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*グローバル投資環境
米国FOMC(7/28~29)議事録~
No.1100 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
利上げに向けた環境は達成されてい
ないが、ポイントは近づいている
2015年8月20日作成
米国の中央銀行にあたるFRBは19日、7月28日から29日にかけて開いた連邦公開市場委
員会(FOMC)の議事録を公表した。当該FOMCでは、会合直後に公表された声明文や経済
見通し段階でのポイントは以下の通りであった。
政策金利であるFFレートの誘導目標を0~0.25%で据え置き。
声明文における景気全般に対する判断は「経済活動は緩やかに拡大した」で前回(6月
16~17日)FOMCの声明文から変化はないが、労働市場については、「さらに改善した」
との見方を示した上で、雇用の質に関しては前回の「活用されていない労働力が幾分減少
した」という表現から「幾分(somewhat)」を削除したほか、住宅市場についても前回の
「多少の改善(some improvement)をみせた」を「一段の改善(additional improvement)
をみせた」へ上方修正。
インフレの現状に関する見方は変わらないが、前回FOMCの声明文にあった「エネル
ギー価格は安定しつつあるようにみえる」という一文を削除。
フォワードガイダンスについても前々回、前回のものを踏襲したが、利上げが適切にな
る条件について述べた部分のうち、労働市場に関しては「さらなる多少の改善(some
further improvement)」と記述、過去2会合の声明文における「さらなる(further
improvement)」に「多少の(some)」という一語を追加。
議事録によると、「ほとんどの
参加者が利上げのための環境は未
だに達成されていないという考え
で合意した」という判断は前回
FOMCの議事録から変わっていな
いものの、「彼らはそのポイント
が近づいていることを表明した」
との記述が追加された。そして、
その背景としては、「多くの参加
者が、持続的な経済成長見通しと
労働市場の一段の改善が、インフ
レが2%の目標に回帰するという
予想をサポートする鍵であること
を表明した」ことを挙げている。
また、「多くのメンバーが「労働
市場の弛みには多少の追加改善余
地がある」としている点は前回と
同様だが、「現在の労働市場の状
況が完全雇用またはそれに近づい
ている」と判断しているメンバー
の人数は、前回議事録の「2人
(a couple of)」から「複数
(several)」に増えていること
も、声明文における雇用に関する
【直近2会合の声明文の要点比較】
《経済の現状認識》
6/16~17
今回
第1四半期にほぼ横這い状態だったあと、
全般
ここ数ヶ月の経済活動は緩やかに拡大した
経済活動は緩やかに拡大した
雇用の増加ペースはピックアップするととも
労働市場は改善を続け失業率は低下した。
に失業率は安定している。活用されていな
労働市場
活用されていない労働力が今年の初め以
い労働力が幾分減少したことを幅広い指標
降減少したことを幅広い指標が示している
が示している
家計消費
家計消費の伸びは緩やかになった
家計消費の伸びは緩やかになった
設備投資
軟調にとどまっている
軟調にとどまっている
住宅市場
多少の改善をみせた
一段の改善をみせた
輸出
軟調にとどまっている
軟調にとどまっている
早い時期のエネルギー価格の下落と非エネ
早い時期のエネルギー価格の下落と非エネ
ルギーの輸入価格の値下がりを一部反映し
ルギーの輸入価格の値下がりを一致部反
て我々の長期目標を引き続き下回って推
映して我々の長期目標を引き続き下回って
インフレ
移した。エネルギー価格は安定しつつある
推移した。市場ベースのインフレ指標は引
ようにみえる。市場ベースのインフレ指標は
き続き低いが、調査に基づく長期の期待イ
引き続き低いが、調査に基づく長期の期待
ンフレはなお安定している
インフレはなお安定している
《景気と物価の先行き》
6/16~17
今回
適切な緩和政策により、経済活動は緩やか 適切な緩和政策により、経済活動は緩やか
なペースで拡大するとともに、労働市場関 なペースで拡大するとともに、労働市場関
景気
連の指標は引き続き我々の責務に一致す 連の指標は引き続き我々の責務に一致す
る方向に向かうだろう。
る方向に向かうだろう。
インフレは短期的には現在の低水準近辺 インフレは短期的には現在の低水準近辺
が見込まれるが、労働市場のさらなる改善 が見込まれるが、労働市場のさらなる改善
とエネルギー価格及び輸入価格下落の一 とエネルギー価格及び輸入価格下落の一
物価
時的効果の消失により、インフレは徐々に 時的効果の消失により、インフレは徐々に
2%に向けて上昇するだろう。我々はインフ 2%に向けて上昇するだろう。我々はインフ
レの動向を引き続き注視する。
レの動向を引き続き注視する。
