声明文は「ハト派」

*グローバル投資環境
No.1136 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
利上げ見送り。年内利上げの方向性に変化はな
米国FOMC速報~ いが、声明文は「ハト派」
2015年9月18日作成
米国の中央銀行にあたるFRBは16日から17日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を
開催、政策金利であるFFレートの誘導目標を0~0.25%で据え置いた。なお、リッチモン
ド連銀のラッカー総裁は25ベーシスの利上げを主張して反対票を投じている。
声明文における景気全般に対する判断は、7月28~29日の前回会合の「ここ数ヶ月の
経済活動は緩やかに拡大した」に対して今回は「経済活動は緩やかなペースで拡大して
いる」であり、基本的な認識は変わっていない。雇用に関する表現は「労働市場は改善
を続け失業率は低下した。活用されていない労働力が今年の初め以降減少したことを幅
広い指標が示している」という表現は前回から変わらない一方、設備投資に関する判断
は前回の「軟調にとどまっている」から「緩やかに増加した」へ引き上げられた。
一方、インフレの現状については、市場ベースのインフレ指標は「引き続き低い」か
ら「低下した」に引き下げられた一方、「調査ベースの長期の期待インフレは引き続き
《経済の現状認識》
安定している」との見方に変化はなく、
7/28~29
今回
この点は、声明文と同時に公表された
全般
ここ数ヶ月の経済活動は緩やかに拡大した 経済活動は緩やかなペースで拡大している
「FOMCメンバーの経済見通し」における
労働市場は改善を続け失業率は低下した。 労働市場は改善を続け失業率は低下した。
2015年のインフレ予想が6月時点の0.6~ 労働市場
活用されていない労働力が今年の初め以降 活用されていない労働力が今年の初め以降
0.8%から0.3~0.5%に引き下げられたこ
減少したことを幅広い指標が示している 減少したことを幅広い指標が示している
とに反映されている。また、景気とイン 家計消費
家計消費の伸びは緩やかになった
家計消費は緩やかに増加した
フレの先行きについては、「適切な緩和 設備投資
軟調にとどまっている
緩やかに増加した
一段の改善をみせた
さらに改善した
政策により、経済活動は緩やかなペース 住宅市場
輸出
軟調にとどまっている
軟調だ
で拡大するとともに、労働市場関連の指
早い時期のエネルギー価格の下落と非エネ
早い時期のエネルギー価格の下落と非エネ
標は引き続き我々の責務に一致する方向
ルギーの輸入価格の値下がりを一致部反映 ルギーの輸入価格の値下がりを一致部反映
に向かうだろう」、 「短期的なインフレ
して我々の長期目標を引き続き下回って推 して我々の長期目標を引き続き下回って推
は現在の低水準近辺が見込まれるが、エ インフレ
移した。市場ベースのインフレ指標は引き続 移した。市場ベースのインフレ指標は低下し
ネルギー価格と輸入物価下落の一時的効
き低いが、調査に基づく長期の期待インフレ たが、調査に基づく長期の期待インフレはな
果が消失するのに伴って、徐々に2%に向
はなお安定している
お安定している
けて上昇するだろう」でこれまでと変わ 《景気と物価の先行き》
7/28~29
今回
らないが、「最近のグローバル経済と金
融の変化は経済活動を幾分抑制し、短期
最近のグローバル経済と金融の変化は経済
活動を幾分抑制し、短期的にはインフレにさ
的にはインフレにさらなる低下圧力を与
適切な緩和政策により、経済活動は緩やか
らなる低下圧力を与えそうだが、適切な緩和
えそうだ」という文言が追加されたほか、
なペースで拡大するとともに、労働市場関連
政策により、経済活動は緩やかなペースで
「経済活動と労働市場の見通しに関する
の指標は引き続き我々の責務に一致する方
景気
拡大するとともに、労働市場関連の指標は引
リスクはほぼバランスしていると思われ
向に向かうだろう。経済活動と労働市場の見
き続き我々の責務に一致する方向に向かう
る」という従来の表現に、「海外の動向
通しに対するリスクはほぼバランスしていると
だろう。経済活動と労働市場の見通しに対す
思われる。
を注視する」という表現が加えられた。
るリスクはほぼバランスしていると思われる
なお、フォワードガイダンスについて
は、「労働市場のさらなる多少の改善と
インフレが中期的に2%の目標に向かうこ
とに対する確信が得られれば、FF金利の 物価
目標レンジの引き上げが適切になる」で
あり、前回から変わっていない。
が、海外の動向を注視する。
インフレは短期的には現在の低水準近辺が
見込まれるが、労働市場のさらなる改善とエ
ネルギー価格及び輸入価格下落の一時的
効果の消失により、インフレは徐々に2%に
向けて上昇するだろう。我々はインフレの動
向を引き続き注視する。
インフレは短期的には現在の低水準近辺が
見込まれるが、労働市場のさらなる改善とエ
ネルギー価格及び輸入価格下落の一時的
効果の消失により、インフレは徐々に2%に
向けて上昇するだろう。我々はインフレの動
向を引き続き注視する。
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最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。
髙木証券投資情報部
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《フォワードガイダンス》
また、先に述べた「経済見通し」では、17名のFOMC参加
者のうち13名が年内の利上げが適切だと考えているが、6
