米国企業は21四半期ぶりの減益、金融政策に影響も

リサーチ TODAY
2015 年 4 月 17 日
米国企業は21四半期ぶりの減益、金融政策に影響も
常務執行役員 チーフエコノミスト 高田 創
米国株式市場では原油安・ドル高の企業業績への影響に対する警戒感が強まっている。2014年10~12
月期決算ではエネルギーや海外売上高比率の高い業種等で売上高の減少がみられた。トムソン・ロイター
の調査によれば、S&P500採用企業全体の2015年1~3月期のEPS(1株当たり利益)について2015年初に
は約5%程度の増益が見込まれていた。しかし、下記の図表のように直近(4月14日時点)では下方修正さ
れ、約3%の減益が予想されている。仮に、2015年1~3月期が減益とすると、21四半期ぶりの減益になる。
さらに、2015年の年ベースEPSも約8%から約1.5%の増益と下方修正され、小幅に止まると予想されている。
みずほ総合研究所は、米国の企業業績動向と株式相場見通しに関するリポートを発表している1。米国株
式市場では、目先は企業業績への懸念や利上げへの警戒感から上値が抑えられるだろう。また、こうした
警戒感が根強いこともあり、米国の利上げは年後半以降に後ずれしやすいだろう。
■図表:S&P500採用企業のEPS推移
35
(%)
(ドル)
EPS(左目盛)
EPS前年比(右目盛)
15
予想
10
30
5
25
0
20
13/1Q
13/3Q
14/1Q
14/3Q
15/1Q
-5
15/3Q (年/四半期)
(資料)Thomson Reuters
次ページの図表に示されるように、業種別には幅広い業種で業績が下方修正されている。特にエネル
ギーや素材、消費関連、資本財・サービス、情報技術等の下方修正幅が大きい。こうした動きの背景には、
寒波による天候要因、原油価格の下落、ドル高の影響があるだろう。
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リサーチTODAY
2015 年 4 月 17 日
■図表:S&P500採用企業の2015年1-3月期EPS増益率の予想推移
S&P500採用企業全体
15
資本財
情報技術
消費財・サービス
エネルギー業種(右目盛)
(%)
(%)
0
-10
10
-20
5
-30
-40
0
-50
-5
-60
-10
-70
1/5
1/19
2/2
2/16
3/2
3/16
3/30
(月/日)
2015年
(資料)Thomson Financial First Call
下記の図表にあるように、業績予想は決算前に保守的となる傾向があるものの、今後は予想を下回る決
算が相次ぎ、米国株式市場では上値が抑えられると展望される。米国の利上げも年後半以降に後ずれす
る可能性が高く、グローバルにみて相対的に日本株への関心が高まりやすいだろう。
■図表:S&P500採用企業のEPS推移
12
(%)
実績
10
予測
8
6
4
2
0
-2
-4
13/1Q
13/3Q
14/1Q
14/3Q
(年/四半期)
15/1Q
(注)2014 年第 4 四半期までの予想は決算発表シーズン直前予想。
2015 年第 1 四半期以降は直近(4/14 時点)の予想。
(資料)Thomson Reuters
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大塚理恵子 「米国の企業業績動向と株式相場見通し」 (みずほ総合研究所 『みずほインサイト』 2015 年 3 月 27 日)
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