実物資産としての魅力が高まる「金」

楽読
(ラクヨミ)
2016年7月4日
Vol.
1,116
実物資産としての魅力が高まる「金」
足元で「金(ゴールド)」価格の上昇が強まっています。6月23日の英国のEU(欧州連合)離脱を巡る国民投票の
結果、離脱が過半数となったことを受け、リスク回避姿勢の強まりなどから安全資産とされる「金」の価格は上昇
しました。NY金先物は6月30日現在で1トロイオンス=1,320.60米ドルとなっており、約2年ぶりの高値水準で推移
しています。
「実物資産」である「金」はそのもの自体に価値があるため、価格が変動することはあっても、価値がゼロにならな
いことから、リスク回避の動きが強まると、「資金の逃避先」として買われる傾向があります。過去において、リー
マン・ショックや欧州債務問題など、経済危機や国の信用リスクが高まる局面でも「金」は買われました。また、
「金」は過去に通貨として使用されていたことなどから、「代替通貨」としての側面を持っており、基軸通貨である
米ドルが下落する局面で買われる傾向があります(米ドルが上昇する局面では売られる傾向もあります)。
2016年に入ってからの金価格は、原油価格の下落や中国の景気減速懸念などを背景とした世界経済の先行き
不透明感のほか、米ドルが下落に転じたことなどから、上昇基調となっています。また、日本や欧州で金融緩和
が拡大されたことも、金価格の押し上げ要因とされています。金融商品としての「金」は利息収入を得られない弱
点があるものの、世界的に国債利回りが低下する中、その弱点が相対的に薄まりつつあります。足元で、日本や
欧州を中心に利回りがマイナスとなっている国債の残高が約1,200兆円と世界全体の約半分にまで拡大する中、
国債の魅力が低下する一方で、実物資産の側面を持つ「金」を保有する動きがみられています。なお、金は本来
インフレに強い資産とされていることから、今後、景気回復によって物価上昇が進む場合、インフレへの備えとし
ての効果も期待できます。
今後、英国とEUの離脱に向けた交渉は難航が予想されており、先行き不透明感が政治経済や企業行動に影響
を及ぼす可能性があります。そのため、金融市場は引き続き、振れ幅の大きな展開となることが予想されること
などから、資金の逃避先として実物資産である金に注目が集まると考えられます。
金価格と米ドル(対円)の推移
(米ドル/ トロイオンス)
各国の10年国債利回りの推移
(円)
(2010年1月末~2016年6月末)
(%)
(2015年初~2016年6月末)
160 3.0
2,000
2016年に入り
金価格は25%上昇
1,600
2.5
米国
140
2.0
1,200
120 1.5
800
100 1.0
米ドル高
ドイツ
80
NY金先物(左軸)
0.0
米ドル安
日本
米ドル/対円(右軸)
10/01
日本、ドイツの国債利回りは
マイナス圏まで低下
0.5
400
0
英国
12/01
60
14/01
-0.5
16/01 (年/月)
15/01
15/05
15/09
16/01
16/05 (年/月)
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