2016年6月7日 豪州準備銀行の政策金利据え置きと豪ドル相場 豪州準備銀行(RBA)は政策金利を1.75%で据え置き。RBA総裁は政策の様子見姿勢が適切との見方を示す。 2016年1-3月期の豪実質GDPは前期比+1.1%と市場予想を上回る。純輸出や民間消費が成長の押し上げに寄与。 足元の豪州景気は業種や部門によってまだら模様。経済指標次第では、RBAが追加利下げを実施する可能性も。 鉄鉱石価格安定や米利上げ観測後退などから、豪ドル相場に下げ止まりの兆し。海外投資家の豪州株投資は継続。 RBAは金利を据え置き、政策の様子見姿勢を示す 豪州準備銀行(RBA)は6月7日の金融政策理事会にお いて、大方の市場予想通り、政策金利を1.75%で据え置 く決定を下しました(図1)。 図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率 (%) 5.0 豪州準備銀行の政策金利 (キャッシュ・レート) 4.5 4.0 スティーブンスRBA総裁の声明文では、「政策の据え置 3.5 き姿勢を維持することが持続可能な経済成長とインフレ改 3.0 善と整合的である」と現状の様子見姿勢が示されました。 2.5 2.0 豪州の1-3月期実質GDPは市場予想を上回る 豪州の2016年1-3月期の実質GDPは市場予想(前期 比+0.8%)を上回る前期比+1.1%のプラス成長となり、景 気の底堅さを示しました。実質GDPの需要項目別の内訳 を見ると、1-3月期は純輸出や民間消費が成長の押し上 げに寄与した一方、企業の設備投資などの落ち込みがみ 09 産業別の実質GDPでは、資源輸出の拡大を背景に鉱 業が前期比+6.2%と高い成長となったほか、サービス業 2.5 2.0 14 15 (年) 16 (前期比、%) 純輸出 需要項目別 在庫 1.1% 1.0 -0.5 は弱含みの動きがみられるなど、足元の豪州景気は業種 -1.0 総固定資本 形成 政府消費 0.0 民間消費 実質GDP -1.5 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 13 ていると考えられます。 イダンス)は示されなかったものの、今後公表される景気 13 1.5 方、建設業(前期比-1.1%)や製造業(前期比+0.2%)で 今回のRBA理事会では先行きの金融政策の方向性(ガ 12 図2:豪州の実質GDP成長率の寄与度分解 も前期比+0.7%と底堅い成長を示しました(図2下段)。一 今後の指標次第では追加利下げの可能性残る 11 (出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS) (期間)基調インフレ率:2009年1-3月期~2016年1-3月期 政策金利:2009年1月1日~2016年6月7日 (注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値と加重中央 値の平均により算出。 0.5 や部門によって強弱が分かれるまだら模様の情勢が続い 10 1.75% 1.6% 基調インフレ率 (前年比) 1.0 られました(図2上段)。 豪州景気は業種や部門によってまだら模様 インフレ目標 レンジ(2~3%) 1.5 1.5 14 15 16 (年) (前期比、%) その他 1.1% 産業別 建設業 1.0 製造業 0.5 農林漁業 0.0 鉱業 やインフレ指標の結果次第では、RBAが追加利下げを実 施する可能性は残されているとみられます。ブルームバー グ集計の市場コンセンサス(6月3日時点)では、8月2日 のRBA理事会での0.25%の追加利下げを予想する見方 が大勢となっています。 サービス業 -0.5 実質GDP 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 13 14 15 16 (年) (出所)ABS ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種 データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、 将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予 告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作 成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 1 2016年6月7日 下げ止まりの兆しみられる豪ドル相場 RBAが5月3日に利下げを決定して以降、豪ドル相場は 弱含みの傾向にありましたが、足元の豪ドル相場は下げ止 図3:豪ドルの対米ドル、対円相場の推移 95 (米ドル) (円) 0.95 2016年5月3日 RBAが利下げ決定 まりの兆しがみられます。豪ドルの対米ドル相場は1豪ドル 90 =0.74米ドル前後へ小幅上昇しているほか、対円相場も 85 80 中国の住宅需要回復が鉄鉱石価格を下支え 75 0.85 豪ドル高 1豪ドル=80円前後での推移が続いています(図3)。この 背景には次の二つの点があると考えられます。 0.90 0.80 対円レート(左軸) 豪ドル安 0.75 第一に、豪州の主要輸出資源である鉄鉱石価格が1トン 70 =50米ドル近辺で安定化しつつあることが挙げられます。 2016年は中国の主要都市で住宅価格が上昇局面へ移 行しており、中国での住宅建設需要の回復が鉄鉱石価格 0.70 対米ドルレート(右軸) 65 15年7月 15年10月 16年1月 0.65 16年4月 (出所)ブルームバーグ (期間)2015年7月1日~2016年6月7日 の下支え要因になっていると考えられます(図4)。 図4:中国向け鉄鉱石価格と中国の住宅価格の推移 RBA利下げ観測の豪ドル相場への影響は限定的 第二に、RBAによる5月3日の利下げ決定以降、豪州で はRBAの追加利下げ観測が残っていますが、米国でも5 (前年比、%) 12 (米ドル/トン) 200 中国向け鉄鉱石価格(右軸) 10 180 8 160 月雇用統計の低迷を受けて連邦準備制度理事会(FRB) 6 140 による利上げ観測が後退しつつあります。主要国の金融 4 120 2 100 0 80 政策の方向性に明確な違いが見えない中では、豪州国 内の金利要因だけでは豪ドル相場への影響は限定的とな りやすいと考えられます。 -2 -4 RBAの追加利下げ観測や世界的な金利低下基調を背 景に、6月6日には豪10年国債利回りは史上最低水準で ある2.16%へ低下しました。もっとも、マイナス金利政策を 導入している日本や欧州と比較すると、豪州の10年国債 は相対的になお高水準にあり、豪州国債はなお海外投資 -6 09 資金流入 資金流出 (*)換算レート:1豪ドル=80円 12 13 14 15 0 (年) 16 (%) 7 豪州株(S&P/ASX200指数)の 予想配当利回り(右軸) 20 3,300億円*)と5四半期連続での資金流入超となりました の対象として豪州株の存在感も増しつつあるようです。 11 (10億豪ドル) 25 投資家による豪州株への証券投資は+41億豪ドル(約 利回り低下が進む中、海外投資家の豪州への証券投資 10 図5:海外投資家による豪州株への証券投資動向 の資金流入傾向が続いています。2016年1-3月の海外 (図5)。RBAによる追加利下げ観測の浮上や豪州国債の 20 (出所)ブルームバーグ、中国国家統計局 (期間)2009年1月~2016年5月(住宅価格は2016年4月まで) 海外投資家の豪州株投資は資金流入傾向が続く じると、豪州株の配当利回りの高さなどを背景に豪州株へ 40 -8 家の資金を引きつけやすいとみられます。 一方、海外投資家による豪州株への投資動向に目を転 60 中国主要70都市 新築住宅価格指数(左軸) 6 15 5 10 4 5 3 0 2 -5 1 海外投資家の豪州株への投資動向(左軸) -10 07 08 09 10 11 12 13 14 15 0 16 (年) (出所)ABS、ブルームバーグ (期間)2007年1-3月~2016年1-3月 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種 データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、 将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予 告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作 成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 2
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