*グローバル投資環境 米国FOMC速報~ No.1487 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 「FF金利引き上げの論拠は引き続き強まったと判 断している」が、7会合連続で利上げ見送り 2016年11月4日作成 米国の中央銀行にあたるFRBは11月1日から2日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催、 政策金利であるFFレートの誘導目標を0.25~0.50%で据え置いた。FRBは、昨年12月15日から16 日にかけて開いたFOMCで25ベーシスの利上げを実施、2008年12月16日のFOMC以来継続してい た実質ゼロ金利政策を解除した後、7会合続けて利上げを見送ったことになる。なお、9月20~ 21日に開かれた前回のFOMCでは、投票権を有する10名のメンバーのうち、カンザスシティー連 銀のジョージ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁の 都合3名が25ベーシスの利上げを主張したが、今回はローゼングレン総裁が金利据え置きという 多数意見に戻り、ジョージ総裁とメスター総裁は引き続き25ベーシスの利上げを主張した。 先月28日に発表された第3四半期GDPの速報値は、第2四半期の前期比年率1.4%増から2.9%増 に加速したが、景気の現状に関する声明文の表現は、「今年の上期にみられた控えめなペースか ら上向いた」であり、前回FOMCの声明文から変化はない。その中で、第2四半期の前期比年率 4.3%増から2.1%増に鈍化した家計消費に関する認識は、「力強く成長した」から「緩やかに増 加した」に引き下げられた。 インフレについて声明文は、「2%という我々の長期目標を引き続き下回って推移した」とい う従来の表現に、「今年の早い時期以降いくらか上昇した」ことを書き加えた。また、インフレ の先行きについても、前回までの声明文にあった「短期的には低位にとどまるとみられるが」と いう一節を削除した上で、「中期的に2%に向けて上昇するだろう」という従来の見方を維持し ている。 ところで、前回のFOMCでは、声明文に「FF金利引き上げの論拠は強まったと判断している」こ とを明記した上で利上げを見送り、その理由について、「当面は目標に向けてさらなる進展を続 けているというさらなる証拠を待つことにした」と述べていたが、髙木証券では、利上げに対す る市場の織り込み度合いが前回FOMC時点では低過ぎたことも、利上げ見送りの背景の一つではな いかと考えていた。その後の市場では利上げの織り込みが進んだものの、髙木証券では、今回の FOMCでは利上げ見送りを予想する一方、12月13~14日に開かれる次回のFOMCでの利上げの可能性 が声明文で示唆されるかどうかがポイントだと考えていたが、昨年12月のFOMCで実質ゼロ金利を 解除した際には、その直前(昨年10月)のFOMC声明文で「次回の会合でFF金利の目標レンジを引 き上げることが適切か否かを決定する際には」と述べていたのに対して、今回は、「FF金利引き 上げの論拠は強まった」に「引き続き」と書き加えたものの、前述のような文言は盛り込まず、 フォワードガイダンスも変更しなかったが、その背景としては、翌週に控えた大統領選挙の帰趨 についての不透明感が再燃する中、利上げの時期を特定することを避けた可能性があろう。 しかし、FRBが「FF金利引き上げの論拠は引き続き強まったと判断している」ことは、前述し た不透明感の中でも、金融政策の緩やかな正常化を目指すFRBの基本方針に変わりはないことを 示しており、声明文で示されたイン フレに対する認識の変化も、こうし た見方を裏付けよう。また、声明文 は労働市場について、「雇用の伸び は堅調だった」と述べているため、 本日(4日)発表される10月の雇用 統計が堅調を持続することを条件に、 選挙後の市場は年内の利上げ再開を 前提にした動きに戻るとみられ、12 月2日に発表される11月の雇用統計 が利上げに向けた最後のハードルに なると思われる。 1/2 最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。 髙木証券投資情報部 ご参考資料 【新旧声明文比較】 9/20~21 7月の会合以降に入手した情報は、経済活 動は今年の上期にみられた控えめなペース から上向いたことを示している 労働市場は引き続き強まった。ここ2~3ヶ月 の失業率はほとんど変わらなかったが、雇用 の伸びは平均すると堅調だった。 