短期予報解説資料1 2016年10月30日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①大陸の高気圧が、 それぞれ日本 海、 黄海に中心を移し日本付近を 覆っており、冬型の気圧配置は 西・東日本の日本海側から緩み始 めている。一方、北海道を中心と した北日本では、 海峡や岬を中心 にアメダスで 15m/s 程度の強い 風が吹いており、 沿岸の波浪計で は 2.5m 前後の高波を観測。 また、 北海道では、3 時間に数 cm の降 雪となっている所がある。 ②衛星水蒸気画像では、 アムール 川上流に 500hPa・5220~5340m付 近のトラフがあって、 ゆっくりと 南東進。30 日 9 時には、周辺域で 500hPa・-39℃以下の寒気を観測している。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②のトラフは、30 日夜に中国東北区、31 日朝には沿海州に達し、同日日中北日本を通過する。 このトラフに対応して、前線を伴った低気圧が発達しながら日本海を東進し、31 日朝には 35KT[GW] 級の風を伴い同日午後にかけて北海道付近を通過する。このため、30 日夜には、高気圧に覆われる東 北地方を中心に北日本でも一旦風は弱まるが、低気圧が接近する 31 日は再び風が強まる見込み。北日 本や気圧の傾きが大きい伊豆諸島、南西諸島では、31 日にかけて強風や高波に注意。 ②2 項①の低気圧や前線に向かって 850hPa・θe300K 以上の暖湿気が流れ込むため、低気圧や前線近傍 を中心に大気の状態が不安定となる。落雷、突風、短時間強雨、局地的な降雪の強まりに注意。前線 はおおむね 850hPa・0~-3℃に対応しており、低気圧や前線通過後は、北海道上空に 29 日と同程度の 850hPa・-9℃以下の寒気が流れ込むため、山沿いや内陸を中心に降雪量が多くなるおそれがある。 ③寒気移流がさらに強まる 11 月 1 日は、朝鮮半島沖から能登半島付近にかけて北西風と北東風の収束 線(地上シアーライン)が形成され降水域が拡大。下層の気温場から全般に雨となる見込みだが、北 日本から東日本の日本海側ではこの影響を受ける所がある。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ① 総観場は最新 GSM を基本とする。雨や雪、風の分布や強度は MSM も参考にする。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨・大雪ポテンシャル(18 時からの 24 時間): [雨]高い所(100 ㎜以上)はないが、2 項の短時間 強雨に注意。 [雪]北海道 30cm。 ②波浪(明日まで) :北海道・沖縄・伊豆諸島 4、東北・関東・東海・奄美 3m。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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