PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境 No.846*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
2015年の金融政策~先進国の利上げ、新興国では利下げが焦点
2014年12月29日作成
米国の中央銀行にあたるFRBが去る16日から17日にか
《2015年のFOMC開催日程》
けて開いたFOMCでは、声明文に「金融政策の正常化の
開催日
議長会見
開始には忍耐強くなれる(can be patient)」という文言
1/27~28
無し
3/17~18
有り
を加えることで、「資産買入の終了を受けた後も相当程
4/28~29
無し
度の期間( considerable time)にわたって現在のFF金利
6/16~17
有り
を維持することが適切である」という記述を実質的に削
7/28~29
無し
除、来年の利上げに向けた地ならしを一歩進めたと考え
9/16~17
有り
られる。また、FOMC終了後に開かれた会見でFRBのイエ
10/27~28
無し
レン議長は「忍耐強く」という表現について、「少なく
12/15~16
有り
とも今後2回の会合(つまり、来年1月27~27日及び3月
17~18日のFOMC)において(at least the next couple of meetings)金融政策の正常化を
開始しない」ことを意味すると述べたが、裏を返すと、それ以降のFOMCでは金融政策の
正常化、その手始めとしてのFF金利の引き上げが開始される可能性があることになる。
実際には3月の次のFOMC(4月28~29日)ではイエレン議長の会見が行われないため、
大幅な政策変更は行いにくいという前提で、6月16日から17日にかけて開かれるFOMCで
の利上げ開始が市場のメインシナリオとなっているが、いずれにせよ2015年のグローバ
ル金融市場における金融政策面での最大の注目点がFRBの利上げ開始時期であることに変
わりはない。
《主要先進国の政策金利》
米国
0.25%
FRBの利上げは、基本的には為替市場での米ドル押し上
ユーロ圏
0.05%
げ要因になるが、為替には相手方が存在する。つまり、
英国
0.5%
通貨米ドルの動きはFRBの政策だけで決まるのではなく、
カナダ
1.0%
相手方となる国の中央銀行の政策も重要なポイントにな
オーストラリア
2.5%
る。具体的には、主な先進国や地域の中央銀行の政策金
ニュージーランド
3.5%
利は右記の通りであり(日本では昨年4月の異次元緩和導
※日本
0.1%
入以降は、金利を金融政策調節の手段としていないため、
厳密な意味での政策金利は存在しない)、2014年の3月から7月にかけて、4会合連続で
累計100ベーシスの利上げを実施したニュージーランドを除くほとんどの国の中央銀行
は政策金利を長期間低水準で据え置いている。利上げなど到底考えられる環境にない
と思われるECBと日銀を除いて、各国中央銀行の次の金利変更は利上げになる公算が
が高いとみられるが、2015年中に利
上げが実施される可能性がある程度高
いのは英国で、毎月開催される金融政
策会合で、8月以降9名の委員のうち2
名が一貫して利上げを主張しているほ
か、ニュージーランドでも、12月11
日に開催された準銀理事会の声明文で
「さらにいくらかの政策金利の引き上
げが必要になるだろう」と述べ、「利
上げ」という文言が復活したことによ
り、一旦後退していた追加利上げ観測
が多少息を吹き返している。英中銀や
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最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。
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ニュージーランド準銀がFRBよりも早い時期に利上げに踏み切れば、英ポンドやニュー
ジーランドドルが米ドルに対して上昇する要因になるが、利上げの開始あるいは再開の
時期はFRB以上に読みにくく、今後開催される政策会合の声明文や議事録から、利上げ
時期に関する両中銀の考えをいかに読み取るかがポイントになる。
また、オーストラリア準銀は
2013年8月に最後の利下げを実施
して以降、政策金利を2.5%で据え
置いているが、これまで一貫して
政策金利近辺で推移していた1年国
債利回りが12月に入って低下、市
場の一部では利下げ観測も浮上し
ている。髙木証券では、利下げの
