Economic Indicators 定例経済指標レポート

Global Market Outlook
QE効果が凄まじい
2015年3月12日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~原油:利上げに耐えられるか~
・MBAモーゲージ申請指数(新規購入)は前週比+1.9%と2週間ぶりに反発。ただし、4週移動平均は5
週連続で減少しており、年初から一進一退の展開となっている。
・WTI原油は50㌦±3㌦のレンジが継続。USD高・米金利上昇を受け金融商品としての魅力が後退する一方、
稼動リグ数減少が需給悪化懸念を緩和。目先のダウンサイドリスクは米金利上昇によって利息・配当を生
まない原油の魅力が後退することだろう。逆にそれを耐え凌いだ場合は底堅さを増すと予想される。
230
WTI・稼動リグ数
MBA住宅ローン申請指数(新規購入)
110
220
2000
100
210
1800
90
200
稼動リグ数
(右)
80
190
1600
70
180
1400
60
170
WTI
1200
50
160
40
14/01
14/04
14/07
14/10
(備考)Thomson Reutersにより作成
150
11
12
13
14
(備考Thomson Reutersにより作成。太線:4週移動平均
15
1000
15/01
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国はUSD高が逆風となり続落。欧州株はQEラリー継続。独DAXは2.65%上昇した。
・前日のG10通貨はUSDの強さが目立った一方、EURの弱さが目立った。EUR/USDは米欧金利差拡大に沿う格好
で1.05へ急落。USD買いの流れがその他通貨に波及したこともありUSD/JPYは121半ばを回復。
・米10年金利は▲2.1bpの2.109%。この日も欧州債ラリーに追随。欧州債市場では独10年金利が一時0.2%を
割れ、30年金利は0.7%を割れた。イタリア、スペイン、ポルトガル10年金利も一段と低下した。
【国内株式市場・経済指標他】~相変わらずの好需給~
・日本株は欧州株ラリーに追随。業績期待、株主還元、好需給も追い風となり、上値追い。
・1月第3次産業活動指数は前月比+1.4%と急伸。消費増税に伴う駆け込み需要発生前の水準を概ね回復し
た。唐突な改善にやや違和感を覚えるかもしれないが、増税後の同指数がサービスPMIと比較して異様
に軟調だったことを踏まえれば、単に納得感のある水準に回帰したとの見方もできる。
第3次産業活動指数・サービスPMI
第3次産業活動指数
104
10
PMI(3ヶ月平均)
102
55
5
50
100
0
45
98
-5
96
94
-10
92
08
09
10
11
(備考)Thomson Reutersにより作成
12
13
14
40
第3次産業
活動指数
(3ヶ月年率)
35
-15
15
08
09
10
11
12
(備考)Thomson Reuters、Markitにより作成
30
13
14
15
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
・1月豪雇用統計によると雇用者数は+1.56万人と市場予想(+1.50万人)を上回った。正規雇用者数が
1.03万人増加したうえ、非常勤雇用者数も0.53万人増加。他方、失業率は6.3%と0.1%pt低下したが、労
働参加率低下(64.7%→64.6%)が影響しているため内容は良くない。就業率も小数点2以下で低下した。
ただ、それでも先行きは、雇用の先行指標となる求人広告件数が過去数ヶ月に伸びを高めているほか、P
MIやNAB調査の雇用判断指数も改善基調にあり、雇用者数増加ペースの加速が示唆されている。労働
市場の回復力は力強さを増すと判断される。
(%)
豪 雇用統計
(%)
7
(前年比、%)
60
労働参加率(右)
6.5
雇用者数と求人広告件数
(前年比、%)
5
66
4
6
40
3
65
20
5.5
2
0
5
64
失業率
4.5
4
3.5
63
05
06
07
08
09
10
(備考)Thomson Reutersにより作成
11
12
13
14
15
1
-20
0
-40
-1
-60
05 06 07 08 09 10 11
(備考)Thomson Reutersにより作成
12
13
14
15
【注目点】~QE効果が凄まじい~
・ECBのQE効果が凄まじく、目を疑うような金利低下・ユーロ安・株高が進行中。独10年金利のマイナ
ス圏突入といった超異常事態すら現実味を帯びるなかでEUR/USDのパリティ到達は今や現実的なターゲット
になっている。名目金利(スワップ金利)を期待インフレ率
(EUR/USD)
で調整した米欧実質金利差はECBとFEDが真逆の金融政
1.4
実質金利差・EUR/USD
(%)
1.1
0.9
策に舵を切ったことを色濃く反映しており、EUR/USDの一層の
EUR/USD
1.3
下落を支持している。今後、FEDが利上げを開始するのを
0.5
1.2
よそにECBが緩和姿勢を固持すれば、一段と実質金利が
EUR/USD下落を支持する方向に動くことは想像に難くないし、
0.3
0.1
1.1
また実際にそうなるだろう。年内にEUR/USDはパリティをブレ
-0.1
1
14/01
イクし、そこから更に下落すると予想する。年末のターゲッ
実質金利差(右)
14/05
14/09
-0.3
15/01
(備考)Bloombergにより作成
トを0.97に設定する。
<主要株価指数>
日経平均※
NYダウ
DAX(独)
FTSE100(英)
CAC40(仏)
<外国為替>※
USD/JPY
EUR/USD
<長期金利>※
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
<商品>
NY原油
NY金
0.7
(円)
終値
18928.66
17,635.39
11,805.99
6,721.51
4,997.75
前日比
205.14
-27.55
305.61
18.67
115.80
121.63
1.0511
0.399
2.109
1.813
0.209
0.483
1.128
1.154
18900
18800
18700
(㌦)
17800
0.18
-0.00
%
%
%
%
%
%
%
48.17 ㌦
1150.60 ㌦
-0.021
-0.021
0.017
-0.025
-0.041
-0.091
-0.088
日経平均株価 12:30 現在
%
%
%
%
%
%
%
-0.12 ㌦
-9.50 ㌦
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
NYダウ平均株価
17700
17600
122.0
USD/JPY
121.5
121.0
120.5
(出所)Bloomberg
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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