2015年1~6月実施分 昇給・ベースアップ実施状況調査結果

「2015 年 1~6 月実施分 昇給・ベースアップ実施状況調査結果」
2016 年1月 19 日
(一社)日本経済団体連合会
東京経営者協会
Ⅰ.調査の基本事項
調査目的:昇給やベースアップなど月例賃金引上げの実態と動向を把握し、今後の参考
とするために 1953 年より毎年実施(東京経営者協会との共同調査)
調査対象:経団連企業会員および東京経営者協会会員企業 1,906 社
調査時期:2015 年5月 29 日~6月 25 日
回答状況:集計企業数 482 社(有効回答率 25.3%)
(製造業 49.8% 非製造業 50.2%、従業員 500 人以上規模 79.0%)
Ⅱ.調査結果の概要
1. 賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)
本項目の調査を開始した 2009 年以降、
「企業業績」
(63.8%)が最も多く、そのほか「世
間相場」(47.0%)、「経済・景気の動向」(21.0%)を加えた3要素が上位を占める傾向
に変化はない。そのなかで、2014 年は考慮した要素の6番目であった「人材確保・定着
率の向上」(14.9%)が 6.1%ポイント増え、3要素に次ぐ4番目となった(図表1)。
図表1 賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)
63.8%
64.4%
企業業績
47.0%
世間相場(社会、業界、グループ関連企業等)
42.6%
21.0%
経済・景気の動向
26.6%
14.9%
人材確保・定着率の向上
8.8%
14.7%
12.5%
労使関係の安定
2015年
13.0%
16.0%
雇用の維持・安定
2014年
10.4%
7.9%
昨年の妥結額・率
6.4%
6.5%
物価の動向
3.5%
6.0%
生産性の向上
0.7%
3.5%
税・社会保険料負担
4.5%
5.3%
その他
0%
10%
20%
30%
注:集計企業数を 100.0 とし各要素を回答した企業の割合を示したもの
1
40%
50%
60%
70%
2.月例賃金引上げの実施状況
「昇給・ベアともに実施」した企業は、大幅な増加となった 2014 年(53.1%)からさ
らに増え、64.8%にのぼった。「昇給実施、ベアなし」(35.2%)とした企業とあわせる
と、本項目の集計企業(219 社)すべてで定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給など、月
例賃金の引上げを実施した(図表2)。
図表2 月例賃金引上げの実施状況
暦年
集計企業数
昇給・ベア
ともに実施
昇給実施
ベアなし
昇給・ベア
ともに実施せず
月例賃金の
引下げ
2011年
190 社
2.6%
96.8%
0.5%
0.0%
12
193 社
4.1%
95.9%
0.0%
0.0%
13
200 社
9.5%
88.5%
1.0%
1.0%
14
224 社
53.1%
46.9%
0.0%
0.0%
15
219 社
64.8%
35.2%
0.0%
0.0%
( 1 4 2 社)
(7 7 社)
( 0 社)
( 0 社)
注:(1)昇給とは、定期昇給や賃金カーブ維持分、昇格・昇進昇給、諸手当の引上げ等の月例賃金の増額をいう
(2)昇給とベースアップの区別ある企業を対象に集計
(3)小数点第 2 位以下四捨五入のため、合計は必ずしも 100.0%にならない場合がある
3. 月例賃金引上げの状況
2015 年の月例賃金引上げは、額で 7,308 円、率で 2.4%となり、引上げ額は、1998 年
(7,937 円)以来 17 年ぶりに 7,000 円を超えた(図表3)。
図表3 月例賃金の引上げ額および引上げ率の推移
(円)
8,500
(%)
3.0
2.8
引上げ額(左目盛)
引上げ率(右目盛)
8,000 7,937
2.4
2.3
2.5
2.2
7,500
2.0
2.0
2.0
1.8
引 7,000
上
げ
額
6,500
2.1
2.1
2.0
2.0
1.9
1.9
1.8
2.0
7,308
2.0
1.9
1.8
6,788
6,733
引
上
1.5 げ
率
6,391
6,203
6,102 6,142
6,033
6,017
5,896
6,000
1.0
5,916
5,784
5,779 5,743
5,650 5,682
5,469
5,500
0.5
5,000
1998
99
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
注:(1)月例賃金の引上げには、定期昇給や賃金カーブ維持分、昇格・昇進昇給、ベースアップ、諸手当の
引上げ等が含まれる
(2)アップ率は、各年における集計企業の所定内賃金をもとに算出(集計企業は各年ごとに異なる)
2
0.0
15 (年)
昇給とベースアップの区別のある企業を対象に、月例賃金引上げの内訳をみると、総
額 7,341 円(2.39%)のうち、昇給分は 6,001 円(1.95%)、ベースアップ分は 1,340
円(0.44%)であった。昇給分は 2014 年とほぼ同水準となった一方、ベースアップ分は
405 円(0.14%ポイント)増え、総額の2割弱(18.3%)を占めた(図表4)。
図表4 月例賃金の引上げ状況の推移
(昇給とベースアップの区別のある企業を対象)
暦 年
昇 給
集計企業数
金
額
社
月例賃金引上げ
ベースアップ
金
率
円
額
%
金
率
円
%
額
率
円
%
2011年
190
6,070
(99.5 )
2.00
28
(0.5 )
0.01
6,098
(100.0 )
2.01
12
193
5,984
(98.8 )
1.96
74
(1.2 )
0.02
6,058
(100.0 )
1.98
13
200
5,682
(95.8 )
1.88
250
(4.2 )
0.08
5,932
(100.0 )
1.96
14
224
6,059
(86.6 )
1.96
935
(13.4 )
0.30
6,994
(100.0 )
2.26
15
219
6 ,0 0 1
( 8 1 .7 )
1 .9 5
1 ,3 4 0
( 1 8 .3 )
0 .4 4
7 ,3 4 1
( 1 0 0 .0 )
2 .3 9
注:(1)
「昇給」は「ベースアップ」以外の月例賃金引上げ総額(昇進・昇格昇給額を含む)
(2)
(
)内は月例賃金引上げに対する昇給およびベースアップの割合(%)
(3)率は各年における集計企業の所定内賃金をもとに算出(集計企業は各年ごとに異なる)
4. 月例賃金の引上げ額の分布状況
上位3つの分布をみると、2014 年は 5,000~8,000 円であるのに対し、2015 年は 6,000
~9,000 円となり、分布が全体的に上方へシフトしている。また、10,000 円以上の分布
についても 13.1%と 2014 年(9.9%)と比べ 3.2%ポイント増加した(図表5)。
図表5 月例賃金引上げ額の分布状況
(%)
25
2014年(集計企業数=271社)
2015年(集計企業数=267社)
19.9
20
18.8
17.6
15
18.7
18.1
13.7
12.4
12.0
割
10.5
10.1
10
8.9
7.4
合
5.6
5
4.8
3.3
4.1
3.0
3.0
2.2
1.9
0.7
1.1
11~12
12~13
0.7 0.7
0.4 0.4
0
4未満
4~5
5~6
6~7
7~8
8~9
9~10
10~11
引 上 げ 額
13~14
14~15
15~
(千円)
以 上
3