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最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。
髙木証券投資情報部
ご参考資料
表現が前向きな方向に変化した背景にあると思われる。 《フォワードガイダンス》
0~0.25%という現在のFF金利のレンジが
なお適切であることを再確認する。どの程
度の期間、このレンジを維持するかを決定
する際には、雇用の最大化と2%のインフレ
に向けた進展を、現実と予想の双方につい
て再評価する。評価に際しては、労働環境
に関する指標やインフレ圧力とインフレ期
待、金融情勢と国際情勢の変化を含む幅広
い情報に注意を払う。我々は、労働市場の
さらなる多少の改善とインフレが中期的に
2%の目標に向かうことに対する合理的な
確信が得られれば、FF金利の目標レンジの
引き上げが適切になると考えている。
なお、中国については、「最近の株価の下落が中国
の経済見通しに与える影響は限定的だ」と述べている
が、「複数の参加者は、中国経済の本質的なスローダ
ウンが米国経済の見通しにとってのリスクになり得る
と考えている」ことを指摘している。
ちなみに、FOMC以降複数のFRB関係者が
金融政策に関して発言しているが、どちら
かといえば9月のFOMCでの利上げを容認す
《FOMC以降になされた関係者の主な発言》
要旨
るものが目立つようだ。また、8月7日に発 日付 発言者
9月利上げに向けて状況は良好だ。GDP統計は近い将来の利上げシ
表された7月の雇用統計は、「さらなる多
セントルイス連銀
7月31日
ナリオを後押しし、見通しに対する懸念を払拭した。25ベーシスの利
ブラード総裁
少の改善」を示唆しているとみられるため、
上げは経済にとって大したことではない
9月4日に発表される8月の雇用統計でも同
私は9月の次回会合での利上げを支持する。9月以降への利上げの
アトランタ連銀
8月4日
先延ばしを私が納得するためには経済データが顕著に悪化する必要
様の傾向が継続すれば、9月15~16日に開
ロックハート総裁
がある。
催される次回のFOMCでの利上げの公算が高
利上げのタイミングが近づいている。FOMCが私の考えるところの歴
アトランタ連銀
まると思われる。
8月10日
史的決定に近づく中、私は経済 データの示唆する内容が一様に同じ
ところで、6月16~17日に開かれた前回
FOMC時に示された17人の参加者(但し、投
票権を有するのはこの内の10名である)の
2015年末のFF金利見通しの中央値は
0.625%であり、このことは「25ベーシス
の利上げが年内2回で、初回の利上げは9
月」がFOMC参加者の平均的な考え方である
ことを示していると思われるが、もちろん
既定路線ではない。年内に利上げが行われ
る可能性は高いものの、その回数と初回利
上げの時期は経済指標次第であるが、利上
げが年1回であったとしても、それは初回
の利上げが12月であることを意味するもの
ではなく、9月に利上げを行った上で年内
の追加利上げを見送るという選択肢もあろ
う。9月のFOMCで利上げが実施された場合、
その後の利上げペースを見通す上では、
(利上げが見送られた場合でも同様だが)
声明文と同時に公表される金利見通しが注
目されよう。
(文責:勇崎 聡)
ロックハート総裁
8月10日
NY連銀
ダドリー総裁
8月12日
NY連銀
ダドリー総裁
方向を向くとは見込んでいないし、そうである必要はない
米国での低インフレは、一時的な要因が影響している可能性が高い
が、完全雇用が近づく中で、なお懸念すべき要因である。現在のイン
フレの大部分は一時的なものであり、原油その他資源の低価格に伴
う影響が消失した後はいずれ状況は安定するとみられるため、今の
低水準が永遠に続くことはない
近い将来に(in the near future)利上げが可能になることを期待して
いる。正確な時期はデータ次第だ
《雇用統計主要計数》
5月
非農業部門雇用者数変化(千人)
平均時給($)
平均時給前月比(%)
平均時給前年同月比(%)
労働参加率(%)
失業率(%)
6月
7月
260
231
215
24.95 24.94 24.99
0.2
0.0
0.2
2.3
2.0
2.1
62.9 62.6 62.6
5.5
5.3
5.3
《年内のFOMC開催日程》
開催日 議長会見
9/16~17 有り
10/27~28 無し
12/15~16 有り
FOMC参加者の金利見通し(6/17発表)
(出所:FRB、米国労働省、Bloombergのデータより髙木証券作成)
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株式や債券を投資対象としているため、基準価額は組み入れた株式や債券の動き、為替相場の変動等の影響により上下しますので、これにより投資元本を割り
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