楽読 (ラクヨミ) 2016年4月28日 Vol. 1,093 上昇基調への転換が期待される原油価格 足元で原油価格が回復基調となっています。国際指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油先 物は、27日、1バレル=45.33米ドルと今年2月につけた安値(1バレル=26.21米ドル)から73%上昇しました。長期 的な価格トレンドを示すとされる200日移動平均線を上抜けたことなどもあり、2014年半ば以降続いた下落トレンド からの転換となるかに注目が集まっています(下左図参照)。原油価格が上昇した背景として、①主要産油国による 生産調整に向けた動き、②米国におけるシェール企業や石油メジャーなどによる投資削減の動き、③中国景気に 対する過度な警戒感の後退、などが挙げられ、需給バランスの改善期待が上昇に繋がっています。 供給面では、OPEC(石油輸出国機構)の盟主サウジアラビアや主要産油国であるロシアなどで生産調整に向けた 動きがみられます。欧米からの経済制裁が解除されたイランが欠席したことなどを理由に、4月の産油国の会合で は増産凍結の合意には至らず、6月に予定されているOPEC総会に持ち越されたものの、主要産油国が調整に向 けて動き出した点は大きな一歩と言えます。米国においては、原油安の影響で生産コストの高いシェール企業を中 心に採掘投資を削減していることもあり、足元の石油採掘リグの稼働数は2014年10月のピークの4分の1以下に減 少しています(下右図参照)。また、石油メジャーを中心に開発・生産部門の投資が2015年に続き、2016年も減少 見通しとなっていることなどもあり、将来の供給減少に繋がるとみられています。 需要面では、景気悪化が懸念されていた中国において、2016年第1四半期の実質GDP成長率が前年同期比 6.7%増となり、前期から減速しながらも、今年政府が設定した経済成長率6.5~7.0%の範囲内に収まったことで、 経済の底堅さを見せました。IEA(国際エネルギー機関)では、OPEC加盟国以外で石油生産量が大きく減少してい る一方、中国やインドの需要が増加傾向にあることなどを理由に、原油価格は今年末か遅くとも2017年には均衡を 取り戻し、上昇に向かうとの見方が示されています。今後、生産調整をめぐるOPEC総会や中国景気の動向、米国 の利上げのペースによっては、原油価格の変動が再び高まるとみられますが、需給改善がより鮮明になることで、 投資家心理の改善に繋がれば、原油価格が上昇基調に転じることが期待されます。 【原油価格*の推移】 (米ドル) 【米国の油田リグ稼働数と原油生産量の推移】 (2011年1月第1週末~2016年4月第4週末**) (2006年1月初~2016年4月27日) 160 (基) ** 140 1,000 1,609基 生産量:右軸 リグ稼働数:左軸 200日移動平均 120 (万バレル/日) 生産量は4月第3週末まで 2,000 1,600 800 1,200 600 100 原油価格が 200日移動平均 を上抜け 800 80 60 原油価格 400 リグの稼働数は 4分の1以下に減少 40 400 20 200 * WTI原油先物(1バレル当たり) 0 06/1 343基 0 08/1 10/1 12/1 14/1 16/1 (年/月) 0 11年 12年 13年 14年 15年 16年 (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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