Economic Indicators 定例経済指標レポート;pdf

Global Market Outlook
コアCPIマイナス→4月緩和?
2015年3月25日(水)
第一生命経済研究所 経済調査部
藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~PMI:堅調~
・2月米CPIは前月比+0.2%、前年比▲0.0%と市場予想を上回った。エネルギー価格が前月比+1.0%と
8ヶ月ぶりに反発、一旦下落に歯止めがかかった。コアCPIは前月比+0.3%、前年比+1.7%と前月か
ら加速。家賃が前年比+3.5%まで伸びを高めたほか、コア財も▲0.5%と前月(▲0.8%)から下落幅縮小。
目先的にはUSD高が財物価を下押しする見込みだが、低水準で推移する空室率に鑑みると家賃の上昇はより
持続的なものとなろう。中期的な物価の基調は底堅いと判断される。
・3月米PMIは55.3と前月から0.2pt改善して生産活動の再加速を示唆。内訳は生産(57.3→58.2)、新規
受注(55.8→56.4)、雇用(52.8→53.7)が揃って改善した一方、入荷遅延(55.6→53.9※当社加工)、
購買数量指数(51.0→50.3)が下押しに寄与しており全体的に好バランス。ISM指数とは方向感が異な
るが、実際のハードデータとフィットが良いのはPMI、マーケットインパクトが強いのがISM。どち
らを重視するかは立場によりけりだろう。
・2月米新築住宅販売件数は前月比+7.8%の53.9万件と予想外に増加したうえ、前月分も上方修正された。
しかしながら供給在庫が4.7ヶ月分に減少するなど既往の在庫不足が販売を抑制している可能性があり、今
月の販売件数は潜在需要を下回っている公算大。先行きも供給不足が足かせとなり、回復ペースは緩慢な
ものとなろう。
4
(前年比、%)
米 CPI
ISM・Markit PMI
60
58
3
コア
500
56
450
54
400
52
350
2
1
0
50
総合
ISM
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
14
15
300
250
48
-1
新築住宅販売件数
(千件)
550
Markit
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
14
15
09
10
11
12
(備考)Thomson Reutersにより作成
13
14
・3月ユーロ圏製造業PMIは51.9と4ヶ月連続の改善。内訳は生産(52.1→53.5)、新規受注(51.0→
52.2)が共に昨年央の水準に回帰。内需が緩やかに回復するなか、既往のユーロ安・原油安が追い風とな
った。国別ではドイツ(51.1→52.4)、フランス(47.6→48.2)が共に改善。3月ユーロ圏サービス業P
MIも54.3と4ヶ月連続で改善し、総合PMIは54.1と約4年ぶり高水準に到達した。
・2月英CPIは前年比+0.0%と統計開始以来の最低を更新。除く間接税ベースでは▲0.2%と初めてマイ
ナス圏に突入した。エネルギー価格が▲8.8%と下落幅を拡大したほか、食料品も▲3.3%と軟調。コア物
価も+1.2%と0.2%pt減速、賃金上昇率の弱さも然り、利上げを支持する材料は見当たらない。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
15
(%)
ユーロ圏PMI
60
総合
55
英
6
CPI
5
サービス
4
50
3
45
コア
2
40
1
製造業
35
0
30
-1
07
08
09
10
11
(備考)Thomson Reutersにより作成
12
13
14
総合
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
15
14
15
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は小高く推移した後、利益確定売りに押され続落。他方、欧州株は反発。
・前日のG10通貨は英CPI統計を受けたGBPの弱さが目立った以外に大きな動きは見られず。USD/JPYは一
時119前半まで下落する場面もみられたが、米CPIの予想比上振れに反応して119後半まで切り返した。
EUR/USDも一時1.10を付けた後に反落。
・米10年金利は▲3.9bpの1.873%。米債相場は当初は軟調に推移していたが、軟調な株式市場が支えとなり
買い優勢に転じた。欧州債市場は小動き。
【国内株式市場・経済指標他】~企業向けサービス価格:引き続き高い伸び~
・日本株は配当取りの動きもあり小高く寄り付いた後、前日終値付近でもみ合い。
・昨日発表の3月中小企業景況判断指数は49.8と前月(46.5)から大幅に改善し50に迫った。製造業(45.4
→49.6)が4.2ptも改善し、非製造業(47.4→50.0)は12ヶ月ぶりに50を回復。3月実績がやや高めに出る
クセは割引く必要があるものの、それでも景況感が改善している可能性は高いと判断される。先行きは
48.9と悪化が見込まれているが、2月実績は上回っており緩やかな改善が維持されると見込まれる。
・2月企業向けサービス価格指数(除く国際運輸)は消費税を除いたベースで前年比+0.6%と前月から
0.2%pt鈍化したものの、引き続き高い伸びを維持。エネルギー価格下落の影響を受けて財物価(企業物価
指数、CGPI)がマイナス圏に突入するのをよそにサービス物価は増税後も基調が崩れておらず、価格設定
行動の変化を窺わせる。少なくともBtoB段階ではデフレマインドが払拭されつつあるのだろう。
中小企業景況判断(商工中金)
企業向けサービス価格指数(除く消費税)
(前年比、%)
55
2
非製造業
1
50
0
45
製造業
40
全産業
-2
-3
35
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 直近分は先行き
-1
00
03
06
09
(備考)Thomson Reutersより作成 除く国際運輸
15
12
15
【注目点】~CPI下方サプライズ~
・27日発表の2月コアCPIのコンセンサスは消費税を除いたベースで前年比+0.1%と前月から更なる鈍化
が見込まれている。注目すべきはコンセンサスを下振れてマイナス圏に突入した場合、俄かに日銀の追加
緩和期待が高まる可能性があるということ。原油価格下落が主因とはいえ日銀が“デフレマインドの転換
が遅延するリスク”を指摘してきた経緯を踏まえれば、マイナスのコア物価を尻目にゼロ回答を貫くこと
は難しくなるだろう。何れにせよ、今後コアCPIのマイナス圏突入の可能性が高まるなか、“デフレを
放置した”と市場に見做されることを回避すべく、日銀は追加緩和に踏み切る可能性が高いだろう。筆者
はそのタイミングとして7月の可能性が最も高いと現時点で判断している。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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<主要株価指数>
日経平均※
NYダウ
DAX(独)
FTSE100(英)
CAC40(仏)
<外国為替>※
USD/JPY
EUR/USD
<長期金利>※
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
<商品>
NY原油
NY金
終値
19690.70
18,011.14
12,005.69
7,019.68
5,088.28
119.62
1.0937
0.318
1.873
1.505
0.235
0.509
1.328
1.292
(円)
19800
前日比
-22.75
-104.90
109.85
-17.99
33.76
19700
19600
(㌦)
18200
-0.14
0.00
%
%
%
%
%
%
%
47.51 ㌦
1191.40 ㌦
0.008
-0.039
-0.005
0.011
0.018
0.033
0.035
日経平均株価 12:10 現在
%
%
%
%
%
%
%
NYダウ平均株価
18100
18000
120.5
USD/JPY
120.0
0.06 ㌦
3.70 ㌦
119.5
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
119.0
(出所)Bloomberg
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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