市場予想に反して 利上げを見送ったブラジル中央銀行

楽読
(ラクヨミ)
2016年1月21日
Vol.
1,058
市場予想に反して
利上げを見送ったブラジル中央銀行
ブラジル中央銀行は1月20日、政策金利を14.25%で据え置くことを金融政策委員会で決定しました。市場
では、昨年7月以来、4会合ぶりに利上げが決定されるとの見方が有力でした。
2015年の公共料金などの引き上げやブラジル・レアル軟調の影響などから、ブラジルでは物価上昇率が中
央銀行の目標水準を大きく上回り続け、足元では10%を超えています。こうした中、昨年最後の会合となった
11月の金融政策委員会以降、中央銀行総裁が物価抑制姿勢を示してきたこともあり、市場では、今年最初の
会合である今回、0.5ポイントの利上げ(14.25%→14.75%)が有力視されていました。ところが、IMF(国際通
貨基金)が今週19日に発表した最新の世界経済見通しの中で、ブラジルのGDP成長率予想が2016年で前
年比▲3.5%へ下方修正されると、中央銀行総裁は急遽、「IMFの見通し下方修正は重要」との異例の声明を
発表しました。これを受け、市場の利上げ観測はやや後退したものの、利上げ見送りとの見方が優勢となるま
でには至りませんでした。
中央銀行は今回、ブラジル内外の不確実性の高まり、中でも特に海外要因を考慮して利上げ見送りを決定
したと声明で明らかにし、商品市況の下落や金融市場の大きな振れ、中国景気の先行き不透明感などを重
視したことを示唆しました。こうした海外不透明要因の改善には時間を要するとみられ、ブラジルの利上げ観
測は一段と後退する可能性があります。また、厳しい国内経済事情に加え、ルセフ大統領に対する弾劾審理
が2月にも始まる見通しとなっているという内政面での事情もあり、与党・労働者党が利上げに強く反対してい
る折、中央銀行が政治的な圧力に屈したとの見方が台頭すれば、中央銀行に対する市場の信任が揺らぐこ
とも考えられます。目先、金融政策面にブラジル・レアルの下支えを期待するのは難しくなったとみられます。
ブラジルの物価および政策金利の推移
20
(%)
(2004年1月~2016年1月*)
*消費者物価指数は15年12月までのデータ
18
ブラジル・レアルの推移
80
70
(円)
(2004年1月初~2016年1月20日)(レアル)
レ
ア
ル
高
0.5
1.0
16
60
14
政策金利
12
40
10
8
50
消費者物価指数
(前年同月比)
レ
ア
ル
安
対円
(左軸)
1.5
2.0
2.5
30
3.0
20
3.5
6
4
2
0
インフレ目標**
10
**現在は4.5%±2%ポイント
対米ドル
(右軸)
4.0
0
4.5
(年)
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
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