2014年度3J電子工学前期中間試験問題

c 大豆生田利章 2014
°
2014 年度 3J 電子工学前期中間試験問題
2014/6/5
[注意事項]
› 電卓・算盤等の使用は可能であるが,計算機能のみを有するものに限る.通信機能・プ
ログラミング機能等を有するものの使用は認めない.携帯電話等の電卓機能の使用は認
めない.
› 解答用紙 1 ページ目先頭に学籍番号・氏名を,2 ページ目以降の右上に学籍番号を記入
する.
› 氏名・学籍番号の無いもの,解答欄を間違えたもの,解答の順番を変更したものは 0 点
とする.
› 解答を書きなおす時は,以前の解答は丁寧かつ綺麗に消して跡が残らないようにする.
› 特に断らない限り最終結果だけではなくて途中の計算過程も省略せずに答える.必要な
計算過程が無い場合は減点対象とする.途中の計算に誤りがある場合は,最終結果が正
しいかどうかに関係無く,正しく計算しているところまでを採点対象とする.
› 解答はできる限り簡潔な形になるようにする.
› 問題で与えられていない記号を用いる時は,解答中で記号の定義をする.
› 特に断らないときは温度は 300 K とする.
› exp x = ex ,ln x = loge x である.
› 記述式・論述式問題においては,きちんとした日本語であるかどうかも採点対象とする.
問題 1(1 点× 10)以下の文章が正しい場合は○を,間違っている場合は
×を記せ.ただし,すべて○またはすべて×のときは 0 点とする.
(1) インジウムリンは半導体である.
(2) 半導体材料のうち全原子が規則的に並んでいるものを非晶質(ア
モルファス)という.
(3) 結晶中の電子がとることができないエネルギーの範囲を禁制帯と
呼ぶ.
(4) 半導体中の価電子帯の電子が伝導帯に移る現象を再結合という.
(5) 半導体の抵抗率は不純物によって変化しない.
(6) pn 接合ダイオードの電流はカソードからアノードに向かって流
れる.
(7) ダイオードは整流作用を持つ.
(8) pn 接合で生じる n 形半導体と p 形半導体のエネルギーの差を電位
差であらわしたものを拡散電位と呼ぶ.
(9) 電界が加わることにより流れる電流を拡散電流という.
(10) 逆バイアス電圧が大きくなると空乏層容量は減少する.
c 大豆生田利章 2014
2014 年度 3J 電子工学前期中間試験問題 °
2
問題 2(15 点)以下の文章の [1] から [15] にあてはまる語句を選択肢の中
から選べ.
[1] やシリコンなどの [2] の価電子を持つ [3] 半導体の結晶中に,[4] の
価電子を持つヒ素,アンチモン,[5] などの物質([6] と呼ばれる)をわ
ずかに混ぜて, [7] より [8] の数を多くしたものを n 形半導体という.
また,[3] 半導体の結晶中に,[9] の価電子を持つインジウム,[10] など
の物質([11] と呼ばれる)を [3] 半導体の結晶中にわずかに混ぜて,[8]
より [7] の数を多くしたものを p 形半導体という.[7] と [8] はまとめ
て [12] と呼ばれ,[12] が移動することにより半導体中を電流が流れる.
半導体の抵抗率は [13] より大きく,[14] より小さい.温度が上昇する
と半導体の抵抗率は [15] する.
選択肢:
アルゴン,正孔,原子核,3 個,アクセプタ,真性,酸性,リン,
イオン,キャリア,減少,伝導電子,ゲルマニウム,5 個,ホウ
素,0 個,導体,ドナー,増加,絶縁体,4 個,
問題 3(5 点) 34.5 meV に相当する熱エネルギーは何ケルビンであるか求
めよ.ただし,温度 T [K] の熱エネルギーは kT [J] である.
問題 4(20 点)電子密度が n ,電子の移動度が µn ,正孔の移動度が µp ,真
性キャリヤ密度が ni である半導体に関して,以下の問に答えよ.
(1) 導電率 σ を n ,µn ,µp ,ni および電気素量 q を用いて表せ.
(2) 導電率の最小値 σmin を求めよ.
(3) 導電率が最小となる電子密度 n を求めよ.
(4) シリコンに対して (3) の電子密度の値を具体的に求めよ.
問題 5(20 点)ダイオードを流れる電流 I とダイオードの端子間電圧 V の
積がダイオードの消費電力になる.理想的な pn 接合ダイオードに加え
る電圧 V が 0.620 V であるときのダイオードの消費電力が 0.316 mW
であった。ここで,以下の問いに答えよ.ただし,温度 T は 300 K と
する.
(1) 電圧 V が 0.620 V のときにダイオードを流れる電流 I1 の値を有
効数字 3 桁で求めよ.
(2) このダイオードの逆方向飽和電流 I0 を有効数字 3 桁で求めよ.
(3) V が 0.630 V であるときにダイオードを流れる電流を I2 とする.
I2 /I1 の値を有効数字 3 桁で求めよ.
(4) ダイオードに加える電圧が V3 のときにダイオードを流れる電流を
I3 とする.I3 が I1 の 10 倍 になるときの V3 の値を有効数字 3 桁
で求めよ.
c 大豆生田利章 2014
2014 年度 3J 電子工学前期中間試験問題 °
3
問題 6(5 点)順バイアス電圧を加えたときの pn 接合ダイオードのエネル
ギー帯図を描け.解答は,n 形半導体と p 形半導体の区別,フェルミエ
ネルギーの位置,キャリアの移動方向が分かるようにする.
問題 7(25 点)図 1 (a) の特性を持つダイオードを用いて図 1 (b) の回路
を作った.この回路に関して以下の問いに答えよ.
図 1:
(1) (4 点)図 1 (a) のダイオードの名称を答えよ.
(2) (6 点)図 1 (a) のダイオードの動作原理となる効果の名称を 2 つ
挙げよ.
(3) (5 点)電源電圧 E が小さいときは,ダイオードには電流は流れ
ない.このときの,電圧 V を,E ,R,RL ,VB のうち適切なもの
を用いて表せ.
(4) (5 点)電源電圧 E が大きいときは,ダイオードに電流が流れる.
このときの,電圧 V を,E ,R,RL ,VB のうち適切なものを用い
て表せ.
(5) (5 点)図 1 (b) の回路が定電圧電源として動作するために電源
電圧 E が満たすべき条件を求めよ.
c 大豆生田利章 2014
2014 年度 3J 電子工学前期中間試験問題 °
付録
Si の原子密度 NSi
1.60 × 10−19 C
5.0 × 1028 /m3
Si の真性キャリア密度(室温)ni
Si 中の電子の移動度(室温) µn
1.5 × 1016 /m3
0.15 m2 /(V · s)
Si 中の正孔の移動度(室温)µp
Si の比誘電率 ²r
SiO2 の比誘電率 ²ox
0.050 m2 /(V · s)
11.8
3.95
真空の誘電率 ²0
8.85 × 10−12 F/m
1.38 × 10−23 J/K
電気素量 q
ボルツマン定数 k
プランク定数 h
真空中の光速度 c
6.63 × 10−34 J · s
3.00 × 108 m/s
(以下余白)
4