短期予報解説資料1 2015年12月26日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①輪島上空500hPaでも平年より低い寒 気が観測され始めたが、北日本中心に 冬型気圧配置となっている。日本海中 部を東進中の低気圧の東側となり、今 朝にかけて寒気の吹き出しはいったん 弱まり、降雪も小康となった。 ②寒気を伴うトラフが中国東北区にあ り、深まりながら南東進。その前面に あたる日本海ではその正渦の影響で低 気圧が発達しながら東進中。低気圧の 北東側で層状雲が拡大中、南西側では 西風の強まりに伴って東西走向の筋状 雲の範囲が拡大、西日本・東日本の沿 岸でも強風を観測し始めているほか、 低気圧の南にある西風先端域の対流雲では連続的に発雷を検知し、東北地方を指向している。 ③ミャンマーから華南に進んできた長波のトラフ。 その前面では北緯 30 度の大陸東岸まで雲域が拡大。 南シナ海から華南沿岸にかけて暖気移流が強まってきている。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②のトラフが 27 日の日中にかけて北日本を通過、地上では、低気圧が発達しながら 26 日夜にか けて北日本を、寒冷前線が 27 日朝にかけて本州を通過し、本州付近は、27 日にかけて北日本を中心に 冬型の気圧配置が強まる。27 日は、500hPa では北日本に-30℃以下(北海道はトラフ通過時-40℃以下) の寒気が、850hPa では北日本や北陸地方に-9℃以下(北海道には-18℃)の寒気が流れ込む。このため、 27 日にかけて北日本の日本海側を中心に雪を伴った非常に強い風が吹き、大雪となる所がある。暴風、 猛ふぶきや大雪による交通障害に警戒し、積雪の多くなる傾斜地ではなだれに、電線や樹木への着雪 に注意。北日本から西日本では強風や高波に注意。また、北日本と北陸では低気圧やトラフ通過時の 日本海側を中心に大気の状態が不安定。落雷や突風に注意。 ②1 項③のトラフは 28 日に東シナ海に進んでくる。南西諸島では 27 日にかけてトラフ前面の降水を伴 う雲域が次第に厚みをもちながらかかる。沖縄の南では気圧の谷が 28 日にかけて形成され、850hPa 相 当温位 330K 前後の下層暖湿気が北上するため、対流雲が発達する可能性もあり動向に留意。高気圧の 北からの張り出しが加わり気圧の傾きが大きくなるため、沖縄地方では 28 日にかけて高波に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM 基本。降水・風予想は MSM も参考。②波浪:風速予想に応じてモデルを上方修正。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雪ポテンシャル(18 時からの 24 時間):北海道・東北 60、北陸 40、その他の東日本山地 30cm、西 日本山地 20cm。②波浪(明日まで):東北 6、北海道・北陸 5、伊豆諸島・東海・近畿・山陰 3m。 ③潮位(明日まで):大潮の時期。広い範囲で注意報級の地域がある。 5.全般気象情報発表の有無 「暴風雪と大雪に関する全般気象情報」を 17 時頃発表予定。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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