短期予報解説資料1 ２０１６年２月２０日１５時４０分発表気象庁予報部１．実況上の着目点 ①水蒸気画像で華中東岸の明瞭な暗域（500hPa･5520m 付近のトラフ対応）がバウンダリの曲率を増しながら東南東進しトラフの深まりを示唆。前面で上層雲のバルジが対馬海峡付近から日本海で北へ盛り上がりを示している。 ②低気圧に伴う活発な雲域が四国沖から西日本にかかる。20 日 9 時高層では、南大東島で、850hPa･θe330K を観測。日本の南海上から低気圧に向かう下層雲の流れ込みが明瞭で下層暖湿気の流入が強まっている。四国で 30mm/h 前後の激しい雨を観測。四国付近で発雷・メソサイクロンを検知。四国や近畿で竜巻注意情報を発表。 ③②項の低気圧周辺では気圧の傾きが大きくなっており、西日本や南西諸島ではアメダスで 15m/s 前後の風が吹いている。２．主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①21 日にかけて、500hPa 5700ｍ付近のトラフと 1 項①のトラフが位相を合わせ南北に連なって深まり日本付近を進む。低気圧は急速に発達しながら北東進し、20 日夜には東海地方で最大風速 50kt[SW]級に発達する見込み。西日本から東日本、北日本の太平洋側を中心に、21 日にかけて暴風や強風、高波に警戒・注意。 ②低気圧の南側には 850hPa で 80kt 以上の風により暖湿気塊が流入する。低気圧や前線付近を中心に大気の状態が不安定となる。短時間強雨、大雨、落雷、竜巻などの激しい突風に注意・警戒。また、 850hPa では、低気圧や前線よりも北側にシアーライン（0℃付近）が形成され、北日本まで 0℃以上の暖気が流入する。積雪地域では雪解けが進みなだれのおそれが高まる。大雨や融雪による土砂災害、河川の増水、低い土地の浸水、なだれにも注意。 ③低気圧の動きは速く 21 日朝には北海道の東まで進み、日本付近は次第に冬型の気圧配置となる。北・東日本を中心に強風、風雪、高波に注意。低気圧が接近する北海道では、大雪となる所もある見込み。暴風雪や大雪に警戒、高潮にも注意。３．数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とする。降水や風の予想は MSM も参考にする。４．防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨・大雪ポテンシャル(18 からの 24 時間)：[雨]東海 200、関東甲信 120、伊豆諸島 100mm。2 項の短時間強雨に留意。積雪地域では、降水量に融雪による水量が加わることに留意。[雪]北海道 50cm。 ②波浪(明日まで)：関東 7、東北・伊豆諸島 6、北海道・東海・近畿 5、その他 3～4m。５．全般気象情報発表の有無「暴風と高波及び大雨に関する全般気象情報」を 17 時頃発表予定。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。