※青字は内部学生向けの情報です。 植物系統分類学III 1.0 単位, 2・3 年次, 秋C 学期, 月曜・火曜1限 担当教員 出川 洋介 対象者 全国の国公私立大学の学生。また、筑波大学生物学類の授業科目としても同名で開講する。 履修形態 「特別聴講学生・公募型」全国の国公私立大学に対して公募形式で受講生を募集し、特別聴講学生として受入 れ、筑波大学が単位を付与し、学生はそれを卒業要件の単位として読み替えられます(読み替えは所属大学の 判断による)。 授業概要 真菌類を中心に菌類を構成する多様な分類群を他の植物群と比較し解説する。菌類全体及び各群の範囲や系 統学的な位置づけ、マクロ・ミクロ進化に関する最近の議論を紹介し、菌類への理解を深める。 備考 開講期間:2016/1/4-2/9 筑波大学(つくばキャンパス)にて週一回の講義として開講。 授業形態 講義 授業目的 最近まで菌類には、細胞壁を持つが光合成能がなく、吸収によって栄養を摂取する生物群という定義のもと、系 統の異なる多くの真核生物群が含まれていた。現在では、細胞壁成分としてキチンあるいはキトサンを持つ生 物群を狭義の菌類(真菌類カビ、キノコ、コウボの仲間)とし、菌類様生物(ミズカビ、ツユカビなどの卵菌類、サカ ゲツボカビ類、ラビリンツラ類)を含めて広義の菌類と呼ぶ。広義の菌類は細胞壁を持つことから長らく植物とし て研究されてきたが、実は動物と単系統群(オピストコンタ)をなすことが判明した。菌類、特に真菌類の形態、 生活史、生理、生態の特徴について説明し、栄養体として単相主体の多核体を発達させた真菌類の分類・系統 を研究するための考え方、方法について解説する。そして現在提案されている真菌類の分類体系や系統樹の 意味を考える。 授業内容 第1回 菌類学 総論 菌類とは何か、オピストコンタに属す単系統群としての狭義の菌界の系統分類学的位置 づけ 第2回 菌類学 ツボカビ門の多様性1、鞭毛菌類の分類体系の変遷 第3回 各論1 ツボカビ門の多様性2、コウマクノウキン門、ネオカリマスチクス門、クリプト菌門、微胞子虫の多 様性 第4回 各論2 接合菌門の多様性1、陸上進出に伴う適応、動物との関わり(ハエカビ亜門、キクセラ亜門、トリ モチカビ亜門) 第5回 各論3 接合菌門の多様性2、陸上環境への適応、植物との関わり(ケカビ亜門・グロムス門) 第6回 各論4 子嚢菌門の多様性1、タフリナ亜門、サッカロミケス亜門の多様性 第7回 各論5 子嚢菌門の多様性2、チャワンタケ亜門内の多様性、不完全菌類 第8回 各論6 担子菌門の多様性1、サビキン亜門、クロボキン亜門の多様性 第9回 各論7 担子菌門の多様性2 、ハラタケ亜門の多様性 第10回 試験 前提科目・履修上の注意事項 分類学概論,植物系統分類学Iのいずれかを履修してあること。動物系統分類学Iの履修者、動物系統分類学IIの 同時履修者も履修を認める。 単位取得条件・成績評価基準 期末に論述試験あるいはレポートにより評価する。出席状況も加味する。 準備学習・事後学習 受講者の理解度に応じ、授業中に指示する。 指定教科書 なし。重要な部分はプリントとして適時配布する。 参考書 1. Introductory Mycology 4th ed. John Wiley and Sons, New York. 1996. Alexopoulus, C. J. et al. 2. Fungal Biology. Blackwell. 2006. Deacon, J. W. 3. ウエブスター菌類概論、(訳本) 講談社 1985 ウエブスター 4. 菌類・細菌・ウィルスの多様性と系統、バイオディバーシティー・シリーズ4 裳華房 2005 杉山純多編 備考 (受講生に望むこと) 講義の対象となる生物がキノコを除き目で見ることのできない微生物であるので、サイズ、スケールを意識しな がら受講してほしい。
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