月時点の15名からは減少、一方、2016年の利上げが適切と
するメンバーが2名から3名に増え、1名は2017年の利上げ
が適切だと考えていることが明らかになった。さらに、同
じく「経済見通し」に含まれる金利見通しではでは、今年
年末の適切なFF金利の「中央値」が6月時点での0.625%か
ら0.375%に引き下げられたほか、2016年末の「中央値」
も1.625%から1.375%に下方修正されたが、17名のうち1
名が2015年末の適切なFF金利を▲0.125%(レンジにする
と0~▲0.25%)、つまり年内に25ベーシスの利下げを実
施し、マイナス金利とした上で、これを来年いっぱい維持
すべきだと考えている点はサプライズだといえるだろう。
0~0.25%という現在のFF金利のレンジが
なお適切であることを再確認する。どの程
度の期間、このレンジを維持するかを決定
する際には、雇用の最大化と2%のインフレ
に向けた進展を、現実と予想の双方につい
て再評価する。評価に際しては、労働環境
に関する指標やインフレ圧力とインフレ期
待、金融情勢と国際情勢の変化を含む幅広
い情報に注意を払う。我々は、労働市場の
さらなる多少の改善とインフレが中期的に
2%の目標に向かうことに対する合理的な
確信が得られれば、FF金利の目標レンジの
引き上げが適切になると考えている。
《利上げ開始の適切なタイミング》
2015年 2016年 2017年
今回
13
3
1
6月時点
15
2
(人)
今回のFOMCについては、エコノミストや市場 《FOMCメンバーの米経済見通し》
2015
2016
2017
2018
Longer run
今回予想 2.0 ~ 2.3 2.2 ~ 2.6 2.0 ~ 2.4 1.8 ~ 2.2 1.8 ~ 2.2
参加者の間でのコンセンサスが最後まで得られ GDP
6月予想
1.8 ~ 2.0 2.4 ~ 2.7 2.1 ~ 2.5
2.0 ~ 2.3
5.0 ~ 5.1 4.7 ~ 4.9 4.7 ~ 4.9 4.7 ~ 5.0 4.9 ~ 5.2
ず、25ベーシスの利上げを実施した上で今後の 失業率 今回予想
6月予想
5.2 ~ 5.3 4.9 ~ 5.1 4.9 ~ 5.1
5.0 ~ 5.2
今回予想
~ 0.5 1.5 ~ 1.8 1.8 ~ 2.0
2.0
2.0
利上げペースが緩やかなものになることを強調 PCEインフレ 6月予想 0.3
0.6 ~ 0.8 1.6 ~ 1.9 1.9 ~ 2.0
2.0
1.3 ~ 1.4 1.5 ~ 1.8 1.8 ~ 2.0 1.9 ~ 2.0
する「ハト派な利上げ」か、利上げを見送った Core CPE 今回予想
6月予想
1.3 ~ 1.4 1.6 ~ 1.9 1.9 ~ 2.0
上で年内の利上げを強く示唆する「タカ派な利
上げ見送り」かで見方が二分されていた。そして、結果は利上げ見送りだったが、声明
文や金利見通しからは、想定外に「ハト派な利上げ見送り」という印象を強く受けるの
も事実であり、当面は米国債券利回りの上昇が抑制されるとともに、為替市場における
米ドル買いの圧力は弱まろう。また、利上げに対する警戒感が強かった株式市場が今回
の決定を受けて一旦上昇した後下げに転じたことは、利上げの見送りを米国経済の先行
きに対する懸念材料と受け止めた可能性を示唆、そうした観点からは、年内の利上げは
米国経済に対する投資家の信認を維持するためにはむしろ必要だと思われる。髙木証券
では、12月FOMCで利上げの可能性が高いと考えるが、利上げが実施される場合には、そ
れが10月のFOMCか12月のFOMCかは大きな問題ではないだろう。 (文責:勇崎 聡)
FOMCメンバーの金利見通し(6/17発表)
FOMCメンバーの金利見通し(9/17発表)
(出所:FRBより髙木証券作成)
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円に満たない場合は2,700円(現物取引買付および信用取引売買)】になります。株式を募集等により取得する場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。
外国株式を委託取引により購入する場合は、所定の委託手数料をいただきます。外国株式の委託手数料は国や市場により異なります。外国株式を店頭取引によ
り購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。債券をご購入いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。(経過利子をお支払いいただく
場合があります)。債券は、市場の金利水準の変動等により価格が変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行体の信用状況や財務状況によっ
ても価格が変動し、利金や償還金の支払遅延や不履行となる場合があります。また、倒産等により元本損失が生じる場合があります。投資信託は、主に国内外の
株式や債券を投資対象としているため、基準価額は組み入れた株式や債券の動き、為替相場の変動等の影響により上下しますので、これにより投資元本を割り
込むおそれがあります。投資信託はファンドごとに設定された購入時手数料をご負担いただきます。また、投資信託を保有期間中に間接的にご負担いただく費用
として、ファンドごとに設定された運用管理費(信託報酬)のほか、運用成績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。外国株式や外国債券、外国投資
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