原油価格は底打ちか? - 日興アセットマネジメント

楽読
(ラクヨミ)
2016年3月16日
Vol.
1,079
原油価格は底打ちか?
~足元で堅調さをみせる資源価格~
原油価格は、需給改善期待が高まっていることなどから、足元で戻り基調となっています。今月11日には、
IEA(国際エネルギー機関)が発表した3月の石油市場月報で、足元の状況を「長く暗いトンネルの出口の光
が見えてきたかもしれない」として、原油価格が底打ちした可能性を示したことも、好材料となりました。
IEAがこう指摘する背景として、①供給調整に向けた前向きな動き、②堅調な需要見通し、③足元の米ドル安
などを挙げています。供給面では、原油生産量を急速に高めてきた米国で、高コストのシェール企業を中心に、
原油安の影響を受け、足元の原油掘削リグ稼働数は2014年ピーク時の約7割減となっています。また、
OPEC(石油輸出国機構)はシェア重視の生産姿勢を固持する一方、一部の産油国では生産調整を求める動
きもあり、盟主サウジアラビアやロシアなど、主要産油国による増産凍結に向けた会合が4月にも開催される
と期待されています。ただし、経済制裁の解除に伴ない増産姿勢をとるイランが会合欠席を表明していること
もあり、協調の進展には注視が必要ですが、主要な原油生産者が調整に向けて、わずかでも進み始めた点
は、大きな一歩といえます。一方、需要面では、IEA統計によると、インドやアジア諸国、中東などがけん引役
となって需要を押し上げ、2016年末にかけて堅調な推移が見込まれています。
こうした流れを受け、2月中旬には一時、1バレル=26米ドル台まで下落した原油価格は、足元で同36米ドル
台と、+40%弱の回復をみせています(WTIベース)。また、原油同様に供給過剰が嫌気されてきた鉄鉱石や
銅などにおいては、値ごろ感に加え、中国で、景気刺激策ならびにインフラ需要拡大への期待が高まったこと
などから、価格には反発がみられます。
昨年来、原油価格の変動は、商品市況のみならず、世界の金融市場の大きな動揺につながってきました。
また、資源安が経済成長の押し下げ要因となっている国もあり、資源価格と景気には、相互作用が強まって
いるとみられます。中国の景気動向やイランの増産姿勢などによっては、資源価格の変動が再び高まるとみ
られますが、需給改善がより鮮明となることで、投資家心理が改善に向かい、価格が底打ちとなるようであれ
ば、世界景気の先行きにも徐々に明るさが増していくと期待されます。
【原油価格と世界株式の推移】
(2015年1月初~2016年3月15日)
140
NY原油先物
(WTI、右軸)
130
昨年末以降、
原油価格と株価の連動性
が高まる傾向に
120
【鉄鉱石と銅の価格推移】
米ドル
/バレル
70 120
60
50
110
40
100
30
(2015年1月初~2016年3月15日)
110
銅先物(ロンドン3ヵ月物)
金属資源は
足元で堅調に推移
100
90
80
90
80
70
世界株式
(MSCIワールド指数、左軸)
20
・米ドルベース
・世界株式は、グラフ起点を100として指数化
70
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
10
0
(年/月)
鉄鉱石
(鉄鉱62%、中国輸入価格)
60
50
・米ドルベース
・グラフ起点を100として指数化
40
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1 (年/月)
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
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