足元の金融市場と当面の見通し

2016年7月1日
足元の金融市場と当面の見通し
6月23日、世界が注目していた、英国におけるEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票は、
離脱派が残留派を僅差で上回る結果となりました。世界の金融市場は直前までEU残留を見込んで上
昇していたことから EU離脱(以下 BREXIT)を選択したことにより株式市場は大幅に下落し
昇していたことから、EU離脱(以下、BREXIT)を選択したことにより株式市場は大幅に下落し、
為替市場では比較的安全とされる円や米ドルが買われました。今週に入ってからは、少し落ち着き
を取り戻しているようですが、過去に起きた金融システムを揺るがしたイベントと今回のBREXITの
背景が異なることや、当面、金融市場で何が起こりそうなのか、などについて整理してみます。
過去10
過去
10年の主なネガティブイベントとその背景
年の主なネガティブイベントとその背景
市場 不安 度合
市場の不安定度合いをはかる恐怖指数を見ると、相対的に急激に上昇した局面は3回あり、いずれ
怖指数 見
、相対的
激
昇
局面
回
、 ず
も金融市場に直接影響を与えるイベントでした(詳細は下表をご覧ください)。リーマン・ショッ
クは金融システムに大きな打撃を与え、欧州における財政問題は金融機関の資金調達懸念につなが
りました。一方、今回のBREXITは、欧州の政治的な枠組みが変わるかもしれないとの懸念や欧州に
進出している企業への影響が、直接的に金融システムに打撃を与えるものではなく、過去のイベン
トとは背景が異なります。
世界株式と恐怖指数の推移 (2006年1月初~2016年6月24日) (ポイント)
※世界株式(MSCI ACワールド指数(米ドルベース))は
※世界株式(MSCI ACワ
ルト 指数(米ト ルヘ ス))は、起点を100として指数化
起点を100として指数化
180
90
世界株式(左軸)
①
160
80
③
140
70
②
120
6月23日⇒24日の
騰落率は約5%下落
60
100
50
80
40
60
30
40
20
恐怖指数(右軸)
(恐怖指数(VIX指数)は、S&P500のオプション・インプライド・ボラティリティ指標)
20
0
06/1
07/1
下落率
(計算期間)
約45%
08/9 – 09/3
約6カ月
不良債権を大量に抱えた米投資銀行リーマン・
ブラザーズが経営破たん
日米欧の中央銀行が流動性供給のため
に協調対応、金融規制改革推進
② ギリシャ財政不安 約14%
10/4 – 10/7
約3カ月
09年新政権発足時に財政赤字の過小報告の事
実が発覚
ユーロ圏向け財政支援制度新設やIMF・
EUによる金融支援
③ 欧州債務危機
11/7 – 11/9
約2カ月
ギリシャの財政問題とユーロ圏離脱懸念がイタリ ②の対応に加え、ECBが長期資金供給オ
アの債務不安やスペインの銀行問題などに伝播 ペレーション(LTRO)を期間延長
約18%
12/1
13/1
14/1
0
09/1
① リーマン・ショック
11/1
15/1
下落した背景
16/1
(年/月)
08/1
主なイベント
主なイ
ント
10/1
10
主な対応
(信頼できると判断したデータなどをもとに日興アセットマネジメントが作成)
(信頼できると判断したデ
タなどをもとに日興アセットマネジメントが作成)
※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり
ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来
の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資
対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を
ご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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離脱派勝利の意味とEU
離脱派勝利の意味と
EU加盟国への影響
加盟国への影響
今回の国民投票の結果は、「英国国民がEUから離脱したい」と意思表示したものであり、直ぐに
BREXITするわけではありません。これから 英国は欧州理事会に対して BREXITを可能にするた
BREXITするわけではありません。これから、英国は欧州理事会に対して、BREXITを可能にするた
めの事前通知を行ない、2年をかけて交渉することになります。残留を支持していたキャメロン首相
は今年10月までに辞任する意向を示し、「新しい首相が、いつEUを離脱する手続きを開始するかを
決めるのが適切」と述べていることから、交渉開始は新首相の選出を待つことになりそうです。ま
た、一昨年に独立の是非を問う住民投票を行ない独立が否決されたスコットランドは、今回の結果
を受けて再度独立を問う住民投票を行なう可能性があります。
EU加盟国への影響で懸念されることは、今回、国民がBREXITを選択したという結果に他のEU加
加盟国
影響 懸念される とは 今回 国民が
を選択 たと う結果に他
加
盟国が同調することにより、EUの結束力が低下することです。先日のスペイン総選挙では、当初は
反EU派が優勢とされる中、EU支持派が議席を伸ばす結果となりましたが、反EU派の勢いが増して
いるイタリアやオランダ、フランスなどで今後行なわれる国民投票や選挙への影響が懸念されます。
BREXITで英国はどのようになってしまうのか
BREXIT
で英国はどのようになってしまうのか
スコットランドや北アイルランドの独立に関する政治的な動きには注意が必要です。経済面の主な
トラ ドや北アイ ラ ド 独立に関する政治的な動きには注意が必要です 経済面 主な
メリットとデメリットを整理してみると、短期的に経済成長が鈍化する可能性があるとみられます。
BREXITした場合の主なデメリット
・ EU加盟国などと貿易協定などの再締結が必要となり、離脱
後に関税がかかる場合、貿易量が落ち込む可能性あり
・ EU市場への展開のために英国に本部機能を設置している
多国籍企業が、メリットがなくなると判断して他国に移転して
しまう可能性あり ⇒資本流出懸念
・ 金融サービス業の優位性が低下する懸念
BREXITした場合の主なメリット
・ EUルールではなく、自国ルールで経済運営ができる
・ EUに加盟することによる財政負担がなくなる
・ 移民流入などによる自国民の雇用喪失などが回避できる
当面、
当面
、金融市場で何が起こりそうか
英国では、9月に与党党首が選出され、10月にはEUとの交渉を担うであろう新首相が就任する予定
です。また、6月27日にドイツとフランス、イタリアの首脳は、英国を除くEU加盟27ヵ国で結束を
です。また
6月27日にドイツとフランス イタリアの首脳は 英国を除くEU加盟27ヵ国で結束を
保つことで合意し、EUを再構築するための首脳会議を9月に再招集することで合意しました。この
ような政治日程に鑑みれば、秋口までは、EUによる何らかの政策発動の可能性はあるものの、英国
とEUがどのように交渉を進めるのかが見通せず、当面、金融市場では一進一退の展開になるとみら
れます。
為替市場については、当面の欧州動向や米国大統領選挙を控えた政局の不安定さに加え、短期的な
世界景気の悪化懸念で米国が利上げを先送りするようであれば円高基調、一方、米国において消費
世界景気
悪化懸念 米国が利上げを先送りするよう あれば円高基調
方 米国にお
消費
などが堅調に推移し経済が緩やかな回復に向かうようであれば円安基調が想定され、当面は硬軟両
にらみで推移するとみられます。株式市場については、主要国の財政出動などの政策対応により企
業の投資意欲が高まるなど、業績改善が見込まれるようであれば、下値を固めながら堅調に推移す
るとみられます。
以上
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり
ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来
の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資
対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を
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