Market Flash

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良い意味で現実離れする期待
2015年4月7日(火)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~サービスPMIは著しく改善~
・ISM非製造業景況指数は56.5と市場予想に一致、前月(56.9)から小幅に軟化。事業活動(59.4→57.5)
が高水準から低下した一方、重要項目の新規受注(56.7→57.8)と雇用(56.4→56.4)が僅かに改善。入
荷遅延は下押しに寄与した。その他では在庫(54.5→49.5)が大幅低下。ヘッドラインは軟化したものの、
サブインデックス間のバランスは良い。新規受注・在庫ギャップの改善から判断して次月以降の改善が期
待できる。それに先んじるように3月サービスPMI(Markit、確定値)は59.2と力強く改善している。
ISM非製造業・サービスPMI(Markit)
ISM非製造業(雇用)
60
60
55
55
50
50
45
サービスPMI
(Markit)
45
ISM非製造業
40
40
35
35
07
08
09
10
11
12
13
14
07
15
08
09
10
11
12
13
14
15
(備考)Thomson Reutersにより作成
(備考)Thomson Reutersにより作成
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は続伸。前週末の雇用統計が利上げ先延ばしを意識させたほか、ダドリー総裁のハト派的な
発言も買いを後押し。原油反発も好感された。欧州株式市場は休場。
・前日のG10通貨はUSDの強さが目立った。米金利が反転上昇するなか雇用統計後のUSD売りが巻き戻され、
USD/JPYは119半ばを回復、EUR/USDは1.10を割れた。
・米10年金利は+5.6bpの1.895%。株式市場が続伸するなどリスク選好度が高まるなか、米債はベア・ステ
ィープニング。雇用統計後の金利低下を帳消しにした。欧州債市場は休場。
【国内株式市場・経済指標他】~豪指標:まちまち~
・日本株は米株高を受けて高寄り後、上げ幅拡大。
・2月豪小売売上高は前月比+0.7%と市場予想(+0.4%)を上回ったうえ、前月分も+0.5%へ0.1%pt上
方修正された。加速力には欠けるが、モメンタムは徐々に上向いている。
・2月豪ANZ求人広告件数は前月比▲1.4%と10ヶ月ぶり減少。前年比でも+6.6%まで伸びが縮小してお
り、労働市場の回復ペース鈍化を示唆。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
豪
(3ヶ月前比年率、%)
小売売上高
(前年比、%)
25
5
20
4
雇用者数と求人広告件数
(前年比、%)
60
15
40
3
10
求人広告件数(右)
2
5
0
1
0
-20
雇用者数
0
-5
-10
07
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成。太線:3MA
-40
-1
15
20
-60
05
06 07 08 09
10
11
(備考)Thomson Reutersにより作成
12
13
14
15
【注目点】~良い意味で現実離れする期待~
・明日の日銀金融政策決定会合では金融政策の変更は予想されず、現状維持が決定されよう。2月コアCP
Iがゼロ%に沈み、日銀短観も大企業製造業の業況判断DIが弱かったため、黒田総裁が奇策を講じる可
能性は完全には否定できないものの、その可能性はかなり低い。QQE2導入から僅か半年程度しか経過
していないほか、金融市場の前向きな動き、すなわち、株高・金利低位安定・円高回避が保たれているか
らだ。
・逆に明日の会見で黒田総裁が追加緩和期待を消失させ得る発言をするかも知れない。現実のインフレ率が
原油価格下落の影響を受けてモメンタムを失うのをよそに日銀が重視している期待インフレ率が明確に反
発しているからだ。金融市場ベースの期待インフレ率は、10年BEIでみてもスワップ金利(5年フォワ
ード5年)でみても概ね1%を回復しており、QQE2導入直前の水準を取り戻している。これは日銀に
強い自身を与えている筈だ。期待インフレ率が上向いている間は、実質金利低下を通じた波及効果も強調
し易いだろう。
・総裁が「期待インフレ率は確りとアンカーされている」等と強気
な発言をした場合、日本株ロング、JPYショートポジションが巻き
戻される可能性はあろう。しかしながら、米景気が堅調を維持し、
(%)
1.5
日本 期待インフレ率
BEI(10年)
1.3
1.1
FRBが徐々にタカ派に傾斜すれば、USD/JPYの中調的な上昇軌道
は崩れない。円安を追い風に日本企業の業績も一段と改善する見
込みで、好需給(日銀ETF、GPIF)、株主還元強化の流れが続くな
かで日本株は上値を一段と伸ばすことが予想される。円安・株高
トレンドは変わらない。
5Y5Y
インフレスワップ
0.7
0.5
13/04
13/10
14/04
14/10
(備考)Bloombergにより作成
<主要株価指数>
日経平均※
NYダウ
DAX(独)
FTSE100(英)
CAC40(仏)
<外国為替>※
USD/JPY
EUR/USD
<長期金利>※
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
<商品>
NY原油
NY金
0.9
終値
19620.37
17,880.85
11,967.39
6,833.46
5,074.14
日経平均株価 12:29 現在
19600
19500
19400
19300
119.58
1.0953
0.362
1.895
1.592
0.194
0.485
1.301
1.221
(円)
19700
前日比
222.39
117.61
(㌦)
18000
0.06
0.00
NYダウ平均株価
17900
%
%
%
%
%
%
%
0.022 %
0.056 %
52.14 ㌦
1218.60 ㌦
3.00 ㌦
17.70 ㌦
17800
17700
17600
120.0
USD/JPY
119.5
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
119.0
118.5
(出所)Bloomberg
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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