Global Market Outlook 年末年始はやわかり 2015年1月5日(月) 第一生命経済研究所 経済調査部 藤代 宏一 TEL 03-5221-4523 ・年末年始の欧米市場は、重要イベントに乏しい中、経済指標の公表もそれほど多く無かったため穏やかな 展開となった。1月2日時点でS&P500とNYダウの終値はそれぞれ29日に付けた最高値から1%程度下落、 欧州株は国によって区々だが総じてみれば小幅下落。閑散相場の中で持高調整が入った。為替はUSD/JPYが (日本の連休を通してみれば)若干のJPY安に留まった一方、EUR/USDは2日に1.21を割り込んだ後、5日 日本時間早朝には2010年6月以来で初めて1.20を割り込んだ。ドラギ総裁が国債購入に前向きな発言をし たことが材料視された。米10年金利は低下基調が継続。2日にはISM指数の予想比下振れを受けて急低 下、12月FOMC後(12/17)の上昇の大部分を吐き出す格好となった。欧州債はドラギ総裁発言が支援材料と なり総じて堅調。 連休中に公表された欧米経済指標の結果は以下のとおり。 ・31日発表の12月CB消費者信頼感指数は92.6と、上方修正された前月(91.0)から一段と改善。現況 (93.7→98.6)の著しい改善が期待指数(89.3→88.5)の低下を補った。ガソリン価格下落が現況指数の 改善に寄与した模様。雇用判断項目では職探し(雇用)が「十分」との回答から職探しが「困難」との回 答を引いた数値が▲10.6と2008年4月以来の水準を回復。雇用統計NFPおよび失業率と強い相関を持つ 同指数の改善はNFP24.0万人、失業率5.7%(前月比▲0.1%低下)を見込む市場予想をサポートする。 CB消費者信頼感指数 140 CB消費者信頼感指数(雇用判断) 20 10 120 期待 100 雇用(職探し)が「十分」との 回答から「困難」を 差し引いたもの 0 総合 -10 80 -20 60 -30 40 現況 -40 -50 20 07 08 09 10 11 12 13 07 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 08 09 10 11 12 13 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 ・31日発表の新規失業保険申請件数は29.8万件と前週から1.7万人増加、4週移動平均は29.1万件と再び上昇 に転じた。目下の失業保険申請件数の水準および減少ペースがNFPの20万人後半から30万人前後に整合 する非常に強い内容であることに変わりはないが、足もとで労働市場の回復ペースが幾分鈍化している可 能性は否定できない。12月CB消費者信頼感調査、ISM製造業の雇用指数など労働市場の改善ペース加 速を示唆する指標が存在するのも事実だが、過去2ヶ月程度の新規失業保険申請件数の減少一服はやや不 気味な印象。12月はクリスマス休暇の関係で季節調整が歪んでいる可能性があるため過大(過小)評価に 注意は必要だが、向こう数週間の実績が芳しくない場合は労働市場の楽観的な見方に微調整を加えるべき かもしれない。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1 新規失業保険申請件数 (千件) 新規失業保険申請件数 (千件) 410 650 65.9(09/03) 380 500 350 400 320 290 300 260 直近:29.1 250 12 13 14 05 15 (備考)Thomson Reutersにより作成。太線:4週移動平均 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (備考)Thomson Reutersにより作成。4週移動平均 ・31日公表の11月中古住宅販売成約指数は前月比+0.8%と市場予想(+0.5%)以上に反発。中古住宅販売 件数に1-2ヶ月の先行性を有する同指数は7月をピークに改善が一服、実際の販売件数が増加するとの筆 者シナリオ疑問を投げかけていたが、今回の結果はそうした疑念を和らげる。雇用・所得環境の改善とい うベースにモーゲージ金利の低位安定という追い風が加わることで先行きの住宅販売市場は回復傾向が一 段と鮮明化してくるだろう。 中古住宅販売件数・販売成約指数 千 (百万) 6 (%) 5.5 販売成約指数(右) 5.5 110 5 100 4.5 4 中古住宅販売件数 3.5 3 07 08 09 10 11 12 13 モーゲージ金利 5 4.5 90 4 80 3.5 70 3 11 12 13 14 (備考Thomson Reutersにより作成 フレディマック30年固定 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 15 ・1日公表の12月ISM製造業景況指数は55.5と前月から3.2pt軟化、市場予想(57.5)を下回った。生産 (64.4→58.8)、新規受注(66.0→57.3)が異例の高水準から低下したほか、在庫(51.5→45.5)が下押 しに寄与。他方、雇用(54.9→56.8)と入荷遅延(56.8→59.3)は指数押し上げに寄与。強弱入り混じる メッセージで評価は難しいが、新規受注・在庫バランスがさほど低下していないことを重視すれば、今回 の結果はヘッドラインの落ち込みほどネガティブではない。もっともISM指数は低下したとはいえ、1012月期の水準から示唆される実質GDP成長率は4.0%と極めて強い成長軌道を維持している。これは 5.0%という異例の高成長を記録した7-9月期から僅かに低下したに過ぎない水準だ。 60 ISM指数vs地区連銀指数 55 100 ISM新規受注・在庫バランス 80 ISM 60 40 50 20 地区連銀平均 45 0 -20 40 -40 -60 35 07 08 09 10 11 (備考)Thomson Reutersにより作成 12 13 07 08 09 10 11 (備考)Thomson Reutersにより作成 14 12 13 14 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 2
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