オーストラリアの投資環境(豪ドル為替編)

2015年12月3日
投資情報室
オーストラリアレポート
オーストラリアの投資環境(豪ドル為替編)
~ウエスタン・アセットによる見通し~
2015年11月、レッグ・メイソン・グループの運用子会社であるウエスタン・アセットのオーストラリア拠点
で債券運用チームを率いるアンソニー・カーカム氏が来日しました。そこで、オーストラリア債券の投資環
境についてインタビューを行いましたのでご紹介します。
今回のテーマは「オーストラリアの投資環境 (豪ドル為替編)」です。
オーストラリア拠点運用責任者
アンソニー・カーカム氏
年初来の豪ドル為替相場の動向
2015年の豪ドルの対米ドル相場は、原油や鉄鉱石等の商品
価格の下落の影響を受け、「オーストラリア=資源国」のイメー
ジから、他の資源国通貨が下落したのと同様に豪ドル安となりま
した。米国の利上げ観測も豪ドルを含めた世界の通貨に対する
米ドル高の要因となり、一時は1豪ドル=0.69米ドル台と年初来
15%以上の下落となりました(図1)。
しかし、豪州では資源から非資源への経済転換が進んでおり、
低金利や通貨安による恩恵が、個人消費や住宅、観光などの
内需産業に広がっています。堅調な雇用環境や小売売上高の
推移などから豪州経済の底堅さが確認されるに連れて(図2)、
豪ドルの見直し買いも進み、足元では1豪ドル=0.72米ドル前
後で安定した推移が続いています。
米国の利上げについては、市場では年内の利上げをほぼ織り込
んでおり、今後の利上げのペースについても慎重でゆるやかである
ことが予想されています。
ウエスタン・アセットでは、上記に加えて、豪州経済が回復傾向
にあることから2016年の豪州の政策金利の据え置きを予想して
おり、今後の豪ドルの対米ドル相場は、底堅く推移すると予測して
います。
豪ドルの対円相場の見通し
豪州の実質GDP成長率は、2015年は2.4%、2016年には2.9%
と予想されており、日本との相対的な経済成長率の差は、引き
続き対円での豪ドル相場を支える要因と考えられます(表1)。
2016年以降もゼロ金利政策および量的緩和の継続が見込ま
れる日本との金利差も考慮すると、豪ドルの対円相場は、対米ド
ルと比較してより一層底堅く推移することが期待されます。
足元では、対円の豪ドル相場は1豪ドル=88円前後で安定し
た推移が続いており、ウエスタン・アセットでは、今後は1豪ドル=
90円台の回復を目指した展開となる可能性も視野に入れてい
ます。
(米ドル)
0.90
対円レート(左軸)
0.85
95
0.80
90
88.35
0.75
85
豪ドル高
対米ドルレート(右軸)
80
0.72
0.70
豪ドル安
75
2014/12
2015/2
2015/4
2015/6
2015/8
0.65
2015/10 (年/月)
(出所)ブルームバーグ、2014年12月末~2015年11月27日
豪ドルの対米ドル相場の見通し
9月には、実業家としての経験が豊富なターンブル氏が新首相
に就任しました。経済改革を推進するとした新首相への交代は、
経済界・消費者から歓迎されており、市場心理の回復にもつな
がっています。
図1: 豪ドル相場の推移
(円)
100
図2: 豪州の小売売上高と雇用者数の推移
(万人)
1,400
200
小売売上高(右軸)
1,200
150
1,000
100
雇用者数(左軸)
800
50
2002/1 2004/1 2006/1 2008/1 2010/1 2012/1 2014/1 (年/月)
(出所)ブルームバーグ、2002年1月~2015年10月
※小売売上高は、2002年1月を100として指数化、2015年9月まで
表1: 日豪の実質GDP成長率および利回りの比較
実質GDP成長率予測
(IMF)
10年国債
利回り
2015年
2016年
2017年
豪州
2.4%
2.9%
3.1%
2.84%
日本
0.6%
1.0%
0.5%
0.31%
(出所)ファクトセット、ブルームバーグ、2015年11月27日時点
※実質GDP成長率は、2015年10月のIMF発表値(小数点第2位以
下を四捨五入)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア
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〈審査確認番号H27-TB140)