【2015 年度シラバス】 【授業科目名】 法と経済学 【授業科目の区分】 基礎法学・隣接科目群 【担当者】 伊永 大輔 【履修形態/単位】 選択科目/2単位 【配当年次/開期】 1・2・3年次/前期 【授業科目の内容】 本講義は、 「法と経済学(Law & Economics)」の基本概念とその応用可能性を内容とする。 法と経済学は、現代の複雑・高度化した経済社会における制度上の問題に対処するための ツールとしての法学と経済学を取り扱う学際的学問分野である。 法規制の理解において経済学的な発想と分析が実践的で有益なものであることから、 1970 年以降の米国のロースクールをはじめとして、法と経済学は、法曹の基本的素養の一 部を形成してきた。わが国においては、民法の解釈にも影響を及ぼすとともに、経済関係 法(会社法、税法、独占禁止法、知的財産法、金融商品取引法等)においては、経済学の 成果を法的価値観に取り込むことで「公正さ」を判断するメルクマールとしても実務上機 能しつつある。 【授業科目の目標・方法】 本講義では、法と経済学の基本的な考え方を理解し、現代の法制度に関する理解を深め ることを目的とする。具体的には、複雑多様化した経済社会における法的統制に関する経 済学的視点についての理解を深めるとともに、法解釈論と立法論の双方を適切に使い分け られる能力を身につけることが期待される。 本講義は講義(12 回)と演習(3 回)によって構成される。まず、法と経済学の基本概 念について講義を行い、産業組織論等の競争政策や産業政策を理解する上での基礎的な考 え方等を学習する。次に、新聞等で接する政府による規制や社会生活における法制度等に ついて、法と経済学の視点を踏まえた制度分析及び提言を各自に行ってもらい、受講者で 当該テーマについて討論を行う(実際に受講する者の数が少ない場合には、報告が過度の 負担となることがないように、講義と演習のバランスを調整する)。 演習のテーマについては、いくつかの報告しやすいトピックをあらかじめ提示するが、 報告者が興味を持つ事業分野について個別報告することも歓迎する。また、官公庁等が公 表する制度分析の報告書等を題材にすることも可能である。 また、講義および演習を通じ、法と経済学の観点から、各業界における法的規制その他 実際の経済社会の制度について、新聞等の時事情報に触れながら簡単な解説も行うことと したい。 【授業計画】 第 1 回 講義(1)「法と経済学」の考え方(インストラクション) 第 2 回 講義(2)市場とは何か、独占企業の価格設定、自然独占 第 3 回 講義(3)価格の機能、絶対優位・比較優位(貿易自由化論) 第 4 回 講義(4)ジェレミー・ベンサムの功利主義論 第 5 回 講義(5)コンテスタブルマーケット理論、寡占市場 第 6 回 講義(6)ゲーム理論、囚人のジレンマ、ナッシュ均衡 第 7 回 講義(7)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 第 8 回 講義(8)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 第 9 回 講義(9)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 第 10 回 講義(10)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 第 11 回 講義(11)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 第 12 回 講義(12)市場集中度、戦略的行動、垂直的統合と制限 【2015 年度シラバス】 第 13 回 演習(1)社会的規制分野の「法と経済学」 第 14 回 演習(2)財産法分野の「法と経済学」 第 15 回 演習(3)刑事司法分野の「法と経済学」 ※ また、各演習のテーマは、発表者・受講者の希望等によって変更することもありえ ます。 【授業外学修の課題】 講義を受ける上では、あらかじめ参考書を購読しておくとより理解が深まります。 演習においては、報告者は個別報告を行う際の事前準備として、テーマの選別、文献調 査、報告レジュメ等の作成が必要となります。 【履修上の注意事項】 (1)講義はパワーポイントを用いて行います。受講者には、あらかじめ電子データか紙で 入手できるように工夫したいと思います。 (2)その他講義に関して必要な事項は最初の授業で説明します。 【教科書】 特になし。 【参考書】 次のような書籍をもとに講義を進めますので、理解を進めるのに活用してください。 (1) 『法と経済学』、スティーブン・シャベル(著) 、田中亘・飯田高(訳)、日本経済新聞 出版社(2010 年) (2) 『プラクティカル産業組織論』、泉田成美、柳川隆(著)、有斐閣アルマ(2008 年) (3)『法と経済学』、矢野誠(編著)、東京大学出版会(2007 年) (4)『ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱ』、八田達夫(著)、東洋経済新報社(2008 年、2009 年) (5)『競争政策論』、小田切宏之(著) 、日本評論社(2008 年) (6)『Law and Economics in a nut shell』、Jeffery L. Harrison、Thomson Reuters (5th ed. 2011) 【成績評価の方法・基準】 期末試験(60%)、演習における個別報告(20%)、講義における平常点(20%)で総合評価 します。平常点については、事前準備、内容に関する適切な理解、発言の積極性、議論を 活性化する質問、趣旨展開の論理性、タイミングを得た指摘等を踏まえて評価します。 【質問・相談への対応】 毎週火曜 14:50〜16:20 がオフィスアワーになっています。もちろん、授業後の質問や メールでの質問でもかまいません。疑問に思ったら、そのままにせず、他の受講生と議論 したり一緒に質問にきたりして疑問を解消するようにしましょう。 【主な関連科目】 経済法Ⅰ :前期水曜3時限 経済法Ⅱ :後期月曜 2 時限 企業法務演習Ⅰ:前期火曜3時限 企業法務演習Ⅱ:後期火曜3時限
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