史上最高値を更新した米国株の現状と見通し

2016年7月13日
史上最高値を更新した米国株の現状と見通し

英国の欧州連合(EU)離脱問題からの調整は一時的に留まり、米国株(S&P500指数)は史上最高値を更新。

雇用統計や企業活動指数などから米国景気への楽観的な見方が広がるも、米国の利上げ観測の高まりは限定的。

英国民投票以降、米国株式市場では高配当株ETFへの資金流入が拡大。米国高配当株のパフォーマンス改善続く。

今後の焦点は第2四半期の米決算発表に移る。市場では2016年下半期以降の米国企業の業績回復を予想。
S&P500指数が史上最高値を更新
図1:米国株(S&P500指数)の推移
米国株式市場は、英国の欧州連合(EU)離脱問題に伴 2,300
う不透明感から一時的に調整したものの、足元では上昇
欧州信用不安や日銀のマイナス金利
導入などに伴う市場の混乱
基調に転じています。7月12日にはS&P500指数は2,152 2,200
ポイントに上昇し、史上最高値を更新しました(図1)。
2016年7月12日
2,152
中国株急落に端を発した
世界的株安の連鎖
2015年後半以降の米国株式市場は、中国株急落や欧 2,100
州での信用不安、日銀のマイナス金利導入、足元では英
国のEU離脱問題などの外部環境の悪化によって調整を
2,000
繰り返してきましたが、米国景気の底堅さがその後の米国
株の回復を下支えする要因となってきました。
1,900
米国景気への楽観的な見方が広がりつつある
1,800
英国の欧州連合(EU)離脱問題
足元でも、各種経済指標を受けて米国景気への楽観的
な見方が広がりつつあることが、米国株の史上最高値更
新を裏付ける要因になっていると考えられます。
1,700
14年1月
7月8日に公表された2016年6月分の米雇用統計では、
時的であったことが示唆されました(図2)。また、米供給
気は2016年上半期の低迷から脱する兆しがみられます。
底堅い経済指標受けても利上げ期待は高まらず
必ずしも高まっていない模様です。2016年12月限のFF金
16年1月
16年7月
(千人、前月比)
700
(50=中立)
65
60
非製造業景気指数(左軸)
活動拡大
600
55
500
50
400
活動縮小 製造業景気指数(左軸)
一方、足元の底堅い経済指標を受けても、金利先物市
場では連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ期待は
15年7月
図2:米国の企業活動と雇用者数増減
管理協会(ISM)が公表した2016年6月の景気指数は、製
造業・非製造業ともに企業活動の拡大が示され、米国景
15年1月
(出所)ブルームバーグ (期間)2014年1月1日~2016年7月12日
非農業部門雇用者数が市場予想(前月比18.0万人増)
を上回る前月比28.7万人増となり、5月の雇用低迷が一
14年7月
45
300
40
200
35
100
利先物は7月12日時点でも0.445%と、年後半の利上げ
がほとんど織り込まれていない低水準にあります。
市場ではFRBが国内外の経済環境を見据え、慎重な利
上げを実施するとの見方が依然として大勢と考えられます。
非農業部門雇用者数(右軸)
30
2013
2014
2015
0
(年)
2016
(出所)米供給管理協会(ISM)、米労働省
(期間)2013年1月~2016年6月
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種
データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、
将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予
告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に
よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作
成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
1
米国では高配当株ETFへの資金流入が拡大傾向
英国の国民投票後の米国株式市場のひとつの特徴とし
て、高配当株ETF(上場投資信託)への資金流入が拡大
傾向にあることが挙げられます。英国民投票の翌週6月
27日から7月12日までの高配当株ETFへの資金流入額
図3:米国の高配当株ETFへの資金流出入
(10億米ドル)
16
14
12
8
6
4
2015年は米国の高配当株ETFへの資金フローが流出
2
に転じたものの、2016年は年初来での高配当株ETFへの
国民投票後の欧州市場の混乱や世界的な長期金利の
0
-2
-4
10
11
12
日時点での年初来のトータル・リターン(配当込み)は、
S&P500指数の+6.5%に対して、米国高配当株は
110
105
今後の米国株の焦点は企業業績の動向に移る
100
たことから、今後、米国株式市場の焦点は企業業績の動
向に移ると考えられます。
ファクトセットのコンセンサス集計によれば、2016年第2
15
16 (年)
2016年6月24日
英国民投票でEU離脱派が勝利
115
+14.3%と二桁台の収益を生み出しています。
米国企業の2016年第2四半期の決算シーズンが始まっ
14
図4:米国高配当株のトータル・リターンの推移
(2015年初=100)
120
追い風もあって、2016年の米国高配当株はS&P500指
数を上回るパフォーマンスを示しています(図4)。7月12
13
(出所)ブルームバーグ (期間)2009年~2016年(7月12日時点)
(注)配当に着目した投資戦略を採る米国株型ETF(米国上場)を集計。
米国高配当株のパフォーマンス改善が続く
実際、米国での高配当株ETFへの資金流入拡大という
資金流出
09
低下などを受けて、代替投資先として米国の高配当株が
選好されている可能性があると考えられます。
年初来
+79.3億米ドル
10
は22.3億ドル(約2,300億円*)に達しています。
資金流入額が79.3億米ドルに拡大しています(図3)。英
資金流入
米国高配当株
(S&P500配当貴族指数)
米国株
(S&P500指数)
95
90
15年1月
15年4月
15年7月
15年10月
16年1月
16年4月
16年7月
(出所)ブルームバーグ (期間)2015年1月2日~2016年7月12日
四半期のS&P500指数採用企業の一株当たり利益(EPS) (注)S&P500配当貴族指数はS&P500指数採用銘柄のうち、25年以上
連続で増配を継続している銘柄で構成される株価指数。
は前年比5.9%の減益と予想されており、第2四半期の企
図5:S&P500指数の一株当たり利益見通し
業業績そのものによる株価の押し上げインパクトは限定的
に留まると考えられます(図5)。むしろ、市場では2016年
下半期以降の米国企業の業績回復が予想されており、決
20
15
算発表では米国企業による業績見通し(ガイダンス)の動
向に注目が集まりそうです。
年後半以降は企業業績が米国株を下支えへ
S&P500指数採用企業の通年でのEPSコンセンサス(7
月11日時点)は、2016年が前年比+0.9%、2017年が同
+13.5%、2018年が同+10.3%と予想されています。
2016年後半から2017年以降は、企業業績の回復が米
国株を下支えすると期待されます。
(*)換算レート:1米ドル=103円
(前年比、%)
S&P500指数(除くエネルギー)
10
5
0
-5
S&P500指数
予想コンセンサス
-10
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
2014年
2015年
2016年
2017年
(出所)ファクトセット (期間)2014年第1四半期~2017年第4四半期
(注)予想コンセンサスは2016年7月11日時点。
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種
データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、
将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予
告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に
よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作
成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
2