構造化学シケプリについて気付いたこと 物質波 1 c u mc E

構造化学シケプリについて気付いたこと
物質波
静止質量 m 速さ u の物体のもつ相対論的なエネルギー E および運動量の大きさ p は
E
mc 2
u2
1 2
c
,p
mu
u2
1 2
c
(1)
で与えられる。c は光速で,質量のある物体は光速以上の速さで運動できないことがわかる。
u  c を代入すると分母が 0 になって発散してしまうし, c より大きいとルートの中身が負
になってしまうからである。
質量 0 の光の場合には(分母も分子も 0 になってしまうから)別な考察が必要である。上
の式から E  p c を計算すると,
2
2 2
E 2  p 2c 2  m2c 4 (2)
を得る。ここに m  0 を代入すると, E が非負として
E  pc (3)
を得る。ここまでの議論からわかるように式(3) E  pc は光に当てはまる式であって,
質量のある物体,たとえば電子などに同じ式を適用することはできない。式(1)や式(2)
を使わなければならない。速さが出てこない場合は式(2)を使うほうが便利である。
(例:
コンプトン散乱の計算)
したがって静止質量 m 速さ u の物質波の波長  は式(1)を使って

h
h
u2

1 2
p mu
c
となる。特に u が c より十分小さい時 p  mu と近似できて

h
mu
となる。
ところで振動数 は E / h としてよいだろうか。
もしそうなら u  0 でも振動数をもつことに
なる。 E を u のべきで展開してみると
1
E  mc2  mu 2  
2
となる。この式は第 1 項が静止時にもっているエネルギー,第 2 項以降が運動エネルギー
と解釈することができる。u が c より十分小さい時は第 3 項以降が無視できて,非相対論的
な運動エネルギーの式になることがわかる。
光の場合は静止エネルギーが 0 なので E が運動エネルギーを意味していたが。電子など質
2
量をもつ物体の場合は E から mc を引いた分が運動エネルギーとなるわけである。
量子論などで古典力学な考察をする際には電子の運動エネルギーが十分小さい(つまり速
さが光速に比べて十分小さい)場合を考えるので相対論的な効果は無視されて,運動エネ
ルギー K は
K
1
p2
mu 2 
2
2m
と表される。
例えば電圧 V で加速された電子が持つ運動エネルギーは素電荷 e として
eV 
p2
2m
だから,ド・ブロイ波長  は

h
h

p
2meV
となる。電子線回折などの実際の実験では電圧がわかっているのでこの式に値を入れるこ
とで波長が計算でき,干渉条件を考察したりできる。