均価格)と対米金利差からレッグ・メイソン・
アセット・マネジメントが推定。
図5:豪州と日・米・独の2年国債利回りの推移
示唆などを受けて、日本や欧州では2年国債のマイナス
金利化が拡がっています。また、米国でも連邦準備制度
豪ドル高
米ドル安
1.1
1.0
図4:豪ドルの適正価格の推定値
3.5
(%)
理事会(FRB)におる利上げ観測の後退から2年国債利回 3.0
りの上昇ペースが鈍化する兆しがみられ、足元でも2%前 2.5
後の金利水準が維持されている豪州の2年国債は主要先 2.0
進国との金利差が拡大しつつあります(図5)。
当面の豪ドル相場は、依然として世界的な金融市場の
混乱や資源価格動向など外部要因への警戒が必要と考
1.5
豪州
1.88%
豪州準備銀行の政策金利
米国
0.80%
1.0
0.5
日本
-0.16%
0.0
えられるものの、豪州の景気回復の進展や海外との金利 -0.5
差などが豪ドル相場の下支え役となると期待されます。
-1.0
13年1月
14年1月
15年1月
-0.47%
ドイツ
16年1月
(出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日~2016年2月1日
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
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