メキシコ・ペソの安定化に向け、 財政・金融面での協調策を発表

楽読
(ラクヨミ)
2016年2月18日
Vol.
1,067
メキシコ・ペソの安定化に向け、
財政・金融面での協調策を発表
メキシコでは2月17日、歳出削減策および緊急利上げ(3.25%→3.75%)、さらに、通貨安定に向け、必要と
判断された場合に中央銀行が直接、為替市場に介入することが財務省と中央銀行から発表されました。同国
では通貨ペソの軟調が続き、先週11日には対米ドルで1990年代に変動相場制に移行して以来の安値を更新
したばかりでしたが、今回の協調行動を受け、ペソは17日に前日比2.8%の上昇となりました。
歳出削減は、原油価格の下落に伴なう今年の歳入減を見越したもので、その規模はGDP比0.7%となってい
ます。利上げは、米国の利上げに追随して行なわれた昨年12月に続いてのことです。中央銀行は今回の利上
げについて、原油市況などの外部要因を主な背景にペソの軟調が続き、物価見通しが大きく上振れする可能
性が高まったことを理由に挙げたほか、利上げ局面入りを意味するものではないと説明しています。そして、物
価に影響する為替動向などのほか、米国の金融政策の動向を今後も注視するとしています。年内の米追加利
上げの可能性は低いとの見方が市場で拡がっていることを踏まえると、メキシコの追随利上げの可能性も低
いと考えられます。しかし、何らかの理由で米ドル高・ペソ安が進み、メキシコの物価目標(3%±1%)の達成
や金融面の安定性が脅かされるような場合には、追加利上げの可能性が高まるとみられます。
メキシコは、新興国の中でも安定感のある経済・政治状況に加え、先進国に比べて高い利回り水準などから、
中長期投資の点で魅力的な新興国の一つと考えられます。また、通貨安定への強い意志を示すこととなった
今回の協調行動は、当局の政策運営に対する市場の信頼感の向上につながるという点で、ペソにとって大き
なプラス要因と考えられます。ただし、流動性の高さなどから、新興国通貨安が見込まれる際などにペソが
ヘッジ売りに用いられ易いことなどを考えると、ペソの安定化や上昇には、原油価格の持ち直し・上昇や新興
国全般に対する不安心理の低下・解消など、外部要因の改善も欠かせないと考えられます。
メキシコの金利、物価、為替の推移
8
主要新興国通貨の騰落率(対米ドル)
(2009年1月~2016年2月*)
(%)
(2016年2月17日時点)
トルコ・
4
ブラジル・ 南アフリカ・ ロシア・
レアル
ランド
ルーブル
政策金利(左軸)
7
消費者物価指数(前年同月比、左軸)
6
5
5
8
0
10
(ペソ)
12 ペ
ソ
14 高
4
3
2
1
6
16
メキシコ・ペソ
(対米ドル、右軸)
18
*物価は2016年1月までのデータ
金利、為替は月末時点(ただし、2016年2月は17日時点)
0
09年
10年
11年
12年
13年
14年
15年
ペ
ソ
20 安
16年
(%)
リラ
メキシコ・
ペソ
-5
-10
-15
-20
-25
-30
14年末以降
15年末以降
-35
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
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