(トルコの金利引き下げについて)

情報提供資料
トルコの金利引き下げについて
2016年5月25日
トルコ中央銀行は5月24日(現地時間)、金融政策会合を開催し3本の政策金利のうち、上限金利となっている翌日物
貸出金利を0.50%引き下げ9.50%とすることを決めました。中心レートである1週間物レポレートは7.50%、下限金利であ
る翌日物借入金利は7.25%にそれぞれ据え置かれました。市場では大胆な金利の引き下げが行われるとの予想もあっ
たため、今回の決定を受けて為替レートは上昇しています。
※トルコ中央銀行は、政策金利である1週間物レポレートのほか、コリドー(上限金利である翌日物貸出金利および下限金利である翌日物借入金利)と
呼ばれる複数の金利の操作を行っています。
《利下げの背景について》
《トルコの政策金利の推移》
足元のインフレ率が落ち着きをみせていることや、世界 (%)
的な金利低下の流れが継続していることが挙げられます。 14
また貸出金利とレポレートとのかい離があり、この点で引
き締め政策を維持しつつも同中銀は引き下げ余地がある 12
と判断したとみています。さらには貸出金利の低下により
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消費や投資を刺激し、景気回復を下支えたいとの政府側
からの要望への配慮もあったと思われます。
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《今後の見通しについて》
翌日物貸出金利
1週間物レポレート
6
トルコ・リラは5月に入り主要通貨に対し急落しています。 4
翌日物貸出金利:
翌日物借入金利
現大統領は、国内政策で意見の対立があったとされる首
今回9.50%
2
相を事実上更迭し、強権姿勢を強めています。金融市場
(期間 2011年1月1日 ~ 2016年5月24日)
では大統領の金融政策への関与が強まることが嫌気され、 0
金利は上昇し、トルコ・リラは急落しました。また、後任の 11/1
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16/1
(年/ 月)
首相に自身の側近を据えたこともあり懸念が広がってい
出所 : Bloombergより明治安田アセットマネジメント作成
ます。
景気については良好な状況が続いています。企業部門
では3月の鉱工業生産が前年比でプラスとなり、そのペー
《トルコ・リラの対円推移》
スは縮小しましたが増加基調にあります。生産者の景況
判断も上向きとなっています。家計部門では個人消費は (円)
トルコ・
堅調で消費者心理は引き続き上向いていることに加え、
リラ高
70
インフレ率も収まっています。ただ、同中銀が注目する食
品・エネルギーなどを除いたコア・インフレ率は目立った
改善がみられず、今後は2月以降堅調に推移している原 60
油価格の影響が注視されます。また失業率の高止まりも
50
気がかりです。
国際収支について3月は改善一服となっていますが、顕
著な落ち込みはみられていません。今後はテロ事件の影 40
響で外貨、観光収入の減少が予想されます。一方、内政
(期間 2011年1月3日 ~ 2016年5月24日)
面では現在シリア難民やクルド族の問題など課題の進展
トルコ・
30
リラ安
はみられていません。これらによる経済への影響が顕在 11/1
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16/1
(年/ 月)
化することも考えられます。
出所 : Bloombergより明治安田アセットマネジメント作成
大統領の金融政策への関与がさらに強まることも予想
されるため、トルコ・リラは軟調に推移するとみています。
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