1. ベースアップ(ベア) 121

2015年3月4日
ご参考資料
121
今回のテーマ
賃上げ期待で注目が集まる「ベア」と「春闘」
今年の春闘では、日本企業の好業績や政府の働きかけなどを
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
背景に、昨年に続き一定の賃上げの実現が期待されます。賃上
げは日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか?今回は
そのポイントとなるベースアップと春闘について調べてみました。
1.ベースアップ(ベア)
ベースアップとは、「ベア」とも呼ばれ、賃金の土台(ベース)となる
部分、いわゆる基本給の水準を引き上げることです。
企業がベアを実施すると、基本的に全社員の賃金水準が底上げ
されることになります。例えば、以前の基本給からプラス3,000円の
ベア実施後は、単純計算で「3,000円×社員数」分、その企業が支
払う賃金の総額が以前より増えることになります。
一般的な日本企業では、昇格に伴なう昇給のほか、年功序列と
称されるように、年齢や勤続年数に応じて賃金を引き上げる「定期
昇給」が行なわれています。例えば、年齢による定期昇給のみ行な
われる企業では、30歳の社員の月給に対して31歳はプラス2,000
円などといったように、あらかじめ年齢に応じた賃金水準が決まっ
ており、これに従って自動的に賃金が引き上げられます。こうした
企業の場合、社員数と年齢構成が毎年変わらないと仮定すれば、
企業が支払う賃金の総額は常に一定となります。
定期昇給に対し、ベアは企業にとって固定費の増加となるもの
の、個人所得を持続的に底上げするため、ボーナスの増額などよ
りも経済効果が大きいとされており、中長期的な消費拡大や景気
企業ごとに決められている
基本的な賃金体系は、一
般に「賃金表」と呼ばれ、こ
の表に従って定期昇給が
行なわれます。一方で、
ベースアップは賃金表自
体の見直しと言えます。
(次のページヘ続きます)
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
(1/2)
回復につながることが期待できます。
ベアが取り入れられたのは高度経済成長期の日本で、定期昇給
だけでは賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、実質的な賃金低
下となってしまうことを避けるという目的がありました。
1990年代以降、日本経済が低迷しデフレに転じると、ベアによる
賃金の引き上げ率は低下傾向となり、2000年代以降は実施しない
企業が多くなりました。しかし、2014年は物価の上昇や企業業績の
改善などを背景に、大企業を中心にベアを実施する動きが拡がり、
賃金上昇率が比較的高い水準となりました。
市場では、今年もこうした動きが拡がることで、日本の景気回復
に寄与することが期待されています。
2.春闘
春闘(春季生活闘争)とは、労働組合が賃上げや労働環境の改
善などを企業側と交渉する「労使交渉」です。日本企業では給料の
改定などが行なわれる新年度のはじまり、すなわち春に向けて労
使交渉が進められることが多いことから、春闘と呼ばれます。
春闘では、まず労働者側を代表する連合(日本労働組合総連合
会)と、経営者側を代表する経団連(日本経済団体連合会)が、今
年の労使交渉に対する姿勢や方針をそれぞれ示します。
それらに基づき、景気の良い産業や、賃上げが見込まれる大企
業の労働組合を中心に、要求書を提出し、3月中旬に経営者側の
集中回答が行なわれます。具体的には、要求されたベアを全面的
に受け入れる満額回答や、一部引き上げなどが決定されます。中
小企業の労使交渉は、大手企業の結果を踏まえて進められること
が多く、3月よりも遅い時期に賃金改定が決まる傾向があります。
厚生労働省の発表による
と、2014年の春闘では民
間主要企業のベアと定期
昇給を合わせた賃上げ率
は平均2.19%程度と、15
年ぶりの高水準となりまし
た。個人消費の拡大には、
こうした動きが中小企業な
どに拡がっていくことが重要
と考えられます。
政府は、企業収益を家計にも回し、新たな消費を生み出す「経済
の好循環」のためには、賃上げが重要と考えており、法人税率を引
き下げた分を賃上げに回すように促しています。こうしたなか、今年
の春闘では、連合が強気の要求姿勢を示しており、経団連もベア
を含めた賃上げを前向きに検討するように各企業に求めていま
す。こうした後押しを受け、市場では昨年を上回る賃上げが期待さ
れており、今年の春闘の行方に注目が集まっています。
今年は、3月18日に経営者側による労使交渉の集中回答
が行なわれる予定です。今年の春闘で高水準の賃上げが
実現すれば、消費拡大につながりそうですね。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
(2/2)