内外環境の変化を背景に、 新興国株式は約1年ぶり高値を更新

楽読
(ラクヨミ)
2016年8月3日
Vol.
1,125
内外環境の変化を背景に、
新興国株式は約1年ぶり高値を更新
これまで出遅れ感の強かった新興国株式が、足元で2015年8月初旬以来の高値をつける好調さをみせて
おり、米ドルベースでの年初来騰落率は+12.0%と、同+5.3%の先進国株式を上回っています(7月末現在)。
この背景には、「経済面」での新興国見直しの動きが挙げられます。足元で、英国のEU(欧州連合)離脱選択に
伴なう先行き不透明感から、先進国経済にはマイナスの影響が見込まれる一方、新興国経済への直接的な
影響は限定的とみられています。また、減速懸念が強まっていた中国景気に落ち着きがみられるようになった
ほか、原油安の影響を余儀なくされたロシアやブラジルでも景気の底打ちが見込まれており、7月半ばに発表
されたIMFの世界経済見通しでも、これらの国の経済見通しが上方修正されています。さらに、アジアでは、イ
ンフレ率の低下を背景に利下げに転じる国が増えており、内需の押し上げが期待されるほか、利下げが財政
政策の拡大につながると見込まれます。こうした変化が新興国株式を見直すきっかけになったとみられます。
加えて「金融面」では、主要先進国の金融政策も追い風となってます。米国が2015年12月に利上げを実施し
て以降、新興国市場では資金流出懸念が台頭し、株式などを中心に軟調な展開が続きました。しかし、今年
6月下旬の英国民投票以降に世界的な先行き不透明感が強まると、米追加利上げ観測が後退したほか、
日本や欧州で金融緩和が当面続く見通しであることが好感され、新興国株式への資金流入が加速し、上値を
押し上げる形となりました。
こうした経済・金融両面でのフォローの動きに加え、新興国株式は、足元で相対的な割安感が強まっているこ
ともあり、注目が高まりつつあります。近年の新興国は、各国の経済運営や地政学的な要因の影響度合いな
どにより、国・地域間の格差は拡大傾向にあるため、選別の必要性はあるものの、今後、新興国の成長加速
が鮮明になるにつれ、魅力的な投資機会として、株式市場での存在感を再び高めていくものと考えられます。
115
110
新興国の株価(米ドルベース)と資金フローの推移
主な株価バリュエーション指標
(2016年1月第1週末~2016年7月第4週末)
(2016年7月末時点)
資金フローは7月第3週末まで
株価(左軸)は、
グラフ起点を100として指数化
70
新興国株式
50
105
(億米ドル)
40
100
95
90
85
新興国株式 先進国株式
60
先進国株式
【ご参考】
新興国株式市場での
海外投資家の資金フロー注
(右軸)
30
20
予想PER
(10年平均)
13.2倍
(11.9倍)
17.5倍
(14.5倍)
PBR
(10年平均)
1.53倍
(1.77倍)
2.18倍
(2.00倍)
ROE
10.6%
9.0%
営業利益率
11.0%
9.8%
流入
10
80
0
75
-10
流出
-20
10年平均は、2006年8月末~2016年7月末
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
PER:株価収益率、PBR:株価純資産倍率
(注)資金フローは、インド、インドネシア、フィリピン、ブラジル、トルコ、南アフリカの合計 ROE:株主資本利益率
新興国株式:MSCIエマージング・マーケット指数、先進国株式:MSCIワールド指数
いずれも配当込み指数
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
70
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが
あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付
目論見書)をご覧ください。
1/1