No.2015-034 2015年3月23日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp 米シェール減産の兆し ~ リグ減影響拡がり ~ (1)米国リグ数が昨秋来減少(図表1)。本年入り後、減勢加速。原油リグは昨年10月第2週の ピーク時1,609基比、直近本年3月第3週は825基へほぼ半減。天然ガスリグは昨年11月第1週の ピーク時356基比、本年3月第3週242基へ3割減。しかし産油量が減少に向かう兆しなし。公表 された産油量の最新値昨年12月は前年比17%増。昨年末まで総じて増産。本年入り後、在庫が 大幅増。在庫動向から推せば、本年入り後も増産持続の可能性。 (2)しかし増産傾向に歯止めの兆し。このところの米国原油生産増はシェール田が主導。主要な シェール田の産油量をみると、テキサス州のパーミアンとイーグルフォード、ノースダコタ州 バッケンが中心(図表2)。次いでコロラド州ニオブララが有力。ヘインズビルやマーセラス はガス田では有力ながら、油田としては小規模。 (3)主要シェール田の生産効率、すなわちリグ1基の1日当たり産油量をみると、一昨年半ば以降、 主力田を中心に大幅改善(図表3)。とりわけバッケンは昨年央来、改善ペースが一段と加速。 生産性が低下したリグの稼働を停止する一方、生産性の高い新規リグの稼働で産油量が増加。 パーミアンは相対的に新しいシェール田で、生産性向上と新規リグ増で増産。 (4)しかし3月9日、米国エネルギー省は主要シェール田の増産一巡の見通しを公表(図表4)。 まず、本年2月から4月までの産油量をみると、イーグルフォードとバッケン、ニオブララでは 2月から3月に増勢鈍化した後、4月マイナスに。それら以外は、パーミアンを含め2月から4月 まで増勢鈍化。7田合計では、2月日量前月差10.9万バレル増から3月同6.8万バレル増を経て、 4月は同0.3万バレルとほぼ横這い。リグ数減は2~3ヵ月先の産油量を左右。その点を加味して みれば4月以降、シェール田の産油量が減勢に転じる展開が視野。 (図表1)米国のリグ数と産油量 36 35 34 33 32 31 30 29 28 27 26 25 24 23 0 22 (図表2)主要シェール田の産油量 20 (100基) 16 (10万バレル/日) イーグルフォード ヘインズビル ニオブララ ウチカ 16 14 12 米国産油量(千万バレル、左目盛) リグ数(天然ガス、10基、右目盛) リグ数(原油、右目盛) 12 8 10 4 8 0 12 (出所) EIA など (年/月) (図表3)主要シェール田別の原油生産効率 13 14 (出所) EIA 15 (年/月) (図表4)シェール田別産油量見通し(前月差、EIA推計) 42 7 6 バッケン マーセラス パーミアン (100バレル/日/リグ) イーグルフォード ヘインズビル ニオブララ ウチカ (千バレル/日) 36 バッケン マーセラス パーミアン 30 稼働停止に伴う生産減 新規稼働に伴う生産増 産油量 24 5 18 4 12 6 3 0 ▲6 2 ▲12 1 0 12 13 (出所) EIA 14 15 (年/月) (出所) EIA (注) 期間は2015年2~4月。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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