家計消費は力強く成長した 軟調だった 11/1~2 9月の会合以降に入手した情報は、経済活 景気の現状全般 動は今年の上期にみられた控えめなペース から上向いたことを示している 労働市場は引き続き強まった。ここ2~3ヶ月 労働市場 の失業率はほとんど変わらなかったが、雇用 の伸びは堅調だった。 家計消費 家計消費は緩やかに増加した 設備投資 引き続き軟調だった インフレは今年の早い時期以降いくらか上昇 以前のエネルギー価格の下落と非エネル したが、以前のエネルギー価格の下落と非エ ギーの輸入価格の値下がりを一部反映して ネルギーの輸入価格の値下がりを一部反映 2%という我々の長期目標を引き続き下回っ して我々の長期目標を引き続き下回って推 物価 て推移した。市場ベースのインフレ指標は引 移した。市場ベースのインフレ指標は上向い き続き低く、ほとんどの調査に基づく長期の たが引き続き低く、ほとんどの調査に基づく 期待インフレは結局のところここ数ヶ月余り 長期の期待インフレは結局のところここ数ヶ 変わっていない。 月余り変わっていない。 金融政策スタンスの緩やかな調整により、経 済活動は緩やかなペースで拡大するととも 金融政策スタンスの緩やかな調整により、経 に、労働市場関連の指標はいくらか強まるこ 済活動は緩やかなペースで拡大するととも とを見込んでいる。早い時期のエネルギー価 に、労働市場関連の指標はいくらか強まるこ 格の下落を一部反映してインフレは短期的 とを見込んでいる。過去のエネルギー価格及 には低位にとどまるとみられるが、過去のエ び輸入価格下落の一時的効果の消失と労働 景気と物価の先行き ネルギー価格及び輸入価格下落の一時的 市場のさらなる改善により、インフレは中期 効果の消失と労働市場のさらなる改善によ 的に2%に向けて上昇するだろう。経済見通 り、インフレは中期的に2%に向けて上昇す しに対する短期的なリスクは概ねバランスし るだろう。経済見通しに対する短期的なリス た。我々は引き続きインフレの動向とグロー クは概ねバランスした。我々は引き続きイン バル経済と金融の変化を注視する。 フレの動向とグローバル経済と金融の変化を 注視する。 これらを背景に、FF金利の目標レンジを0.25 ~0.50%で維持することを決定した。FF金利 引き上げの論拠は強まったと判断している が、当面は目標に向けて進展を続けているさ らなる証拠を待つことにした これらを背景に、FF金利の目標レンジを0.25 ~0.50%で維持することを決定した。FF金利 引き上げの論拠は引き続き強まったと判断し ているが、当面は目標に向けて進展を続け ているさらにいくつかの証拠を待つことにした FF金利のさらなる調整のタイミングと規模の 決定においては、雇用の最大化と2%のイン フレ目標に関連する経済情勢を、現実と予想 の双方について再評価する。評価に際して は、労働環境に関する指標やインフレ圧力と インフレ期待、金融情勢と国際情勢の変化を 含む幅広い情報に注意を払う。現在のインフ レが2%の目標を満たしていない観点から、 フォワードガイダンス 我々は、現実と期待のインフレ目標に向けた 進展を注意深くモニターする。経済情勢が極 めて緩やかなFF金利の引き上げに限って正 当化される形で改善され、FF金利はしばらく の間、長期的に有効とされる水準を下回って 推移するだろう。しかしながら、FF金利の実 際の道筋は今後のデータによる経済見通し に依存する。 FF金利のさらなる調整のタイミングと規模の 決定においては、雇用の最大化と2%のイン フレ目標に関連する経済情勢を、現実と予想 の双方について再評価する。評価に際して は、労働環境に関する指標やインフレ圧力と インフレ期待、金融情勢と国際情勢の変化を 含む幅広い情報に注意を払う。現在のインフ レが2%の目標を満たしていない観点から、 我々は、現実と期待のインフレ目標に向けた 進展を注意深くモニターする。経済情勢が極 めて緩やかなFF金利の引き上げに限って正 当化される形で改善され、FF金利はしばらく の間、長期的に有効とされる水準を下回って 推移するだろう。しかしながら、FF金利の実 際の道筋は今後のデータによる経済見通し に依存する。 決定した政策等 (文責:勇崎 聡) (出所:FRB、Bloombergのデータより髙木証券作成) 2/2 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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