可能性は低いとみているが、一方
で2015年中の利上げも現時点では
想定しにくいと考えており、豪準
銀の次の金利変更の方向とその時
期については、一貫して「最も賢明な道は、金利を当分の
間安定させることである」と述べている準銀理事会の声明
文の表現の変化から読み取る必要があろう。
このように、先進国・地域では2015年の金融政策の注
目点は、FRBを軸にして、どの国がどのタイミングで利上
げに踏み切るかに集約されるが、新興国では様相が異なる。
2014年の新興国ではいくつかの中銀が利上げを実施、11
月21日に2年4ヶ月ぶりに利下げを実施した中国はむしろ
例外的な存在ともいえ、利上げの打ち止めや利下げへの転換が、 2015年の新興国の金
融政策における注目点になろう。
新興国の中で、2014年に最もドラスティックな利上げを実施したのはロシアであり、
ウクライナ問題に起因する欧米による制裁に伴う物資の不足によるインフレが通貨安に
つながり、通貨安がインフレを加速させるというスパイラルを止めるべく、具体的には、
インフレ率が政策金利を上回り、実質金利がマイナスとなって資本流出が加速すること
を回避するために、3月以降断続的
に政策金利を引き上げてきたロシア
中銀は、12月15日には原油安を背
景にした通貨ルーブルの急落を受け
て緊急利上げを実施、この間の利上
げ幅は累計で1,150ベーシスに達す
る。ロシアに関してはこれまでの利
上げ幅が大きかっただけに、通貨安
に歯止めがかかり、インフレのピー
クアウトが確認されれば、プラスの
実質金利を維持できる水準(つまり、
インフレ率を多少上回る水準)まで
政策金利が引き下げられる可能性も
あろう。
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また、ブラジル中銀も途中中断をはさみながらも利上げを継続し、最初の利上げを
実施した2013年4月からの累計の利上げ幅は450ベーシスに達している。経済制裁とい
う特殊な事情が存在するロシアほどではないものの、ブラジルでもかなりの通貨安と
インフレのスパイラルが観察され、中銀は景気への悪影響を承知の上で利上げを実施
してきた。11月のインフレ率は+6.56%で6ヶ月続けて中銀のターゲットの上限を上
回っているが、50ベーシスの利上げを
実施した直近(12月2日~3日)の金
融政策委員会の声明文では「現時点で
は政策金利を0.5%引き上げ政策金利
を11.75%とすることをバイアスなし
で決定したが、金融政策の累積的かつ
遅効的な効果やその他の要因を考慮す
ると、追加の金融緩和の取組みは、慎
重さをもってなされるべきだ」と述べ
ており、近い将来にインフレ圧力が和
らげば、利上げを再休止または利上げ
幅を縮小をすることを示唆しているよ
うにも受け取れる。
また、2015年に利下げが検討される可能性が高い新興国の筆頭はインドだろう。イン
ドではラジャン総裁が就任した2013年9月から2014年初めにかけて、政策金利を75ベー
シス引き上げた後8.0%で据え置いているが、利上げの途上にあった昨年11月に+11.16%
でピークを付けたCPIは、今年の11月には+4.38%まで低下、2012年の算出開始以来の最
低となっており、金融緩和余地が生まれている。また、トルコでは2014年1月28日に政
策金利を4.5%から10.0%に引き上げた後、5月から7月にかけて利下げを行い、現在
8.25%としているが、原油価格の下落を受けて中銀のインフレ見通しが改善しているた
め、一部では利下げ再開の可能性が指摘されているほか、中国でも緩やかな成長鈍化が
続く中で、11月のCPIは2009年11月以来の低い伸びとなる+1.4%まで低下しており追加
利下げの余地があろう。
ところで、インドでは現在景気の拡大局面にあり、景気刺激の観点からの利下げの必
要性は高くないものの、同国のとって長年の懸案であったインフレの沈静化を背景にし
た利下げは「良い利下げ」と判断されるほか、トルコでもインフレの鈍化により追加利
下げが可能になれば、現在踊り場にある景気に対する刺激になろう。しかし、FRBの利上
げというもともと新興国通貨に対する売り要因となるイベントが想定される環境下での
利下げは、通貨安圧力をより高めるリスクがあり、とりわけ、トルコでは過去にも中銀
の安易な金融緩和が通貨の下落を招いたケースもあるため、利下げに踏み切る場合には、
慎重なうえにも慎重な判断が求められよう。
(文責:勇崎 聡)
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