<マーケット・レター> 2015年3月25日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 為替介入プログラム終了後のレアル相場の注目点 ブラジル中銀は為替介入プログラムを3月末で終了すると公表し、レアル相場を市場に委ねる柔軟姿勢に転換。 ブラジル中銀は必要があれば追加為替介入を行う方針は維持。豊富な外貨準備を抱え、政策余力も残している。 今後のレアル相場は海外投資家の動向がカギを握る。レアル安が進む中でも、海外投資家の証券投資流入は継続。 当面の注目は、①政権と議会の間での財政協議と、②ペトロブラスの2014年度監査済み決算報告の可否に集まる。 ブラジル中銀は為替介入プログラムの終了を決定 ブラジル中央銀行は3月24日、2013年8月より開始した 図1:ブラジル中銀の為替介入残高の推移 第四弾 (15年3月末まで) (10億米ドル) 定例の通貨スワップ入札(為替介入プログラム)の終了を 140 公表しました。公表された政策の詳細は以下の通りです。 新規の通貨スワップ入札は3月31日で終了。ただし、5 月1日以降に満期を迎える既存の通貨スワップに関し ては全額繰越する方針。 為替市場の流動性状況に応じて、買戻し条件付きの 米ドル売り介入(レポ取引によるスポット介入)は今後も 継続。必要があれば、利用可能な政策手段を通じて、 追加的なオペレーションを実施する可能性がある。 為替政策の方針は市場重視の柔軟姿勢に転換 今回、ブラジル中銀が為替介入プログラムの終了を決 定したことは、政府・中銀の為替政策の方針が一定程度 のレアル相場の変動を市場に委ねる柔軟姿勢に転換して 第三弾 100 80 60 40 米ドル売り 介入拡大 レポ取引による為替介入 20 通貨スワップによる為替介入 0 米ドル買い介入拡大 -20 13年1月 13年7月 14年1月 14年7月 15年1月 (出所)ブラジル中銀 (期間)2013年1月~2015年2月 いることを示唆しています。 図2:ブラジル・レアルの対米ドル、対円相場 もっとも、中銀は3月23日時点で3,718億米ドルの潤沢 な外貨準備を保有しており、レアル相場が過度に変動す 第二弾 為替介入プログラム 第一弾 120 (円) (レアル) 52 1.8 る場合には、外貨準備を活用した米ドル売り介入などの追 加的な政策発動余力も残しています。 48 政府・中銀は財政健全化による信認回復に注力 44 対円相場(左軸) 2.2 また、中銀の為替介入プログラムの終了決定は、ブラ ジル政府・中銀が急場しのぎの為替介入政策ではなく、財 政健全化の推進を通じて、投資家の信認回復によるレア ル相場の安定に注力しはじめたと捉えることもできます。 ブラジル現地紙報道によれば、為替介入プログラムの維 アル(GDP比0.3%程度)にのぼったとみられています。通 貨スワップ介入は外貨準備の取り崩しがないメリットがある 2.4 40 2013年8月22日 ブラジル中銀、 為替介入プログラム公表 36 32 レアル高 持によるブラジル中銀のコスト負担は、2014年に170億レ 2.0 28 レアル安 対米ドル相場 (右軸) 2.6 2014年12月16日 ブラジル中銀、 2015年も為替介入プログラム の継続方針を表明 2.8 2015年3月24日 ブラジル中銀、為替介入 プログラムの終了を公表 3.2 一方、レアル安が進んだ場合には中銀(政府)のコスト負 24 13年1月 担が高まるリスクも有しています。 (出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日~2015年3月24日 13年7月 14年1月 14年7月 3.0 3.4 15年1月 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <マーケット・レター> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 図3:海外投資家によるブラジルへの証券投資 海外投資家が今後のレアル相場のカギを握る ブラジル中銀がレアル相場の変動を市場に委ねる柔軟 姿勢に転換したことを受けて、今後のレアル相場は海外 投資家の投資動向がカギを握ると考えられます。 足元での海外投資家によるブラジルへの証券投資の動 向を見ると、2015年1月の大幅資金流入(+96.9億米ド ル)に続いて2月も+21.8億米ドルの資金流入となりました (10億米ドル) 12 ブラジルへの 10 資金流入 8 6 4 2 0 -2 (図3)。2月の資金流入のうち、株式投資が+11.8億米ド -4 ル、債券投資が+10.0億米ドルとなり、2015年初以降は -6 株式・債券投資ともに海外投資家のブラジルへの資金流 入が継続する傾向にあります。 海外投資家のブラジル国債保有残高は拡大傾向 -8 外投資家がブラジル国債への前向きな投資姿勢を継続 していることを裏付けています(図4)。2015年2月末の海 債券投資 ブラジルからの 資金流出 -10 13年1月 は3月24日時点で13.4%と高水準にあり、海外投資家に 13年7月 14年1月 14年7月 15年1月 図4:海外投資家が保有するブラジル国債残高 (10億レアル) 500 25% 2015年2月末 4,490億レアル(20.3%) 20% 外投資家のブラジル国債保有残高は、前年比+30.8%の 4,490億レアルへ増加しました。ブラジルの2年国債利回り 証券投資 (出所)ブラジル中銀 (期間)2013年1月~2015年2月 加えて、海外投資家によるブラジル国債の保有残高が 足元でも拡大傾向にあることは、レアル安が進む中でも海 株式投資 400 ブラジル国債の発行残高 に占める海外投資家保有比率(左軸) 15% 300 10% 200 よる投資を惹きつけていると考えられます(図5)。 海外投資家が保有する ブラジル国債残高(右軸) 5% 当面は財政協議とペトロブラス問題に注目 海外投資家による信認の面での当面のレアル相場の注 0% 08 07 09 10 11 12 13 14 100 0 15 (年) 目は、①ルセフ政権と議会の協議によりレビィ財務相が進 める財政健全化策の法案成立が実現するかどうか、②国 (出所)ブラジル財務省 (期間)2007年1月~2015年2月 図5:ブラジルの2年国債利回りと政策金利 営石油会社ペトロブラスの汚職捜査の行方と2014年度の 監査済み決算報告を提出できるか、に集まりそうです。 特に、ペトロブラスは債務のテクニカル・デフォルトを回避 14 12 2014年度の監査済み決算報告書を提出する方針を表 11 明しています。ペトロブラスは既に137億米ドル規模の資 10 自主再建の道を模索しはじめています。 8 7 るものの、財政健全化策を巡る議会との協議やペトロブラ 6 場は落ち付きを取り戻す可能性があります。 12.75% 9 4月から5月にかけてはなお不透明な要因も残されてい ス問題の解決に向け一定の進展がみられれば、レアル相 13.43% ブラジル2年国債利回り 13 するため、汚職に絡んだ評価損を確定し、5月末までに 産売却計画を公表するなど、政府支援に頼らない形での (%) ブラジル政策金利 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日~2015年3月24日 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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